2018-02-28

ナカジマヒメクサリゴケ


 木の枝にあった小さな苔類(上の写真の黄色い矢印)、茎の幅は葉を含めて 0.4~0.5mmほどです。 右のカラヤスデゴケと大きさが比較できるように、目的の被写体は左に寄せました。
 これを剥がして腹面から撮ったのが下です(深度合成しています)。


 これを見ると、ナカジマヒメクサリゴケ Cololejeunea nakajimae のようです。 腹片は大きく、腹葉はありません。 よく似ているウニバヨウジョウゴケ C. spinosa の葉は卵形で、葉先も円頭~鈍頭のようです。 平凡社の図鑑では日本海側に多いとされていますが、太平洋側でも所々で生育が報告されているようです(神奈川県で見られるクサリゴケ図説 3)。 ちなみに、種小名は大阪府の高校教員で地域に生きたコケ研究者として知られている中島徳一郎氏の名前に由来しています。


 腹片の第1歯牙(上の写真の1)は1細胞幅で2細胞長、第2歯牙(上の写真の2)は鈍頭の単細胞で形成されています。 なお、背片と腹片に挟まれた丸いものは、造精器のように思われます。

(2018.2.14. 堺自然ふれあいの森)

2018-02-26

ガガンボダマシ科の一種の群飛

 少し変えていますが、Part1の 2014.2.19.からの引っ越しです。


 蚊柱が立っていました。 時々蚊柱全体がサッと移動します。 蚊柱を形成しているのがオスで、集団でメスを待ち構えていて、メスらしい動くものがあれば、集団で追いかけるのでしょう。
 この群飛しているものの正体を知りたいと思いましたが、網もありません。 しばらく見ていると1頭が葉の上にとまりましたので、フィルム管に入れて持ち帰って調べたところ、ガガンボダマシ科の一種のようです。
 なお、蚊柱をつくるハエ目カ亜目(糸角亜目)としては、カ科やこのガガンボダマシ科以外にも、ユスリカ科やヒメガガンボ科などが知られいます。


 上がそのガガンボダマシです。 体長は4mmでした。 片方の触角が折れてしまっていますが、下は体の前半部分を深度合成したものです。


(2014.2.17. 堺市南区岩室)


2018-02-25

タチヒダゴケ(コダマゴケ)の蒴の断面



 樹幹のタチヒダゴケ Orthotrichum consobrium、環境にもよるのでしょうが、この場所では蒴をつけている植物体の葉は褐色で、つけていない植物体の葉は緑色でした。(2018.2.23. 堺自然ふれあいの森)

 タチヒダゴケ属( Orthotrichum )の蒴には気孔があるのですが、気孔が沈生の種と表生の種があり、平凡社の図鑑のこの属の検索表はこの違いから始まっています。
 タチヒダゴケの気孔は沈生で、前に蒴の表面から撮った写真を載せたことがあります(こちら)。 今回は蒴の横断面を作り、この時期の蒴の内部の様子と、そこから分かることを考察すると共に、沈生の気孔の断面を観察してみました。


 上は帽を取り去った蒴です。 これを輪切りにしてプレパラートを作成し、撮影したのが下です。


 下に拡大した写真を載せていますが、表皮の黒くなっている6ヶ所が気孔の位置でしょう。 黒くなっているのは沈生している所に空気が入り込んだためと思われます。 そして、気孔の位置は蒴の周囲の全く同じ高さの所にきれいに並んでいるのではなく多少の上下があって、上の切片には表れていない気孔もあるるとすると、気孔は蒴の表面に縦に8列に並んでいるのではないかと思います。 また、気孔付近では蒴壁の葉緑体に富んだ細胞が表皮に接する所まであるのに対し、気孔のある場所から離れると、表皮近くの蒴壁を構成する細胞の葉緑体は少なくなっています。

 タチヒダゴケの太い蒴は、胞子が完成すると、胞子を押し出すように縮み、8本の縦の条ができます(こちら)。 この条は、上記の蒴壁の葉緑体に富んだ細胞と葉緑体の少ない細胞との収縮の差によって生じるのではないでしょうか。

 下は上の赤い四角の部分の倍率を上げて深度合成した写真です。


 上の写真で、aは軸柱、bは胞子になる部分ですが、まだ胞子母細胞の段階かもしれません。 そして赤い円で囲った部分が気孔です。


 上は気孔の周辺をさらに拡大したものです。 気孔は沈生していますがその上に位置する表皮細胞の縁は少し盛り上がっています。


2018-02-23

ツクシナギゴケ



 落ち葉に張り付いたツクシナギゴケ Eurhynchium savatieri です。 濡れた葉脈との対比がおもしろくて、再度の登場です。 同じ属のツクシナギゴケモドキの枝葉は丸くついて、上の写真のような扁平にはなりません。


