2026-10-14

コカヤゴケ

 

 写真はコカヤゴケ Rhynchostegium pallidifolium でしょう。 土の斜面にありました。

 茎は不規則に分枝しています。 枝の様子を見ると、枝葉が左右に開き、カヤの枝を連想させます。
 蒴柄は約2cm、蒴は傾いています。

 上は乾いた状態で、葉は縮れていますが、茎に接しません。 葉はやや光沢があります。

 上は茎葉です。 卵状披針形で、長さ 2.5~3㎜、翼部は不明瞭で、中肋は細く、葉長の2/3ほどの所で終っています。

 上は葉先です。 ほとんどの葉で葉先がこより状にねじれていました。

 葉縁上部には細かい歯があります(上の写真)。

 葉身細胞は線形で、長さ120~150μm、幅 5~7μmです。

 上は枝葉です。 茎葉と比較すると小形ですが、特徴はほぼ同じです。

 上は蒴です。 帽は僧帽形で、蓋には長い嘴があります。 蒴柄は平滑です。

(2026.10.10. 高槻市 摂津峡)

◎ コカヤゴケはこちらやこちらにも載せています。

カヤ

 上は河内長野市の神社にあったカヤ  Torreya nucifera です。 大木ですので、全体の様子は諦め、幹と葉の様子がどうにか分るように撮っています。
 カヤはヒノキ目イチイ科の常緑針葉樹で、自生地は宮城県以西ですが、材は建築や高級碁盤・将棋盤に用いられ、油源植物の一つでもあり、種子は食用となるため、植栽もされ、庭木としても利用されます。

 葉は線形で、断面は扁平で表面が膨らみ、中脈ははっきりしません(上の写真)。
 本種は雌雄異株です。 上の写真は雄株で、雄花が少し見えています。

2026-10-13

コバノイトゴケ

 写真はコバノイトゴケ Haplohymenium pseudotriste でしょう。 樹幹についていました。 上は乾いた状態ですが・・・

 湿ると上のようになります。 細長いコケで、葉を広げた状態でも、葉を含めた枝の幅は 0.5㎜ほどしかありません。

 上は葉です。 葉先は、上の写真では広い鋭頭ですが、2枚目の写真のように円頭の葉も混じります。 中肋は、分かりにくい場合もあるのですが、葉の中部以上に達しています。


 上の2枚は葉身細胞です。 葉身細胞も幅6㎜以下と小形で、4~6個のパピラがあります。

(2026.10.10. 高槻市 摂津峡)

◎ コバノイトゴケはこちらにも載せています。

2026-10-12

ナガハハリガネゴケ

 写真はナガハハリガネゴケ Bryum coronatum でしょう。 裸地に育っていました。 なお、平凡社にも野口にもナガハリガネゴケ Bryum leptocaulon が載せられていますので、和名には注意が必要です。
 上は乾いた状態で、葉は茎に密着しています。

 湿らせると葉は上のように開きます。 蒴は短く、垂れ下がっています。

 葉は長さ約1.5㎜、披針形~卵状披針形で、葉縁は反曲し、中肋は葉先から長く突出しています(上の写真)。 

 舷は不明瞭で、葉身細胞は狭菱形~長六角形で、長さ20~50μmでした(上の写真)。

 上は蒴です。 壺と同じかそれより太い頸部があります。

(2026.10.10. 高槻市 摂津峡)

◎ 上の蒴はまだ若く緑色をしていますが、赤くなった蒴の様子をこちらに載せています。

2026-10-05

ハナガガシ

 上は堺植物同好会の観察会で見たハナガガシ Quercus hondae です(2026年9月27日 泉北ニュータウンの栂・美木多地区で撮影)。
 ハナガガシは、四国南西部(高知・愛媛県)と九州中南部(大分・熊本・宮崎・鹿児島県)にのみ分布する、非常に珍しいブナ科の高木です。 分布する県でも絶滅危惧種扱いされており、環境省のレッドリスト(第5次、2025 年)では「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されています。 ネット検索によると、関西地方でも泉北ニュータウン以外では、京都府立植物園と和歌山県植物公園緑花センターに植栽されているものだけのようです。
 撮影場所のハナガガシも、たぶん近くにたくさん植栽されているシラカシに混じって、シラカシの苗木として気づかずに植えられたもののように考えられます。 公園創設時期から考えて、この地のハナガガシは植栽後約40年経っていると思われ、3本のハナガガシは胸高直径が10cmを超えるまでに成長しています。 ハナガガシは周辺に全部で73個体あるのですが、上記の3本以外は、この3本から落ちたどんぐりから成長した個体と考えられます(木村ら 2025)。

 葉はツクバネガシのように枝先に集まってつく傾向にあります(上の写真)。

 上でシラカシの苗木として植えられたのではないかと書きましたが、たしかにシラカシと似ていますので、2種を並べてみました。 上は葉の表から、下は葉の裏から撮った写真で、いずれも左がシラカシで、右がハナガガシです。

 本種の和名を漢字で書くと「葉長樫」となり、いわゆるどんぐりができるブナ科の仲間では最も葉が長くなるのですが、上の写真のシラカシの葉もかなり細長いですね。 平均するとシラカシよりも大きな葉です。 本種の葉表は濃緑色、葉裏は淡緑色ですが、白っぽいシラカシの葉裏と比較すると、それよりは濃い緑です。
 葉の基部は、シラカシよりなめらかに葉柄に繋がっています。 また、主脈が葉の裏表に凸出しています。

 上は本種の冬芽です。 細くとても長い冬芽も本種の特徴の1つで、9月下旬では上の写真のような状態ですが、これからもっと長く大きく成長するはずです。

【参考文献】
木村進・今井周治・出原茂樹・長尾祐司(2025).西原公園(堺市南区)のハナガガシ―毎木調査報告-.堺植物同好会会報「堺植物」第65号,pp.12-15.