2026-07-07

フクロクラマゴケモドキ属の1種

 上は道盛氏がニュージーランドで観察されたコケで、毎月第4火曜日にZoomを使って行われている岡山コケの会関西支部の「コケサロン」で紹介されました。 腹片が袋状になった腹片に刺状のものがあるなど、これまで見たことが無いコケだったので、AIに質問するなど、いろいろ調べてみました。
 Gemini(Google の AI)と何度もやりとりをした結果、最終的には「LEPIDOLAENACEAE(フクロクラマゴケモドキ科)の Gackstroemia weindorferi などの Gackstroemia属の植物である可能性が極めて高い」ということになりました。 
 Copilot(Microsoft の AI) に写真を見せると、「 苔類(コケ植物)ではなく、蘚類でもなく、「苔ではない」可能性が非常に高いです。」と答えてくれました。 しかし、ニュージーランド産の LEPIDOLAENACEAE と思われることを伝えると、Lepidolaena menziesii の可能性が高いとのことでした。 ただし LEPIDOLAENACEAE(科名)と Lepidolaena(属名)を正しく区別できているのかは疑問です。
 Gemini も Copilot も、文字の記載を間違った解釈で写真の特徴と結びつけている可能性が高いように思います。
 AI が出す回答は、そのまま信じられません。 AIは学習した結果から推論することは得意ですが、学習の元になるデータが少ない場合は、うまく推論できません。 また、今回のやりとりでは、古い論文と新しい論文を軽重をつけず同列にみているように思いました。 学術用語を日本語に訳す時にも、訳の根拠になるデータをどうしているのかも問題です。

 AI との会話?の後もいろいろ調べた結果、私は写真のコケはLEPIDOLAENACEAE(フクロクラマゴケモドキ科)の Lepidolaena(フクロクラマゴケモドキ属)の1種だと思います。 ニュージーランドのコケ図鑑があれば、種名まで分かるのでしょうが・・・。 以下、このことに関して、もう少し調べたことなどを書いておきます。
 最初写真を見た時、私はヤスデゴケ科かヒメウルシゴケ科だろうと思いました。 しかしクラマゴケモドキ科も、腹葉も腹片も発達しています。 LEPIDOLAENACEAE(フクロクラマゴケモドキ科 )は、主に南半球の温帯地域(ニュージーランド、オーストラリア、南米南部など)を中心に多様化しているグループで、日本語の科名は、クラマゴケモドキ科に似て腹片(や腹葉)が袋状になっていることに由来するようです。 ちなみに lepid- はギリシャ語の「鱗」で、-laena/-laenus は形態的特徴を示す名詞語尾として使われますので、Lepidolaena は「鱗片状の構造をもつもの」という意味になります。
 平凡社の図鑑では LEPIDOLAENACEAE は「サワラゴケ科」となっていて、この科にはサワラゴケ Neotrichocolea bissetiiイヌムクムクゴケ Trichocoleopsis sacculata が分類されています。 サワラゴケは4~5回羽状に分枝しますが、第3、4番目の枝の葉の最腹側の裂片が袋状になっています。 イヌムクムクゴケは葉の最腹側の裂片が内曲して袋状になっています。 たしかにサワラゴケもイヌムクムクゴケも葉の一部が袋状になっているのですが、背片と腹片に分かれていません。
 そしてその後の分子系統解析の結果、サワラゴケ属(Neotrichocolea)やイヌムクムクゴケ属(Trichocoleopsis)はテガタゴケ目(PTILIDIALES)のサワラゴケ科(NEOTRICHOCOLEACEAE)(片桐・古木、2018)として LEPIDOLAENACEAE から分離され、残った LEPIDOLAENACEAE (日本に分布する種は無い)に新しく「フクロクラマゴケモドキ科」の名称が充てられたたようです。

 

2026-06-29

ユウレイグモ

 下は Part1の2013.2.5.からこちらに引っ越しさせた記事です。 


  ユウレイグモ科にも何種類かいるのですが、写真はユウレイグモ科のなかでは日本の野外で最も普通なユウレイグモ  Pholcidae crypticolens だと思います。 枯れたヤツデの葉にいました。

