2014-12-31

チャバネフユエダシャクのメス

 今年最後のブログ、何か特別企画を、とも思いましたが、撮ってまだブログに載せていないものもたくさんあることですし、無理して跳ねないで、地道に翅の無いチャバネフユエダシャクのメスにします。 今年が丑年であれば、冬尺界のホルスタインとも言われるチャバネフユエダシャクのメスで格好良く締める、となるのですが、ウマくいきませんね。
 なお、フユシャク(冬尺)に関する一般的なことはあちこち(例えばこちらこちらなど)で書きましたので、今回は書きません。


 上は12月24日に堺市南区鉢ヶ峯寺で壁にとまっていたチャバネフユエダシャクのメス、そして下は同じ日に堺自然ふれあいの森にいたものです。 迷彩模様には個体差がありますが、模様の基本は共通しています。 前に載せたチャバネフユエダシャクのメスとも比較してみてください。


 上の写真にはカメムシの仲間の幼虫も写っています。 たまたまなのか、チャバネフユエダシャクの体液を吸おうと近づいてきたのか、つまり草食性のカメムシなのか肉食性のカメムシなのか、気になるところですが、まだ調べていません。
 カメムシも撮っておこうと、チャバネフユエダシャクに少し移動してもらおうと触ったところ・・・


 脚を縮めて偽死してしまいました。 前にクロスジフユエダシャクの偽死についても触れています(こちら)が、チャバネフユエダシャクの場合も同様でした。
 せっかくですので、頭部と腹部の端を接写しておきました(下の写真)。



2014-12-30

ゴンズイノフクレアブラムシの大移動

 ゴンズイノフクレアブラムシは10日前に載せたばかりですが・・・


 葉をすっかり落としたゴンズイの木で、ゴンズイノフクレアブラムシが大移動していました。 普段よく見るアブラムシの姿は、ほとんど動かずにいて、カメラを近づけたりすると少し逃げたりする程度ですが、この日に見たゴンズイノフクレアブラムシは、有翅型も無翅型も、ほとんどの個体が熱心に歩いていました。 一部の個体は木の上の方に登って行きますが、ほとんどの個体は根元の方向に降りて行きます。


 なかには上の写真のように移動途中に子を産む個体もいたり・・・



 上の写真では中央の1頭だけみんなと方向が違うと思ったら、動かずに脱皮の最中でした。



 ゴンズイの木の根元付近の枯葉には、木から降りてきたゴンズイノフクレアブラムシがあちこちに見られました(上の写真)。

 なぜ急にこのような大移動が始まったのでしょうか。 急にゴンズイの樹液が出なくなったのでしょうか。
 そして、どこへ行くのでしょうか。 枯葉の裏などで越冬するのでしょうか。

(2014.12.24. 堺自然ふれあいの森)

2014-12-29

コミミズク

逞しい脚です

 コミミズクはフクロウ科に分類される鳥で、日本には冬鳥として全国的に飛来します。 単独またはペアで生活しますが、冬季には小規模な群れを形成し、Wikipediaによれば集団で眠るとあります。
 草地や河川敷などの開けた所を好みますが、淀川の河川敷にコミミズクが5羽ほど来ていると聞き、今日行ってきました。




 夜行性で、昼間は草の茂みで寝ていることが多いとのことですが、淀川の河川敷では夕刻によく飛び回るようで( 夜に飛んでも分からないでしょうが・・・ )、今日は午後2時半頃から4時頃までよく飛んでいました。
 小規模な群を形成しているというのに、空中で絡み合ったりしていました。 なわばり争いかとも思いましたが、遊んでいたのでしょうか・・・。


 「コミミズク」を漢字で書けば「小耳木菟」で、羽角(外耳状の羽毛)が小さく、寝かせているとほとんど分からないことに由来します。 小さいミミズクという意味ではありません。 ちなみにミミズクとはフクロウ科のうち羽角(いわゆる「耳」)がある種の総称で、ミミズクという種がいるわけではありません。(注2)



 虹彩は黄色、瞬膜は黒っぽい色をしているんですね。

(注1) ここに載せたコミミズクの色が異なるのは、晴れたり曇ったりの天候のせいもありますが、コミミズクの個体差もあります。
(注2) 昆虫にもコミミズクがいます。 こちらはミミズクというカメムシ目の昆虫がいて、その仲間の小さいものという意味でしょう。 ちなみに、昆虫のミミズクは前胸にある1対の突起をフクロウ科の羽角に見立てたものですが、コミミズクにはこのような突起は見当たりません。

