2018-07-31

ヒメヒラゴケ


 写真はヒメヒラゴケ Neckera pusilla でしょう。 岩上に育っていました。 葉がやや平たくついているのは、この仲間の特徴でしょう。
 前に載せたヒメヒラゴケは茎が水平~垂れぎみでしたが、上の写真では上に伸びています。 生育に適した環境ではこのようになるのでしょうか。


 岩を這う細い一次茎(上の写真の左下)から多くの二次茎が出て、二次茎は複雑に分枝しています。


 分枝は不規則で、羽状にはなっていません。


 葉は卵形~長卵形で、先端は広く尖っています。 この仲間によく見られる横じわはありません。 なお、葉の詳細や葉身細胞の様子などは、前に載せていますので(こちら)、今回は重複を避けます。

(2018.7.19. 醒井渓谷

2018-07-30

アメンボ科の5種

 アメンボの種類も多く、アメンボ科とイトアメンボ科に限っても、約30種が知られています。 堺自然ふれあいの森(≒里地里山)で普通に見られるアメンボ科の5種を並べて比較してみました。(撮影場所は「堺自然ふれあいの森」とは限りません。)

● アメンボ(別名 ナミアメンボ)Aquarius paludum


 上は交尾中です。 都市部でも普通に見られるアメンボで、触角の長さが体長の1/2以上で、中脚腿節の長さは体長より短いという特徴があります。 


 上はナミアメンボの短翅型だと思います。 安定した環境で、このような短翅型が見られるようです。

● オオアメンボ Aquarius elongatus



 スマートな体形のアメンボです。 写真ではナミアメンボと似た印象を受けるかもしれませんが、ナミアメンボの体長が 1.5cm程度であるのに対し、オオアメンボは2~2.5cmほどありますから、実際に見た大きさは全く違います。 水面が木陰に覆われるような環境を好むようです。


 アメンボの仲間は肉食です。 尖った口器を獲物に突き刺し、体液を吸います。 上は魚に群がるオオアメンボです。

● ハネナシアメンボ Gerris amenbo


 幅広い体つきをしています。 普段は上の写真のように翅が短く飛べないのですが、秋になると長翅型が現れるようです。

● ヒメアメンボ Gerris lacustris


 上は食事中のヒメアメンボです。 腹の縁が黄色く縁取られ、前脚腿節に黒条があります。

● シマアメンボ Metrocoris histrio



 流れのある所に棲むアメンボです。 多くは上のように無翅型ですが、秋以降には長翅型が出現します。
(◎ シマアメンボはこちらにも載せています。)


2018-07-29

マルバコオイゴケ


 上の写真、いろんなコケが混じっていますが、多くはマルバコオイゴケ Diplophyllum obtusifolium でしょう。


 茎の幅は葉を含めて1mmほどです。


 ヒシャクゴケ科は背片より腹片の方が大きいのですが、Diplophyllum属の特徴として、腹片の中ほどで鎌状に曲がっています。 葉先は円頭です。


 葉の縁は鋸歯状です。 葉身細胞にトリゴンは見られません。

(2018.6.1. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)

2018-07-28

キシタバ


 写真はキシタバ Catocala patala でしょう。 前翅の表は目立たないくすんだ色をしているのですが、鱗粉が光を反射するようで、フラッシュを当てると、上の写真のようになかなかきれいな色がでます。
 キシタバは蛾の愛好家の中で人気のカトカラの一種です。 人気の秘密は、前翅からは想像できない後翅の表の鮮やかな模様です。 ただ、この後翅の模様は、自然の下では樹液を吸うのに夢中である時などを除けば、おとなしく止まっている時には上の写真のような姿しか見えません。 鳥につつかれそうになった時など、危険が迫った時などにパッと鮮やかな後翅を見せて驚かすのでしょう。


 翅の一部の裏側が葉からはみ出て撮る事ができました。 後翅の表の鮮やかさは残念ながらありませんが、模様のパターンの一部はわかります。

(2018.7.10. 堺自然ふれあいの森)

2018-07-27

ソリハヤナギゴケ




 写真はヤナギゴケ科のホソコガネハイゴケ Campylium hispidulum var. sommerfeltii のようです。 水に沈んだ腐木上で育っていました。 基本種のヤナギゴケモドキとは翼細胞の形態等で区別されています。
◎ ソリハヤナギゴケに訂正します。 詳細はこの記事の最後の追記をご覧ください。
 蒴柄は植物体に比較して長く、蒴は傾き、非相称です。


