2018-09-18

ヤマアカガエル


 ホソバオキナゴケの生えた木の幹をよじ登るヤマアカガエル Rana ornativentris の幼体です。 本種の体色は、オレンジ色~褐色と個体により変異がありますが、この個体はなかなか美しい色をしていました。


 背面から見ると、ニホンアカガエルの背側線粒上隆条がほぼ平行であるのに対し、本種のそれは鼓膜の後ろから左右から近づくように曲がっています。 なお、周囲に写っているのはコムチゴケで、細い線はコケの隙間に棲むクモの糸です。


 腹面を撮ろうとしてうまく撮れませんでしたが、下顎に斑紋が多いことは何となく分かります。 この斑紋はわき腹にも続いていて、種小名の ornativentris は「飾り立てた腹」の意味で、この斑紋に由来すると思われます。 ちなみに、ニホンアカガエルの下顎には斑紋はありません。

(2018.9.12. 京都市 大原)

2018-09-17

ギンゴケの葉を撮る


 上はギンゴケ Bryum argenteum の葉ですが、少し工夫して撮っています。
 ギンゴケの葉は、葉緑体を持った細胞とそうでない細胞からなるおもしろい葉ですが、これまで1枚の葉をうまく撮れたことがありませんでした。 ギンゴケの葉は丸みがあるうえに、特に葉緑体を持つ細胞と持たない細胞で剛性が異なるのか、その境付近で裂けやすいようで、慎重に扱っても、こちらのようにカバーグラスの重みで葉が裂けてしまいがちです。


 1枚目の葉は、上の写真のよく伸びたギンゴケの葉です。



 上は1枚目の葉の写真を撮って顕微鏡から下ろしたプレパラートです。 要は葉に直接カバーグラスの重みがかからなければいいわけですから、CDの中央付近を切り取ったものをスライドグラスに張り付け、その凹みに葉を入れて水を満たし、カバーグラスをかけています。
 葉は押し潰されていませんから、葉の中央部と縁とでは高低差があり、1枚目のような写真を撮るには深度合成しなければなりません。 1枚目の写真は、顕微鏡 10×10 の倍率で 15枚の写真を撮り、深度合成しています。

(材料のギンゴケは 2018.9.12.に京都市大原で採集)

2018-09-16

ヒメコクサゴケ



 岩をすっぽり覆っているコケ、雨後で濡れていることもあって、上の写真から種名を言える人を私は尊敬しますが・・・


 1枚目の写真でも、よ~~く見ると、上の写真のように枝先が所々鞭状に伸びています。 上の写真からも分かるように、1枚の葉の大きさはいろいろで、葉の形も小さい葉ほど細くなっています。


 上は少し小さめの葉です。 葉は凹んでいて、葉縁にピントを合わせると、中央部はボケてしまいます。 中肋は葉の中央以上に達していて、中肋にピントを合わせても、ははっきりしない終わり方をしています。 翼部は緑色が濃くなっています。


 葉先の縁には、やや大きな不規則な歯があります。 以上の観察結果は、図鑑のヒメコクサゴケ Isothecium subdiversiforme の記載ともよく一致していますが・・・


 上は翼部を深度合成したものです。 平凡社の図鑑では「翼部の細胞は方形~矩形で濃緑色の区画をつくる。」となっています。 しかし上の写真では、翼部の細胞は葉身細胞より短くはなっていますが、方形~矩形とは言えないでしょう。

(2018.9.12. 京都市 大原)

こちらには胞子体をつけているヒメコクサゴケを載せています。

2018-09-15

ハイチゴザサ



 植林の中の小径の脇に咲いていた写真のイネ科、チゴザサと同属のハイチゴザサ Isachne nipponensis でしょう。 地面を這う小さな植物ですが、その花序を拡大すると・・・


 ちょうど花の時期で、ルーペで見ると、紅色のメシベがとてもよく目立ちます。 キビ亜科( Panicoideae )の小穂は2小花からなり、下側の小花は小さく雄性で実をつけない傾向があるのですが、本種の小穂を構成する2つの小花はほぼ同大で、下側の小花も美しいメシベを出しています。 なお、チゴザサでは小穂の柄に腺体がありましたが、本種にはありません。


 小花をさらに拡大してみると(上の写真)、苞頴の背面上部には長い毛があり、護頴の背面にも短い毛があります。


 葉には表にも裏にも立った毛がまばらに生えています。 ルーペで観察すると、葉の縁は白く縁取られ、微細な歯が並んでいます。

(2018.9.12. 京都市 大原)

2018-09-14

6月のウマスギゴケ

 昨日は9月の成熟した蒴をつけたウマスギゴケを載せました。 また、4月に撮った、とても若い蒴をつけたウマスギゴケをこちらに載せています。 じつは今年の6月にもウマスギゴケを撮っていて(下の写真)、4月、6月、9月と並べると、蒴の変化がよくわかりますし、葉の断面なども観察していますので、以下、この6月のウマスギゴケについて書くことにします。



 ウマスギゴケ Polytrichum commune は雌雄異株で、蒴をつけているのは雌株です。 蒴は帽の密生した毛にすっぽりと覆われています。



 帽の毛を取り除くと、蓋のある蒴が現われます。 蒴には稜があります。 この時期の蒴は、本種の特徴である頸部のくびれがとてもはっきりしています。



 上は雄株です。 苞葉は膜状になった縁が幅広く広がって造精器を保護しています。



 上は葉の断面です。 薄板の様子はスギゴケの仲間を同定するポイントの1つです。 ウマスギゴケの薄板は、平凡社の図鑑では5~7細胞列の高さとなっていて、上の写真では7細胞列ほどの高さがあります。 端細胞は凹形です。

(2018.6.1. 青森県 蔦沼)