2014-12-28

ツヤカスミカメの一種




 ケヤキの樹皮の下にいたツヤカスミカメ、体長は透明な翅の端まで5mmでした。 調べてみると、カワヤナギツヤカスミカメに似ているようですが、いろいろ違いがあります。
 個体変異かと思いながらも「カメムシBBS」にお聞きしたところ(No.9798)、鶉氏から回答をいただきました。 それによると、このツヤカスミカメは、2005年の昆虫学会岡山大会にて「淀川河川敷で発見されたツヤカスミカメの未知種」として発表があったもので、最近関西で発見例が相次いでいるようです。 カワヤナギツヤカスミカメではありませんでした。

(2014.12.19. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-12-27

アミメアザミウマ亜科の一種

 写真は、アザミウマ目アザミウマ科アミメアザミウマ亜科の一種だと思います。 体長は1.1mm、アラカシの葉の裏にいました。(下の写真は、逃げ回って葉の表に来ています。)
 動き回られて、側面からの写真はことごとくピンボケ、上からの写真しかありません。


 アミメアザミウマ亜科は、HydatothripsNeohydatothripsSericothripsの3属から成りますが、属の違いは必ずしも明瞭ではないようです。

(2014.12.21. 堺市南区高倉台)

2014-12-26

ナガヒョウホンムシ(オス)


 写真はナガヒョウホンムシだろうと思います。 壁にとまっていたものを、持ち帰って撮影してみました。 体長は4.5mmほどでした。 体色は紫黒から黄褐色まで、いろいろあるようです。


 ナガヒョウホンムシの体は、拡大してみると、毛がびっしり生えています。 細い脚でか弱そうにも見えますが、寒さにも強く、餌も、標本昆虫以外にも、穀類、煮干しや毛織物など、いろんなものを食べるようです。
 メスはもっと丸みのある体形のようです。


(2014.12.20. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-12-25

スズキクサカゲロウ(?)を襲うフタスジヒラタアブ(?)の幼虫


 クサカゲロウがフタスジヒラタアブらしき幼虫に襲われていました。 少し引っ張ってみましたが、強く食いついて離れません。 クサカゲロウはまだ生きていて少し動いていましたが、ヒラタアブの幼虫は踏ん張ったように下に吸いついて全く動きません。
 フタスジヒラタアブの幼虫は、普段は木の上などで待ち伏せし、色々な昆虫を食べるようです。


 クサカゲロウはスズキクサカゲロウのように思うのですが、意識がヒラタアブの口のあたりを写すことに行ってしまい(結局写せなかったのですが・・・)きちんと確認できていません。

(2014.12.19. 堺自然ふれあいの森)

2014-12-24

クチジロハススジハマダラミバエ(オス)?




 先日おちゃたてむしさんのところに載せられていたクチジロハススジハマダラミバエ( Anomoia leucochila )と同じだと思って撮っていたのですが、よく見ると、複眼の色などが少し異なるようです。 この違いが個体差なのか雌雄差なのか別種なのか、よく分かりません。 また、虫ナビに載せられているクチジロハススジハマダラミバエとは、翅の模様も異なります。


 後ろから見ても産卵管が見えないので、オスでしょう。

(2014.12.19. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-12-23

ツマキヘリカメムシ(オス)


 石をひっくり返すと、その下にいたツマキヘリカメムシです。 このまま成虫越冬するのでしょう。



 名前を漢字で書くと、「褄黄縁亀虫」となるようです。 「褄(つま)」とは(着物の)端のことですが、端が黄色とはどの部分のことかと悩んだのですが、どうやら触角の先端のことのようです。
 ツマキヘリカメムシとオオツマキヘリカメムシは、同じ属で、とてもよく似ています。 両者を見分けるポイントのひとつは、腹端を背側から見て、ツマキヘリカメムシのオスは上の写真のように円く、メスは尖っているのに対し、オオツマキヘリカメムシのオスは生殖節後方に1対の突起があり、メスも先端が凹んでいます。

(2014.12.10. 堺市南区岩室)

2014-12-22

ケチャタテ科の一種



 体色が明るい褐色と白色からなる美しいチャタテムシがいました。 この体色は、成虫になってそんなに時間が経過していないからかもしれません。 翅脈の様子はケチャタテ科のものだと思うのですが、脈の端で変な分岐が見られるのはなぜでしょうか。



 このチャタテムシのいたのは、フユイチゴの葉の裏です。(上の写真の赤○にチャタテムシがいます。) 蛾の蛹(の何か)にこだわっているように見えました。

(2014.12.8. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-12-21

ササシロナガカイガラムシ

(12.24.写真を2枚追加しました。)


