2026-04-16

モミジスジゴケ

 

 写真はモミジスジゴケ Riccardia palmata でしょう。 葉状体は小さく、濃緑色で、不規則によく分枝し、掌状に広がっています。 朽木上で育っていました。
 このコケは岡山コケの会の観察会で見てもらったのですが、この仲間の同定は私にはとても難しく、特に本種は油体の数や分枝のしかた、葉状体表皮の細胞壁の厚さなど、多型なようで、同定はM氏に頼りました。
 なお、M氏によると、ここにはもう1種、コダマテングサゴケ Riccardia kodamae もあったとのことでしたが、私は採集できてなかったようです。

 斜め横から見ると、カリプトラがたくさんついていました(上の写真)。


 上の2枚は断面です。 葉状体は背面も腹面も凸面状です。 葉状体の翼部は狭く、表皮細胞は内部細胞の1/3~1/2大です。 葉状体表面の細胞壁は特に厚くはなっていません。 油体はまばらに存在していますが、表皮細胞にも内部細胞にも存在します。

 油体は褐色で、微粒の集合です(上の写真)。

(2026.4.11. 六甲山)

◎ モミジスジゴケはこちらにも載せています。

2026-04-14

クロタニガワカゲロウ


 写真はヒラタカゲロウ科のクロタニガワカゲロウ Ecdyonurus tobiironis の成虫だと思います。 2026.4.13.に箕面公園で撮影したのですが、ちょうど羽化の時期らしく、たくさんいました。
 多くのカゲロウの仲間の尾毛は3本です。 本種も幼虫の時には3本の尾毛があるようですが、亜成虫や成虫の尾毛は2本しかありません。

 頭部を拡大して見ました(上の写真)。 複眼が白色部分と黒色部分に分かれています。 機能的に違いがあるのでしょうか。
 本種の亜成虫や成虫は、頭部の前縁部がくちばしのように長くなるのも特徴です。

2026-04-10

潜葉虫に潜られたオオジャゴケ

 上は潜葉虫に潜られた跡のあるオオジャゴケ Conocephalum orientalis です。 潜葉虫は既に羽化した後のようで、潜っていた昆虫の正体は分かりません。
 オオジャゴケを含む葉状体苔類は、ハモグリバエ科、シギアブ科、フショクバエ科などのハエ目の幼虫に潜られることが分かってきています。
 特にハモグリバエ科では研究が進んでいて、加藤ら(2022)によれば、葉状体を作るコケから羽化する潜葉虫を調べたところ、苔類から36 種、ツノゴケから3 種、合計39 種のハモグリバエの羽化が確認されています。 これらの種の多くは新種でしたが、寄主特異性がきわめて高く、13種はジャゴケ属を利用していたとのことです。
 葉状苔類には多様なハモグリバエ類が寄生していて、それぞれが非常に高い寄主特異性を持っているという事実は、チョウやガ、ハムシ、ハバチなどで見られるような、維管束食物の上で起こった食植性昆虫の多様化が、コケの上でも起こったということを示唆しています(加藤ら,2022)。
 食植性昆虫の多様化は、植物は食べられないようにと毒性を高め、昆虫はその毒の解毒能力を高める中で起こる共進化過程と考えられます。 苔類の場合は、油体が存在する意義との関係も興味あるところです。

【文献】
Makoto Kato, Luna Yamamori, Yume Imada:Diversity underfoot of agromyzids (Agromyzidae, Diptera) mining thalli of liverworts and hornworts. ZooKeys 1133 (2022).

2026-04-04

コシノウスグロゴケ

 神戸市・六甲山の標高約240mの岩上に育っていた写真のコケ、以下の観察結果からはコシノウスグロゴケ Leskea polycarpa だと思います(2026.3.28.撮影)。 しかし、野口(1991)によれば、本種がよく見られるのは北日本、特に日本海に面した所のようですし、広島大学デジタルミュージアムでは「日本では北海道と本州のブナ帯の樹幹上に生育する.」と書かれています。 また、胞子体も確認できませんでしたので、同定には自信がありません。


 茎は不規則な羽状に密に分枝していました。 上の2枚は同じものを上下両面から撮影した写真ですが、全部つながっていて、1本の茎からの分枝です。

 葉は乾くと上の写真のようにやや縮れます。 枝葉の長さは長いもので約1㎜です。

 葉は広披針形で漸尖し、中肋は太く、葉先近くで消えています(上の写真)。 上の写真の下の葉のように、葉縁の中部が狭く反曲している葉があちこちに見られました。

 上は葉先です。

 葉身細胞は六角形~菱形で角張り、長さ8~13μm、中央に1個のパピラがあります(上の写真)。

◎ コシノウスグロゴケと思われるコケはこちらにも載せています。

2026-03-26

ヒジキゴケ

 岩上に育っていた上の写真のコケ、これまでに見たことの無いコケだと思って調べると、ヒジキゴケ Hedwigia ciliata でした。 環境によっては、こんなに透明尖が発達し、目立つようになるんですね。

 上は葉です。 中肋は無く、基部の中央は黄色~橙色です。

 透明尖にはパピラがあります(上の写真)。

 葉身細胞は厚壁で、各細胞には(1~)2(~3)個のパピラがあります(上の写真)。

(2026.2.21. 京都市 梅小路公園)

◎ 本種のよく見られる姿はこちら(乾いた状態)やこちら(湿った状態)に、胞子体に関してはこちらなどに載せています。