 茎は這い、不規則に枝分かれしています。 上は乾いた状態ですが、葉は開出しています。


 枝の幅は、枝についている葉の尖った先までを含めても1mm以下です。


 茎葉は目立たない歯があるか全縁です。 上の写真では2叉する中肋がぼんやり見えますが、ほとんど分からない葉も多くありました。 翼細胞は矩形です。


 葉身細胞は楕円状菱形です。


 ヤナギゴケ科の蒴は、ほぼ等長の外蒴歯と内蒴歯が各16本ずつ揃っています。 上はそのうちの1本の外蒴歯と、その先の部分の拡大です。 外蒴歯の上部にはパピラが、下部には横条が見られます。
 下は内蒴歯です(上とは拡大率が異なります)。 内蒴歯の歯突起は高い基礎膜の上にあり、歯突起の間には関節のある間毛が存在します。


(2018.6.1. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)

------(以下 2018.12.24.追記)--------------------------------------------------
 写真のコケは、当初はヤナギゴケモドキの変種ホソコガネハイゴケ Campylium hispidulum var. sommerfeltii としていましたが、識者よりソリハヤナギゴケ C. squarrosulum ではないかと連絡いただきました。
 平凡社の図鑑では、ソリハヤナギゴケは、種別の解説は無く、検索表にあるのみで、ヤナギゴケモドキの中肋が「ふつう2叉し、葉の1/2以下で終わる」となっているのに対し、ソリハヤナギゴケは「中肋は1本で葉長の2/3に達する」となっています。
 野口図鑑でヤナギゴケモドキとソリハヤナギゴケを比較すると、前者の蒴は上の写真のようにやや傾いているのに対し、後者の蒴は傾きが大きく斜め下を向いています。 また蒴歯の様子も図鑑の図は前者のものに似ています。 中肋については、前者の茎葉の中肋はとても短く2叉していて、枝葉には中肋が描かれていません。 一方、後者の茎葉には長い中肋があり、枝葉にも短い中肋が描かれています。 そこで再度葉を顕鏡してみました。


 上は枯れて茶色くなっていますが、できるだけ太い茎についていた葉を選んで撮ったものです。 他の葉の葉先付近がくっついていますが、中肋は葉の中央部付近にまで達しています。


 上は枝葉です。 数枚の葉を顕鏡しましたが、いずれの葉も不明瞭ですが、上の写真のようにやはり中肋があるようです。

 以上のように、蒴の様子はホソコガネハイゴケを含むヤナギゴケモドキに似ていますし、葉の様子はソリハヤナギゴケに似ているのですが、とりあえず中肋を重視し、ソリハヤナギゴケとしておきます。

2018-07-26

シオヤアブ



 上の2枚はシオヤアブ Promachus yesonicus のオスで、下の2枚はメスです。 オスの腹端には白い毛の束があります。 上も下も7月24日に「堺自然ふれあいの森」で撮った写真ですが、夏の日あたりの良い場所でよく見られます。



 シオヤアブが餌としているのは他の昆虫で、飛翔中の昆虫を背後から襲う場合が多いようです。


 上はとても小さなハチを捕らえていますが、自身より大きな獲物を捕らえることも多く、中型のスズメバチも餌にしてしまいます。


 上は交尾の様子です。



2018-07-25

ツツソロイゴケ


 写真のコケ、旧ツボミゴケ属であることはすぐ分かりますが、この属のコケはどれもよく似た姿をしていて、種の同定には花被や油体の様子などの観察が必要で、肉眼レベルでの同定は困難です。 ただ、写真のコケは倒木上で育っていて、倒木上に育つこの属のコケは珍しく、ツツソロイゴケだろうと思います。
 なお、上で「旧」ツボミゴケ属と書きましたが、従来ツボミゴケ属とされていた多くのコケがこの属から外れています。 ツツソロイゴケも平凡社の図鑑ではツボミゴケ科のツボミゴケ属( Jungermannia )に分類されていますが、日本植物分類学会監修の「新しい植物分類学II」(講談社)ではデラヴァイゴケ科(Delavayellaceae)が新しく作られており、ツツソロイゴケはこの科に分類され、学名は Liochlaena subulata となっているようです。



