9月27日に堺植物同好会の観察会が泉北ニュータウンの栂・美木多地区で実施されました。 いろいろな植物を観察しましたが、そのうちの1種がガガブタ Nymphoides indica でした。 あちこちの池で美しく咲いていたのですが、柵がしてあり、近づけません。 採集していただいたものを間近に観察することができたのですが、ここでは Part1からの引っ越しも兼ねて、これまでに撮った写真を使い、ガガブタについてまとめなおすことにしました。 上も2023年8月31日に神戸市立森林植物園で撮った写真です。
ガガブタは本州や九州に分布する多年生の水草です。 花は径1.5cmほどで、7月~9月頃に咲き、朝に開き夕方には水中に没する1日花です。 花弁の周囲は細かく裂けていて、いちめんに毛が生えたようになっています。
葉はスイレンに似た少し小ぶりの浮葉で、属名の Nymphoides も「スイレン( Nymphaea )に似た」という意味です。 しかし、スイレンはスイレン科ですし、ガガブタはミツガシワ科の植物で、花も違えば全体の体制も異なります。
上はガガブタを少し持ち上げて花柄の付け根付近を撮った写真です。 たくさんのツボミも残っています。 花はどこについているのでしょうか。
花の基は花芽という芽です。 種子植物の芽のできるところは、茎の先端と葉の付け根の2ヶ所しかありません(前者の芽は「頂芽」、後者の芽は「腋芽」と呼ばれています)。 長い葉柄の途中に花がつくことはありません。
つまりガガブタは、下に示すように、水面近くまで伸びる長い茎があり、その先にたくさんの花芽や短い葉柄を持つ葉をつけていると理解すべきでしょう。 そしてその花芽が順次伸び、次々と花を咲かせていきます。
ちなみに、スイレンの茎は地下茎で、そこから水面まで長い葉柄を伸ばして葉を広げます。
上の写真には伸びはじめた殖芽(しょくが)も写っています。 本種は茎と葉柄の境から根を出すことも可能で、例えば水位が下がった時に、ここから出た根で定着するなど、スイレンとは違った生活を可能にしています。 ガガブタは夏から秋にかけて、この根がバナナの房のように変形し、さらに肥大して太く短くなり、その根が集合して房状となった殖芽というものをつくります。 寒くなると茎や葉は枯れますが、栄養を蓄えた殖芽が水底に沈み、春になると殖芽から新しい株が育ちます。 その際、殖芽に貯めた栄養を使って水面近くまで茎を伸ばさなければならず、ガガブタは水深の深い所では育つことができません。
上は9月27日に見たガガブタの花で、メシベが突き出し、その基部にオシベが見えます。 じつはガガブタにはメシベが長いタイプの花(長花柱花)とメシベが短いタイプの花(短花柱花)の2つのタイプの花があり(異型花柱性)、上は長花柱花です。
長花柱花と短花柱花の違いは遺伝的に決まっているようです。 そして本種には自家不和合性があり、異なるタイプの花同士で受粉しなければ種子ができません。
観察した池とその周辺の池のガガブタの花は全て長花柱花でした。 つまりこのあたりのガガブタは種子を作れず、殖芽によって増えたものなのでしょう。 上の写真でも、花粉はちゃんと作られているように見えるのですが、2~3枚目の写真の花の終わった後を見ても、種子ができそうな様子はありません。
上の写真はオシベにピントを合わせていますので、メシベはボケています。 メシベにピントを合わせた写真を下に載せておきます。
上は長花柱花のメシベの拡大です。柱頭は2裂し、縁には毛が密生していて繊細なつくりです。
上はいちばん最初の写真の花で、短花柱花です。 5本のオシベが目立っています。 なお、このオシベは花粉を出してしまった後のようです。 そしてよく見ると、花の中央に小さなメシベがあります。



























