2019-08-27

NHK文化センター神戸教室で1日講座を行います


 「探検!ミクロな生物の世界~そよ風氏の理科の時間~」のタイトルで、NHK文化センター神戸教室で1日講座を行います。
 最近のこのブログはコケが中心になっていますが、数年前は、むしろ小さな昆虫を中心に、写真で紹介してきました。
  これらコケ植物や小さな昆虫などは、すぐ身近にいても小さすぎて気づきにくい存在ですが、よくみればなかなかおもしろい驚きの世界です。 今回はそんな世界を2時間のダイジェストにして紹介するとともに、そんな世界が私たちの日常の生活とも密接につながっていることなどをお話ししようと思っています。 ぜひご参加ください。

 申し込み等詳細はこちらからお願いします。


 

2019-08-26

ホソミズゴケ


 大阪市立自然史博物館の「標本の名前を調べよう」で分けていただいたホソミズゴケ Sphagnum teres です。 水に浸かることの多い場所に育ち、平地から高山帯まで分布しますが、産地は少ないようです。
 枝の付き方はやや疎で、なまえのとおりスリムな印象を受けます。


 ミズゴケの仲間としては中型で、枝葉は長さ1~1.5mmで、先端はやや反り返っています。


 上は開出枝の枝葉で、卵状披針形です。


 上は枝葉背面の中央部です。 写真の右上が葉先方向ですが、透明細胞の先端に大きな孔があり、これが本種の特徴の1つです。


 上は枝葉の中央部を腹面から撮ったものです。


 上は枝葉の横断面です。 葉をまとめて切断したので、上は3枚の葉の断面が写っています。


 上は茎葉ですが、右側の上部が折れ重なってしまいました。 下は別の茎葉の右側上部の拡大です。


 茎葉の先端部は総状に裂けています。 写真の下には舷が見えています。


 上は茎の断面です。 表皮細胞は2(~3)層で、表皮に孔は見られません。

◎ ホソミズゴケはこちらにも載せています。


2019-08-24

蒴をつけたイヌケゴケ


 岩にへばりつくように育っているイヌケゴケ Schwetschkeopsis fabronia が蒴をつけていました(上の写真)。 平凡社の図鑑では、本種の蒴は稀となっています。


 乾いた状態では、葉は枝や茎にピタリとくっついていますが、湿ると上のように開きます。 大きい葉の長さは1mmほどあります。


 葉は卵形~卵状披針形で、やや急に細くなっています。 あるような無いような中肋ですが、これについてはこちらを見てください。 翼部の細胞は方形~短い矩形です。


 上は葉の上部の葉縁で、葉身細胞は楕円形~楕円状線形です。 もう少し葉の中央に近い葉縁の細胞では、最も外側の細胞壁は、その内側の細胞壁より薄くなっています(こちら)。

(2019.5.21. 大阪府高槻市 摂津峡)

2019-08-23

コクサゴケ


 木の根元にあった写真のコケ、コクサゴケ Dolichomitriopsis diversiformis のようです。 蒴は円筒形で、直立しています。 京都府北部に位置する芦生には北方系のコケも入り込んでいて、本種も北海道~九州に分布していますが、比較的北に多いとされているコケです。


 ほぐしてみると鞭枝が見られました。 こちらに載せているコクサゴケでは鞭枝は見られなかったので、気になって調べてみました。
 平凡社の図鑑では、同じ科のヒメコクサゴケ Isothecium subdiversiforme については、「枝先は細く、ときに細い鞭状に伸びる。」とありますが、本種については「枝先はあまり細くならない。」とあります。 枝先が細くなることと、枝全体が鞭枝となることとは別かもしれませんが・・・。
 コケ雑記さんの記事でも、鞭枝のあるコクサゴケが載せられています(こちら)。 生育環境によって、鞭枝が見られたり見られなかったりするのかもしれません。


 枝の幅は、葉を含めて1~1.5mm、葉は長さ1~2mmで、舟状に凹んでいます。 上の写真は濡れた状態ですが、葉はそんなに開いていません。


 中肋は葉の中部以上に達していて、少し左右にゆれています。


 葉先は鋭頭で、細かい歯があります。


 翼細胞は丸みのある方形です。

(2019.5.25. 京都府 芦生研究林)

◎ コクサゴケはこちらにも載せています。


2019-08-22

ハチヂレゴケ


 陽のよく当たる岩上に生えていた写真のコケ、ハチヂレゴケ Ptychomitrium dentatum (別名タチギレゴケ)のようです。


 上は乾いた状態で、下は湿った状態です。


 葉は乾くと内曲します。 蒴柄の長さは、上の写真のものでは2mmほどで、茎や蒴の長さに比較して短く感じます。
 蒴はかなり時間がたっているようで、蒴歯もほとんど欠けていましたので、以下、葉について観察しました。