 葉身細胞は薄壁で、大きなトリゴンがあります(上の写真)。 油体は少し放置していたこともあって、上の写真でははっきりしません。 しかたなく、油体が残っている斜めになっている葉を見たのが下です(上とは倍率が異なっています)。


 油体は球形~楕円体で、微粒の集合です。


 上は、胞子体は既になくなっていますが、胞子体をつけることで弱り、茶色くなってしまった雌株です。 下は同じ株を上から花被にピントを合わせて撮っています。
 平凡社の図鑑には、「花被は倒卵形,稜がなく,切頭,嘴は長い。」とあります。 どこまでが花被かよく分からないこともあり、「倒卵形」は疑問ですが・・・


(2018.5.30. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)




2018-07-24

ウスタビガの幼虫と蛹

 せっかく青森にまで行ったのだからと、コケを中心に青森県で撮った写真を載せているうちに(まだもう少し載せます)、地元で撮った写真がどんどん“賞味期限切れ”になりつつありますが、しかたありません。



 上はウスタビガ Rhodinia fugax の幼虫で、6月16日に「堺自然ふれあいの森」で撮影したものです。 もう今ごろは繭を作っている時期で、このような幼虫を見ることはできないでしょう。 ただしこの繭も葉と同じ緑色で多くは葉の陰にありますから、なかなか見つけられません。
 ウスタビガは晩秋に羽化します。 そして落葉した林に羽化後も緑色のままのウスタビガの繭が目立つようになります。


 上は3月に撮ったウスタビガの繭で、冬を越して美しさも減衰してきています。 しかしこの時期になっても中を調べてみると・・・


 蛹の抜け殻はちゃんと残っていました。



2018-07-23

ヌマエビ・スジエビ

 暑い日が続いていますので水に棲む生物を、ということで、淡水エビ2種類の紹介です。 といっても、あまり涼しそうな写真でもありませんが・・・ いずれも堺自然ふれあいの森で見られるエビです。 なお、日本(本土)産淡水エビは、テナガエビ科の4種とヌマエビ科の8種です。


 上はヌマエビ科の一種です。 上でヌマエビ科は8種と書きましたが、釣り餌用やアクアリウムのコケ掃除役として輸入された外国産のものや、それらとの交雑もあり、種名はよく分かりません。


 上の写真では、右下にヌマエビ科が1匹いますが、中央から左上にかけて4匹いるのが、テナガエビ科のスジエビ Palaemon paucidens です。 白っぽい所に白っぽいエビで分かりにくいのですが、テナガエビ科だけあって、長い脚を持っています。

2018-07-22

コクサゴケ


 写真はコクサゴケ Dolichomitriopsis diversiformis でしょう。


 上の写真の黄色の四角で囲んだ所がコクサゴケです。 コクサゴケはこのような樹幹の基部や朽木によく見られます。


 枝の幅は葉を含めて1~1.5mmほどです。


 葉は舟状に凹んでいます。 中肋は葉の中部以上に達しています。 上の写真の倍率では、葉は全縁のように見えますが・・・


 葉先は鋭頭で、上の写真のような小さな歯が見られますが、ほとんど全縁のような葉もありました。


 中肋はふらつきがちで、ときに短く分枝する傾向が見られます。


 翼細胞は丸みのある方形です。 なお、上の写真は深度合成しています。


 葉身細胞は厚壁です。 長さは平凡社の図鑑では 16~25μmとなっていますが、もっと長い細胞ものもたくさんあります。


 上は少し離れた所で採集したもので、胞子体をつけて少し弱っているようですが、やはりコクサゴケだろうと思います。 蒴は円筒形で直立し、蒴柄の長さは1cmほどです。


 上は蒴歯を蒴の内側から見たものです。 上の写真には外蒴歯が7本写っていますが、16本あることは確認できています。
 平凡社の図鑑には「内蒴歯の歯突起は破片状で外蒴歯に付着する。」とあります。 上の写真でそれが写っているのかどうか、よく分かりません。

(2018.6.1. 青森県 蔦沼めぐり自然研究路)

◎ コクサゴケはこちらにも載せています。