2024-07-20

ムレコムラサキホコリ?


 朽木の上にあったムラサキホコリ科の変形菌、かなり小さく、フィールドでの撮影の段階で、ムラサキホコリ属(Stemonitis)ではなく、コムラサキホコリ属(Stemonitopsis)だろうと思いました。 柄は子嚢の1/2~2/3ほどの長さです。

 子実体の高さは約3mmです。 子嚢は細長い楕円形~円筒形です。

 上は胞子です。 径は8~9μmで、表面に特記すべき特徴は見当たりません。

 コムラサキホコリ属にも、コムラサキホコリ、セイタカコムラサキホコリ、ダテコムラサキホコリ、ハダカコムラサキホコリ、チャコムラサキホコリ、ムレコムラサキホコリなど、多くの種類があります。 特徴のよくあてはまるものは無いのですが、とりあえず、ムレコムラサキホコリ Stemonitopsis subcaespitosa としておきたいと思います。 この種の柄は子実体の約1/4で、写真のものよりかなり短いのですが、胞子の径がほぼ一致します。

(2024.7.17. 兵庫県西宮市 北山公園)

2024-07-19

クヌギハマルタマフシ


 クヌギの葉にたくさんついていた赤い虫こぶ(2024.7.17. 兵庫県西宮市で撮影)、クヌキハマルタマフシという名がつけられています。 長い名前ですが、ふつう虫こぶの名前は、
   植物の名前+作られる場所+虫こぶの形状+「フシ(附子:こぶのこと)」
 というふうにつけられています。 この場合も、「クヌギ(など)の葉に作られる丸く玉のような附子」という意味を持った名前です。
 作ったのはクヌキハマルタマバチ Aphelonyx acutissimae です。 このハチはクヌギの葉に1つずつ産卵し、成虫が卵と共に葉に注入する物質の作用なのか、幼虫が出す物質の作用なのかは知りませんが、とにかく何らかの物質の作用でクヌギの葉の組織が増殖・肥大し、ハチの幼虫を包み込むような虫こぶとなります。 ハチの幼虫は“部屋付き食べ物付きの独身生活”を送ることができるのですが、虫こぶの外から産卵管を刺してこのハチに寄生するハチや同居するハチもいるようです。
 クヌキハマルタマバチは、単性世代(雌だけが存在し、単為生殖を行う世代)と両性世代(雌と雄が存在し、有性生殖を行う世代)を交互に繰り返します。 どちらの世代の幼虫も虫こぶ暮らしをするのですが、虫こぶの形態は違っています。 写真の虫こぶは単性世代が作ったもので、この虫こぶからは、まもなくオスかメスが出てくるはずです。 この雌雄が交尾し産卵してできる虫こぶは、クヌギハナコケタマフシと呼ばれています。

2024-07-18

ジクホコリ

 写真はジクホコリ Diachea leucopodia です。 子実体の大きさは2mm足らずで、柄は石灰質でもろく、白色です。 鮮度の良い子嚢に光を当てると、とても美しい構造色を示す場合が多いのですが、今回は古くなってボロボロ。 それでもほんの少し残っている子嚢壁は美しい色を出しています(2024.7.17. 兵庫県西宮市 北山公園で撮影)。 本種は梅雨明け頃に見かける事が多いのですが、いちおう春~秋に見られることになっている普通種ですので、そのうち美しい姿を見ることもあるでしょう。
 美しい子嚢は見られませんでしたが、子嚢の中にある軸柱の様子がよく分かります。

 子実体を拡大してみました(上の写真)。 子嚢の上部まで伸びている軸柱は石灰質で、柄がそのまま伸びて軸柱になったような姿をしています。

 上は子嚢を顕微鏡で観察しています。 透過光ですので、白い軸柱も光を通さず黒くなっています。 細毛体はほぼ黒色です。 円いものは胞子で、径は10μm前後です。

2024-07-13

変形菌4種

 7月10日に高槻市の川久保渓谷で実施されたコケ観察会の解散後に出会った変形菌です。 持ち帰り用の入れ物も無く、1種を除いて写真撮影だけで、顕微鏡での同定作業は行っていません。 なお、4種とも腐木上に発生していました。

■ アオモジホコリ Physarum viride 

 

 本種はこちら(3種目)やこちらにも載せています。

■ シロジクモジホコリ Physarum globuliferum


 未熟な子実体の子嚢は黒いのですが、次第に石灰節が目立ってきて白い子嚢になります。

■ コウツボホコリ Arcyria insignis

 ウツボホコリ A. denudata によく似ていますが、和名のとおり少し小さく、特に柄が短いようで、束生します。

■ ホソエノヌカホコリ Hemitrichia calyculata


 これだけは小袋に入れて持ち帰りました。 もちろんペシャンコになっていましたが、細毛体などを顕微鏡で調べ、こちらと同じであることを確認しました。

◎ 変形菌の掲載種一覧をこちらに載せています。

2024-07-12

ナガシタバヨウジョウゴケ

 岩上に明るい緑のコケ、調べるとナガシタバヨウジョウゴケ Cololejeunea raduliloba でした。 「平凡社では樹幹や生葉に着生」とあります。

 いつものことながら、葉の質が薄く、背片と腹片がぴったりとくっついていて、顕微鏡では腹片の輪郭が分かりにくいコケです。 なお、腹葉はありません。

 上の写真には花被に囲まれた胞子体が写っています(赤い矢印の所)。 このような胞子体はあちこちに見られましたが、どれも長く伸びた茎の下の方の短枝の先についていました。 平凡社では「(ヒメクサリゴケ属の)花被はふつう長枝に頂生し,・・」となっています。

(2024.7.10. 高槻市 川久保)

◎ ナガシタバヨウジョウゴケはこちらこちらにも載せています。