ラベル 1054 ミゾゴケ科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 1054 ミゾゴケ科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025-12-25

ヤクシマミゾゴケ

 写真はヤクシマミゾゴケ Marsupella yakushimensis だと思います。 12月20日に京都府の美山町で採集されたものを、12月23日の顕微鏡観察会で分けていただきました。 分布は平凡社では本州(近畿地方)~九州となっています。

 葉は基部から広く開出し、接在~重なっています。 葉の大きさは、場所により、かなり異なります。 腹面から鞭状の枝を出しています。

 上はカラカラに乾いた状態ですが、湿った状態とあまり変わりません。 赤い矢印の所が分かりやすいのですが、葉は溝状に曲がっていて、キールはありません。

 葉は全縁で、1/2付近までV字形に2裂し、裂片は三角形で鋭頭です(上の写真)。 腹側の裂片の方が少し大きいのですが、ほぼ左右対称です。 写真右上の葉縁などを見ると、葉がやや波打っているのが分かります。

 葉身細胞は厚壁で、トリゴンはありません(上の写真)。 油体は楕円体で、多くの細胞で2~3個、微粒の集合です。

2025-06-04

タカネミゾゴケ

 写真はタカネミゾゴケ Marsupella emarginata ssp. tubulosa だと思います。 和名に「高嶺」とありますが、低地にも分布しています。

 濡れているためでもありますが、植物体は光沢があります。 上から見た時の葉を含めた茎の幅は1~1.5㎜です。 古い部分は赤みを帯びています。


 葉は茎を抱かず、基部から開出しています。

 葉は先端が2裂し、樋上になっています。 葉縁は下部を中心に反曲しています。


 上は取り出しやすい大きな葉を選んでいて、平凡社では葉のサイズは長さも幅も 0.3~0.8㎜となっています。 2枚とも左が腹側です。 葉は1/5~1/3まで不等に2裂し、腹側が大きく、円頭~鈍頭です。

 上は葉身細胞です。 トリゴンは大きく、油体は各細胞に(1~)2(~3)個で、眼点があります。

(2025.6.1. 京都市右京区京北上弓削町)

こちらには花被のある本種を載せています。

2022-09-30

ムラサキミゾゴケ


 上はフォーリーイチョウゴケとムラサキミゾゴケの混生だと思います。 今回はこのうちのムラサキミゾゴケ Marsupella sphacelata の観察結果です。

 平凡社のこの仲間の検索表では植物体の長さが5mm以上か以下かで分けられていますが、本種は写真のように5mm以上あります。

 濡れていて少しわかりにくくなっていますが、横から見ると、葉は基部では茎に圧着し、中部以上は反り返っています。


 葉にはキールはありません。 葉縁の外曲はわずかです。

 上は葉身細胞です。 細胞の大きさより明らかに小さいトリゴンがあります。

(2022.9.5. 北八ヶ岳)

2022-09-10

フォーリーサキジロゴケ

 

 上はフォーリーサキジロゴケ Gymnomitrion faurianum でしょう。 本種は従来サンゴサキジロゴケ G. corallioides とされてきましたが、それとは別種であるという見解が出されています。
 葉は横につき、密に重なっています。 育っていたのは・・・

 上のような岩が折り重なった所の・・・

 少しは湿度が保たれやすいと思われる奥まった岩の上にありました。 黄色の矢印で示したのが本種の群落で、白っぽい色をしています。

 葉を含めた枝の幅は 0.5~1mmです。

 上は葉です。 葉は小さく柔らかいうえに密に重なっていて、1枚取り外すのが難しく、上の葉も基部が欠けています。
 葉は 1/5~1/7まで2裂し、縁は透明な細胞で縁取られています。

 上は葉身細胞です。

 多くの細胞の油体は2個で、楕円体、微粒の集合です。

 ピントを少しずらすとベルカが確認できました(上の写真)。

(2022.9.4. 北八ヶ岳

◎ フォーリーサキジロゴケはこちらにも載せています。

2022-06-24

ヒラウロコゴケ

 写真はヒラウロコゴケ Nardia compressa だと思います。 たくさん絡み合って塊状になっていたのですが、それをほぐして撮影しています。

 育っていたのは秋田県の鳥海山の麓にある獅子ヶ鼻湿原で、上の写真のような流れのきつい酸性の水中でした(撮影:2022.5.30.)。 この場所ではたくさん育っているようですが、2010年環境省の改訂レッドリストでは、ここと福島県の吾妻山の2カ所からしか知られていないことから、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。 なお、世界的には北半球の冷温帯に不連続に分布するようです。


  平凡社の図鑑(検索表)では、「葉は横につき、左右に圧接する。」とあります。 上の写真のような状態をさしているのでしょうが、このような状態はよく成長している茎の先にみられるだけで、最初の写真のように多くの葉は開いていました。 もう少し流れが緩やかで水面近くの十分な光合成ができる場所では上の写真のような状態が多くみられるのかもしれません。

 上は乾いて葉は縮れ、長さもよく分かりませんが、よく生長した葉では幅が2mmほどになり(下の写真)、茎の長さは数cmになります。


 上の2枚は葉で、全円です。



 上の3枚は葉の細胞で、上から葉縁付近、葉の中央部、葉の基部です。

 上は腹葉です。 腹葉は小さく目立ちません。

 仮根は茎の腹面に散生します(上の写真)。

 同定にあたっては道盛氏より資料をいただきました。 ありがとうございました。


2022-06-06

チャボミゾゴケ?

 鳥海山5合目鉾立近く(標高約1,200m)の岩上で育っていた写真のコケ(撮影:2022.6.1.)、平凡社の検索表に従えば、チャボミゾゴケ Marsupella aquatica またはタカネミゾゴケ Marsupella emarginata ssp. tubulosa になると思います。 前者は平凡社には検索表にしかありませんが、湯澤陽一「福島県苔類誌」の図を見ても、やはり迷います。 分布は、前者はおもに亜高山帯以上、後者は低地~高山帯ですが、撮影地は上限に近いブナ帯です。
 タカネミゾゴケ(以下「タカネ」とします)は比較的普通に見られる種で、このブログでもこちらこちらに載せていますが、それより少し違うような気もしますので、とりあえず「?」付きでチャボミゾゴケ(以下「チャボ」とします)としておきます。

 葉はわずかに離在するか重なっています。 茎の幅は葉を含めて約 0.7mmです。

 葉は茎の横につき、基部から開出して樋状に折り畳まれています。 チャボのキールは直線状、タカネのキールは不明瞭で弓形ですが・・・。

 上は折り畳まれていた葉を開いて撮っています。 チャボでは葉の約5/6長のキールがあり、タカネでは1/5~1/3まで2裂します。

 上の写真のように葉縁の一部が外曲している葉があちこちに見られました。

 上は葉身細胞です。 チャボでは細胞壁は全体的に厚くてトリゴンははっきりせず、タカネでは大きなトリゴンがあります。

 胞子を飛ばす時期は既に済んでいるようで、1枚目の写真でも、口が開いたようになっている雌苞葉があちこちに写っていますが・・・

 持ち帰った標本の中に1本だけ胞子体がありました(上の写真)。

 胞子体のついている茎頂を縦断し、上は外側から、下は内側(縦断面)から撮っています。

 ペリギニウムは発達しています。

 ビニール製の採集袋から取り出すと、蒴はまもなく開裂しました。 上が開裂した蒴です。

 上は蒴壁です。

 上は胞子と弾糸です。