 上部の葉縁には大きな鋸歯が見られます(上の写真)。


 上は葉の背面から中肋にピントを合わせています。 中肋は葉頂下で終わっています。


 葉身細胞は、基部の長い矩形から、上部に向かうにつれて丸みのある方形になっていきます。


 上部の葉縁の鋸歯は数細胞からなっています。

(2019.6.12. 神戸市北区 道場)

◎ 帽のある蒴をつけたハチヂレゴケをこちらに載せています。


2019-08-21

タチヤナギゴケ


 木の太い枝についていた写真のコケは、タチヤナギゴケ Orthoamblystegium spurio-subtile でしょう。 本州と四国に分布し、本州では日本海側に多いことが知られています。 写真のコケも、京都府と福井県の県境近くのものです。




 茎は糸状で、基物上を長く這い(上の写真では見えていません)、そこから長さ数mmの枝を出し、長さ 0.5~0.7mmの披針形の枝葉を密につけています。 蒴は直立し、蒴柄の長さは上の写真では8~9mm、平凡社の図鑑では3~10mmとなっています。




 上の3枚は枝葉で、3枚目は深度合成しています。


 上は葉の基部近くですが、中肋と葉縁にピントが合っています。 これは下部の葉縁が軽く反曲しているためです。


 上は葉の背面を見ていて、右上が葉先方向です。 背面であることを確実にするために枝についたまま見ていて、下にも葉があって透明感がありませんが、細胞の背面上端に小さな突起があることが分かります。


 蒴歯は、上の写真では1列で16本のように見えますが、痕跡的な内蒴歯が外蒴歯に付着している場合もあるようです。


 外蒴歯は小さいパピラで覆われています(上の写真)。

(2019.5.26.)

2019-08-20

ナガスジススキゴケ



 昨日に続いてススキゴケ属の小さなコケです。これも大阪市立自然史博物館の「標本の名前を調べよう」で調べてもらったもので、ナガスジススキゴケ Dicranella varia だろうということになりました。 やはり保育社の図鑑には記載が無く、平凡社の図鑑も小さな写真と検索表にあるのみのコケです。


 上の写真では茎は2mmほど、長い蒴柄を持つ胞子体をあわせても、高さは7mmほどです。 胞子体は濃い赤褐色です。


 上はこのコケを観察している様子です。 胞子を飛ばし終えた時期で、植物体も弱っていて緑色が薄れて褐色ぎみになっていることもあり、肉眼では砂粒に紛れて、場所を示されても存在が分かりません。
 北海道、本州、四国の低地~山地の裸地面に生えるコケのようで、今回みつけた場所も、上の写真のように、やはり裸地面でした。


 葉は卵形の基部から、やや急に細くなり、針状に伸びていますが、葉先は鈍頭です。 中肋は、上の写真でははっきりしませんが、葉先には届いていないようです。


 上は葉の基部付近です。 葉身細胞は平滑で、翼部は分化していません。


 上は茎(中央)と葉(右)の横断面です。 披針形の葉を持つコケは、ギボウシゴケ科、センボンゴケ科、シッポゴケ科などがありますが、これらのどれに分類されるかを調べるポイントの1つに、パピラやマミラの有無があります。 しかし低いパピラやマミラの場合は、表面からでは分かりにくいので、葉の断面を確認すれば確かです。 上の写真では、たくさんのゴミがついていますが、パピラは確認できませんから、センボンゴケ科ではないことが分かります。


 上は蒴を拡大した写真で、蒴歯は1列16本、先端は2裂しています。 このような蒴歯はシッポゴケ科によく見られます。


 蒴歯は全体がパビラに覆われています(上の写真)。 2裂しているのは蒴歯の先端部分のみですが、それに続く縦の条が蒴歯の基部まで続いています。

(2019.3.13. 兵庫県三田市)

こちらには帽のある蒴をつけた本種の様子を載せています。


2019-08-19

イヨススキゴケ



 8月18日に大阪市立自然史博物館で催された特別行事「標本の名前を調べよう」で調べてもらったコケで、イヨススキゴケ Dicranella gonoi だろうということになりました。 保育社の図鑑には記載が無く、平凡社の図鑑も小さな写真と検索表にあるのみです。


 葉の長さは1mm前後、蒴柄は長く、蒴は直立しています。




 下部の葉は披針形、上部の葉は幅広い基部からやや急に細くなっています。


 上は葉の基部近くの葉身細胞です。 翼部の細胞は分化せず、葉身細胞は平滑ですが、これらは Dicranella(ススキゴケ属)の特徴です。

(2018.10.3. 金剛山 登山道脇の土上)