2020-04-02

マエバラムチゴケ


 写真はマエバラムチゴケ Bazzania mayebarae でしょう。 スギの樹幹を這っていました。 二又分枝も少なく、鞭枝もあまり目立たず、肉眼的にはあまりムチゴケの仲間らしくありません。
 国内での分布は、平凡社の図鑑では紀伊半島以南となっていますが、もう少し広がっているようです。


 葉を含めた茎の幅は5mmほどの小さいムチゴケです。 よく伸びた茎につく葉は離在しています。


 多くの葉の先端には1~2個の歯があります。


 小さなコケで腹葉はきれいに外せなかったのですが、上の写真の赤い矢印の所で、腹葉が葉と重なっていないところがあります。 ここを見ると、腹葉は透明です。 腹葉が透明なムチゴケは、本種以外にはムチゴケコムチゴケがあるのみです。


 腹葉は先が少し凹んでいて、葉縁は全縁です(上の写真)。


 細胞の表面にはベルカと呼ばれている微小突起があり、ボコボコしています。

(2020.3.4. 屋久島)

2020-04-01

カタウロコゴケ



 写真はカタウロコゴケ Mylia taylorii です。 北半球の冷温帯が分布の中心の北方系のコケですが、屋久島の 1,400m付近の樹幹についていました。 腐植土上に生育するコケのようですが、屋久島の樹幹で厚くなったコケの層は腐植土並みなのかもしれません。


 葉の長さは3mmほどです。 イボカタウロコゴケの葉の背縁は外曲していますが、本種の葉の背縁に外曲は見られません。


 葉は卵形です。 平凡社の図鑑では小さな腹葉があるように書かれていますが、腹面の茎上には仮根がびっしりついていて、存在しているとしても、何らかの工夫をしないと確認できないでしょう。


 葉身細胞の表面は著しいひび割れ状です(上の写真)。

(2020.3.3. 屋久島)

2020-03-31

ヤクシマムチゴケ


 上は樹幹のコケを撮った写真で、いろんなコケが混生していますが、二又分枝を繰り返し、葉先を少し上に持ち上げているのがヤクシマムチゴケ Bazzania praerupta です。


 上は腹面からです。 少し乾いてきて葉は腹方に偏向しかけています。 白っぽく見えているのは雄花序だと思うのですが、若すぎるのか、解剖しても分かりませんでした。


 葉の先端の歯は3(~4)個で、葉を含めた茎の幅は2~3.5mmです。 腹葉の幅は茎径の 2.5~3倍です。


 上は腹葉です。 全縁で、基部が耳状になっています。


 上は葉身細胞です。

(2020.3.3. 屋久島)

2020-03-30

ルソンゴヘイゴケ



 写真はルソンゴヘイゴケ Thysananthus aculeatus でしょう。 生育場所は、平凡社の図鑑では樹幹に着生とありますが、渓流脇の岩上でした。 国内での分布は、鹿児島県~琉球列島となっています。
 植物体は緑褐色で、背面から見ると、楕円形の背片が2列に重なりあっているように見えます。


 上は腹面から撮っています。 葉を含めた茎の幅は1~2mmです。


 上は腹面を上にして横から撮っています。 腹葉は立ち上がっています。


 上は腹面からの顕微鏡写真です。 プレパラートにすると、腹葉はカバーガラスに押さえられて寝てしまいます。
 背片は鈍頭で、腹片は上の写真では腹葉に隠されてよく分かりません。 腹葉は広卵形で茎径の約4倍幅です。


 上は葉です。 背片には主に腹縁に微鋸歯があります。 腹片は背片の 1/3~1/4長で歯牙が見られます。


 上は腹片の歯牙を中心に拡大しています。 第1歯は基部が2細胞幅で数細胞長、第2歯は不明瞭です。


 上は腹葉です。 平凡社の図鑑では全縁となっていますが、縁は鋸歯状で、円頭です。


 葉身細胞は厚壁で、大きなトリゴンがあります。 上の写真では多くの油体が白ツブレ状体になってしまいましたが、油体はブドウ房状です。


 トリゴンは2辺(上の写真の赤丸)で膨れ、1辺(上の写真の青丸)で凹んでいます。

(2020.3.4. 屋久島)

2020-03-29

マツバウロコゴケ


 写真はマツバウロコゴケ Blepharostoma trichophyllum です。 分布は全国のブナ帯以上です。
 写真は屋久島の標高 1,000m付近で撮っていますが、屋久島には標高1,935mの山もあり、亜熱帯から亜高山帯までの気候帯に加え、複雑な地形も関係して、コケの分布も複雑に入り組んでいるようです。


 葉は長さ 0.5mm前後あります。 前に低地の山道の土手などでよく見られるチャボマツバウロコゴケを載せていますが(こちら)、大きさは全く異なります。


 葉は茎の先端部のものほど大きくなる傾向があるようです。


 葉は基部まで3~4裂し、葉裂片は1細胞列です。 腹葉は葉とほぼ同じ形をしています。 チャボマツバでは各葉裂片は内曲していますが、本種の葉裂片の伸びている方向はバラバラです。  平凡社の図鑑では細胞の長さは幅の約3倍となっていますが、せいぜい 2.5倍ほどです。 下は葉裂片の細胞です。


(2020.3.3. 屋久島)

◎ マツバウロコゴケはこちらにも載せています。