 中肋の先端は歯で終わっています。

(2018.2.23. 堺自然ふれあいの森)

 ツクシナギゴケの過去記事 → 151102 160417

2018-02-22

コミミズク

 Part1の2013.4.13.からの引っ越しです。 鳥のコミミズクではなく、昆虫のコミミズク Ledropsis discolor です。


 クリの木の枝をコミミズクが歩いていました(上の写真)。 ところがこの写真を撮った時のフラッシュのためでしょうか、枝にピッタリとくっついてしまいました(下の写真)。 隠蔽擬態によほど自信があるのでしょうね。 (2013.4.8. 堺市南区 フォレストガーデン)


 下は別の日に撮った、クヌギの枝にいたコミミズクです。 この時は、見つけた時から枝にくっついていました。


 この時は場所を選んでくっついていたのでしょう、より分かりにくい場所です(下の写真)。 小さなタマバチが芽に産卵に来ているのを探していたので、どうにか気付きました。 (2013.3.29. 堺市南区岩室)


 コミミズクの幼虫も、成虫と同様に枝の一部に化けます。 枝にくっついている様子はこちらに、歩いている様子(体の下側が見えました)はこちらに載せています。


2018-02-20

ヤマハゼの実を食べるメジロとツグミ

■ メジロ Zosterops japonicus


 上にいる後ろ向きのメジロがヤマハゼの実を咥えています。 実が少し大きすぎるようにも見えますが、そのまま飲み込んでしまうのでしょう。

■ ツグミ Turdus eunomus




 ツグミはヤマハゼの実が気に入ったのか、近づいてもなかなか食べるのを止めませんでした。

 こんなに大きさの違う鳥が同じ実を食べるんですね。

 ところで、ヤマハゼ Toxicodendron sylvestre の果実は多くの鳥に好まれていますが、写真でもわかるように液果ではなく核果です。 そんな硬い果実のどこがおいしいのかと思いますが、この仲間の外果皮はうすく、中果皮は樹脂に富んでいます。 鳥たちはこの樹脂を好むようです。 おいしい果実は熟したジューシーなものとは限らないようです。

(2018.2.12. 堺自然ふれあいの森)

2018-02-19

コバノヤバネゴケ


 湿った地面に毛羽立ったような緑色、通常のマクロレンズでは、いくらがんばっても茎の左右に葉があることぐらいしか分かりません(上の写真)。



 上の2枚は、どちらも顕微鏡写真を深度合成したものですが、背側から左右の葉を撮ったことになるのでしょう。 葉は背側にやや偏向して離在し、ほぼ中ほどまで2裂し、裂片は三角形で鋭頭です。 背面(茎に面していない側)には単細胞からなる円錐状の突起がたくさん見られます。



 上は茎を側面から見ているのでしょう。 写真では茎の手前から上にかけて存在するのが葉(側葉)で、茎の下方に数細胞からなる突起のように見えているのが腹葉だろうと思います。 腹葉は葉に比べると、かなり小さいようです。 なお、腹葉を正面から撮ろうとしたのですが、なかなかうまくいきませんでした。

 以上の結果から、このコケはコバノヤバネゴケ Cephaloziella microphylla と思われます。


 上のようなものもありました。 これは花被でしょうか。

(2018.2.14. 堺自然ふれあいの森)

2018-02-18

ベニエキンシゴケ


 写真はベニエキンシゴケ Ditrichum rhynchostegium だと思います。 胞子体は、古くなって蒴歯もほとんど残っていないものと、新しく伸びはじめたばかりのものしかなく、また平凡社の図鑑ではこの属の分類は容易でないと書かれていて、少し心配ですが・・・。


 蒴柄の長いものは4cm近くあります。 蒴はほぼ直立しています。


 上は伸びはじめたばかりの蒴をつけているもので、蒴柄は金色です。 葉が片方に流れているのは、群落の端にあった株だからでしょう。 苞葉は5mmほどあり、蒴柄を抱いています。


 上は葉の先端部で、細かい歯が見られます。


 上は葉の基部で、中肋の境界は不明瞭です。


 葉身細胞は矩形です。


 上は葉の中央部の断面です。 中肋のみになっていて、ガイドセルの周囲にはステライドが見られます。


 上はわずかに残っていた蒴歯です。 どの蒴歯も途中で折れてしまっていますが、基部まで線状に2裂していて、細かいパピラで覆われています。 ちなみに、属名 Ditrichum の di は「2」の、trichum は「糸」の意味ですが、この蒴歯の様子に由来しているのだと思います。