 ユウレイグモ科の眼の配列はかわっています。 多くのクモの単眼は8個あるのですが、ユウレイグモ科では3個の単眼が集まって左右に配置し、その間に1対の個眼が離れて位置します(上の写真)。 ユウレイグモの仲間には、この中央の1対の単眼が無くなっていて、6眼になってしまっているものもいます。

 ユウレイグモの名前は、脚がたいへん細く長く、体がフワフワと浮いているように見えるからでしょう。
 暖かい時期には、網の中央に下向きにぶら下がっていて、危険が迫った場合などには、網をとても激しく揺さぶる行動をとることが知られています。 寒い時期は、この行動が見られず残念ですが、動きが鈍くて写真に撮りやすいことは喜ぶべきなのでしょうね。

 ユウレイグモの頭胸部は、ほぼ長さと幅が同じです。 頭胸部の模様には個体差があるように思います。 腹部背面には矢筈状の模様があります。

(2013.2.5. 堺市 泉北ニュータウン 茶山公園)

2026-06-27

アサイトゴケ

 水を被る岩上で育つ写真のコケ、アサイトゴケ Pseudoleskeopsis zippelii だと思います。

 枝は斜上し、長さ1㎝程度、蒴柄の長さは約 1.5cmでした。 蒴は傾き、非相称です。 胞子体をつけて、配偶体は弱りぎみのようです。

 雌苞葉は葉の2倍よどの長さです(上の写真)。


 枝葉は広卵形で凹み、中肋は太く、葉先近くに達しています(上の2枚の写真)。 翼部の細胞は、あまり分化していません。

 上は葉の中央部の、下は葉の基部近くの葉身細胞です。

 平凡社には「背面上端に目立たない突起がある」と書かれていますが、今回は確認できませんでした。

 上は蒴の縦断面です。

 蒴歯は2列で、内外蒴歯はほぼ同長、間毛があります(上の写真)。

 蒴の頸部には気孔があります(上の写真)。

 上は胞子です。

(2026.6.17. 貝塚市 秋山川遊歩道)

◎ アサイトゴケはこちらこちらにも載せています。

2026-06-23

花被のあるイボヒメクサリゴケ

 岩上のイボヒメクサリゴケ Cololejeunea macounii が、たくさんの花被をつけていました(2026.6.17. 貝塚市 秋山川遊歩道)。 上の写真で、いくつかの花被を赤い円で囲みましたが、円で囲っていない花被もたくさんあります。


 花被は倒卵形で、葉と同様に密に先の丸いパピラに覆われています。 写真では横からしか撮れず、うまく表現できていませんが、花被は5稜であることを確認しています。

 上は花被をつけていない枝先です。 背片は重なり、卵形で円頭です。 腹片の基部は凸面状です。

 上は葉です。 腹片は卵形で、背片の約1/2長です。

 腹片の歯は、第1歯は2細胞で金槌形、第2歯は数細胞からなる狭三角形で、先は尖っています(上の写真)。

 背片の各細胞には先の丸い大きなパピラが1つあります(上の写真)。

 上は葉身細胞で、細胞壁にピントを合わせるとパピラは分からなくなります。

◎ イボヒメクサリゴケはこちらこちらにも載せています。

 

2026-06-22

胞子体のあるシロクサリゴケ

 シロクサリゴケ Cheilolejeunea xanthocarpa の胞子体を確認できました(上の写真:2026.6.17. 貝塚市 秋山川遊歩道の樹幹)。

 花被は5稜です。 なお、写真下のスケールの最小目盛は 0.1mmです。

 上は胞子体です。 古くなっているので、大きさが分かるだけですが・・・。

 上は葉(側葉)です。 腹面から撮った全体の様子はこちらに載せていますので、今回は省きます。

 上は腹葉です。

 上は背片の葉身細胞です。 油体は大きく、ブドウ房状です。