 上の写真は笹の葉の裏です。 肉眼的には小さな白い斑がポツポツとついているように見えるだけですが・・・。


 少し拡大すると、緑と色彩的に近くて肉眼では見えにくかった長さ 0.7~1.5mmほどの橙色の部分が見えてきます。
 これはマルカイガラムシ科のササシロナガカイガラムシだと思われます。 橙色の部分が体で、白い部分はこのカイガラムシが作った介殻でしょう。 なお、上の写真に見られる黒っぽいものは、ササシロナガカイガラムシの死骸だと思います。


 葉の中を流れている液には、光合成でできた糖は多いのですが、他の栄養分はわずかです。 植物の中を流れる液に依存して生きている虫たちは、糖以外のわずかな栄養分を取り込むために、吸収した多すぎる糖を捨てる必要があります。 白い介殻は、余分な糖をワックス成分に変えて捨てると同時に、産んだ卵を覆って保護する役割をするのでしょう。


 白い介殻は扇状になっています。 このようになるためには、とてもゆっくりでしょうが、お尻を左右に振りながら少しずつ前進していく必要があるのではないでしょうか。


 上の写真の前にいるササシロナガカイガラムシは、介殻の下で、お尻を左に振っているように見えます。 また触角らしきものが見えますが、完全に固着生活をするなら、触角は不要のはずです。


 上のササシロナガカイガラムシは、白い介殻も乱れていて、かなり弱っているように見えます。 体の上の黒褐色の小さい点は何でしょうか。 ササの葉に寄生するササシロナガカイガラムシが何かに寄生されているのでしょうか。
 BABAさんのブログに載せられている、いつもながらのすばらしい深度合成のササシロナガカイガラムシでは、この黒褐色の小さい点も拡大されて載せられています(こちら)。

(3枚目の写真は2012.12.24.に、他は2014.の12.14.と12.24.に、堺自然ふれあいの森で撮影)

2014-12-20

ゴンズイノフクレアブラムシ(有翅型)

 下はゴンズイにつくゴンズイノフクレアブラムシの有翅型です。 このアブラムシは、前にこちらに載せていますが、この時は足場の関係で、無翅型と中間型は載せましたが、有翅型はちゃんと撮れていませんでした。


(2014.11.28. 堺自然ふれあいの森)

 今日は年賀状作成に時間を費やしたので、写真1枚で終了にします。

2014-12-19

ウリキンウワバ


 写真はヤガ科キンウワバ亜科のウリキンウワバです。 壁に頭を下にしてとまっていました。 成虫の出現時期は7~10月とされていますが、11月28日の撮影です。
 名前は、幼虫がウリ科の作物を食害するキンウワバの仲間ということでしょうが、幼虫の食餌植物はウリ科に限らず、多食性のようです。 しかし野山の草を食べているよりは畑の作物を食害している方が人の注意を引きやすいということなのでしょう。


 正面から見た上の写真、頭部が大きな鼻のように見えませんか? 私は鉄腕アトムに出て来るお茶の水博士の顔を連想しました。

(2014.11.28. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-12-18

ホタルトビケラ


 写真は壁の青いタイルにとまっていたホタルトビケラです。 ほんとうは縦にとまっていたのですが、横にしてみました。 なお、とまっていた個体は、頭を上に向けたものも下に向けたものもいました。
 この場所では、例年11月下旬を中心にホタルトビケラの成虫が見られます。 幼虫は水生で、近くにゲンジボタルやヘイケボタルの見られる小川があるので、そこから発生したのでしょう。
 名前は、全身黒っぽく胸部のみ赤い色のあるホタルに似た色合いからでしょう。


(2014.11.27. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

2014-12-17

シマバエ科 Steganopsis sp.2





 畑のダイコンの葉の上でこの虫を見つけた時、最初はカスミカメの仲間だと思いました。 しかしそれにしては翅の折れている場所が前すぎるし、複眼の模様も触角の様子もハエ目のような・・・と思っているうちに、最近見たおちゃたてむしさんのブログに似たハエが載せられていたのを思い出しました。 帰宅してから確認すると、体長も2.5mmとほぼ一致し、同種のようです。
 おちゃたてむしさんのブログから引用させていただくと、このハエは、シマバエ科Steganopsis属の未記載種で、sp.1 と sp.2 と呼ばれているよく似た2種のうちの sp.2 のようです。

(2014.12.14. 堺自然ふれあいの森)