(2018.2.14. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2018-02-17

寒中のコケたち

ジャゴケから垂れ下がる氷柱(ツララ)


■ 雪中のエゾスナゴケ



2018-02-15

オオカマキリの卵鞘


 寒風に揺れる枝にオオカマキリの卵鞘(=卵のう)がありました。

 堺自然ふれあいの森では、葉も枯れて褐色になったススキ群落の中などにも、よく似た色のオオカマキリの卵鞘がよく見つかります。 昔はスリムな体でどうして幅広の卵鞘を作れるのか不思議に思いつつも、保護色になる場所をうまく選んで産卵していると思っていたのですが・・・。

 下は11月上旬に撮ったオオカマキリの産卵の様子です。



 上は腹部の端付近を撮ったものです。 2枚の写真を比較すると、幅広の卵鞘は産卵管の向きを変えながら泡を噴出させて作っているようですが・・・


 産卵している周囲は緑色です。 産卵場所の周囲がこれから枯れて卵鞘が目立たなくなることをオオカマキリが理解して産卵しているとは、とても思えません。
 オオカマキリと体形のよく似たチョウセンカマキリの卵鞘も、細長い形ですが、やはり細い枝や茎でよく見つかります。 これに対して・・・


 上は体の幅が広いハラビロカマキリの卵鞘です。 ハラビロカマキリの卵鞘は、上のような木の幹や建物の壁面などでよく見られます。

 オオカマキリは、体形に合っていて脚で基物を挟み易い細長いものを選んで産卵しているだけではないでしょうか。

(注) カマキリ目に分類される種数は少ないため、右の「ラベル」では便宜上バッタ目に含めています。

◎ オオカマキリの孵化の様子や孵化後の卵鞘の断面などをこちらに載せています。


2018-02-13

ジョウレンホウオウゴケ


 環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)となっているジョウレンホウオウゴケ Fissidens geppii、元気で育っているかと気になり、何度も見に行くことになり、ブログにも何度も載せてしまいます。
 胞子体を作った後は弱ってしまうようで、12月中旬に撮った時と比較しても、50日ほどの間にかなり傷んでしまったように見えます。 しかしここ数年見ている経過からすると、きっとまた元気な姿を見せてくれるでしょう。

 毎回同じような写真ではおもしろくないので、今回は大きさが分かるようにジャゴケ(オオジャゴケ)と一緒に写してみました(下の写真)。


(2018.2.7. 堺自然ふれあいの森)

2018-02-12

ヨコバイ科の一種



 サカキの葉の裏に、あまり見かけない体色のコミミズクがいると思って撮ったのですが、PCで拡大して見ると、だんだんコミミズクではないように思えてきました。 ヨコバイ科には違いないと思うのですが・・・。

(2018.2.7. 堺自然ふれあいの森)

2018-02-10

ツガゴケ


 明るい緑と濃い緑、色の違うコケが接していました(上の写真)。


 上は濃い緑のコケです。 葉が密でやや扁平についている姿を見ると、ツガゴケのようです。


 上は明るい緑のコケですが、やはりツガゴケのように見えます。 混み具合からすると、こちらの方が隙間が多いようですが、同じコケが同じ場所でこれほど色が違うものなのか、ほんとうに両方ともツガゴケなのか、確かめるために少し持ち帰りました。


 上の写真、光を当てると色の差がほとんど分からなくなりましたが、上が濃い緑、下が明るい緑です。 濃い緑の方が茎が長く、同種だとすれば、年月を経ているようです。


 上は濃い緑の葉ですが、明るい緑の葉もほぼ同じ特徴を持ち、いずれも図鑑のツガゴケの葉の特徴とよく一致します。


 上は濃い緑の葉身細胞で、下は明るい緑の葉身細胞です。 写真からは下の方が少し大きな細胞のようですが、ツガゴケの葉身細胞は葉の基部に向かうにつれて少しずつ大きくなります。 できるだけ葉の中央部の同じような所を撮ったつもりですが、この程度の大きさの違いでは何とも言えないでしょう。


 以上のことをまとめると、色の異なる2つのコケは、いずれもツガゴケ Distichophyllum maibarae でしょう。 なぜこんなに色が違うのかについては、少し性質の異なる2種のクローンが接しているのか、片方が落ち葉に覆われるなど何か違った環境下に置かれた時期があったのか、いろいろ考えられますが、結論は出せませんでした。

(2018.2.7. 堺自然ふれあいの森)

◎ ツガゴケの蒴については、帽のある蒴はこちらに、蓋の取れた蒴はこちらに載せています。