2021-01-22

カタビロコバチ科の一種

 (Part1 2014.1.31.からの引っ越し記事です。 引っ越しにあたって文章等も少し変更しています。)

 写真はヤツデの葉の裏にいたカタビロコバチ科の一種です。 体長は2.5mmほどでした。 このカタビロコバチは腹部第3?節が大きく、以下の節を覆っています。
 上は動きを止めるために冷蔵庫にしばらく入れていたもので、しばらくすると下のように歩きはじめました。

 カタビロコバチ科の蜂は、前にキイロカタビロコバチを載せています(こちら)が、今回の蜂は、翅に黒い紋も無く、明らかに別種です。
 体はほとんど黒一色ですが、頭部や胸部の細かい点刻が美しく、また、上に書いた腹部も気になるので、深度合成してみました。

 それぞれの点刻から毛が生えているようです。

 こちらのヒメコバチ科(Chrysocharis属)のところで、死んだ場合の体の曲がり方が気になることを書きました。 今回のカタビロコバチは、このヒメコバチとは逆の曲がり方をしています。

 上は、このカタビロコバチがいたところの状況です。 一緒に写っているのはニッポンオナガコバチヒメヨコバイの一種でしょう。





2021-01-21

ウサギゴケ

 咲くやこの花館でのコケ展(こちら)で、せっかくの植物を栽培展示している温室なのだから蘚苔類でない“コケ”も展示しましょうと提案し、ウサギゴケ Utricularia sandersonii も展示していただきました。
 和名はもちろん花がウサギに似ている小さな植物だからで、花の大きさも1cmほどしかありません。 改めて花を接写すると、丸い顔と長い耳が似ているだけでなく、お休み中の細い眼まであることに気がつきました(2021.1.17.撮影)。

 上は数年前に撮った写真で、下にある丸い葉がウサギゴケの葉です。 花に比べて葉が少ないのは、本種が地下茎についている小さな袋で微生物を捕らえる食虫植物だからでしょう。
 ウサギゴケの原産地は南アフリカ共和国で、湿地に生える多年性のタヌキモの仲間です。 湿地に生える植物ですから、本物のコケと組み合わせて育てることもできそうですが、蒸れには弱いようですので、テラリウムには不向きかもしれません。


 

2021-01-20

ケアオギヌゴケ??

 

 岩上で育っていた写真のコケは・・・


 葉は枝に接していますが、細い枝先では葉は枝に圧着せず、扁平ぎみについています。 大きな葉の長さは 1.5mm以上あります。
 全体の様子からアオギヌゴケ属だろうと思うのですが、茎と枝がはっきりしません。 アオギヌゴケ科ではふつう茎葉が枝葉より大きいはずで、2枚目の写真の長く延びている部分は走出枝状に伸びた部分と考えました。

 とりあえず大きな葉と小さな葉を並べてみました。 枝葉の中肋が葉の中部付近で消えるのは間違いなさそうです。 上の写真の大きな葉(茎葉?)は葉先が切れているので、下にもう1枚載せておきます。

 葉は弱い縦じわがあり、ほぼ全縁ですが、葉先に近い部分にかすかな歯があります。 葉先は細胞が1列につながっていて、毛状と言っていいと思います。

 以上の結果を基に平凡社の検索表をたどると、ケアオギヌゴケ Brachythecium piligerum に落ちました。 しかし平凡社の図鑑には、ケアオギヌゴケは検索表のみで、種別の解説はありません。 もう少し詳しく Noguchi 1991 の内容と比較しました。

 上は葉身細胞です。 野口図鑑では葉身細胞は 65-85×8-9μmとなっています。 上の写真は、長さはほぼ一致しているのですが、幅は5μmほどしかありません。

 上は蒴柄で、汚れがひどくて少し分かりにくいのですが、上部にはパピラがあり、下部に行くにしたがって少なくなっています。 ところが野口図鑑では蒴柄は smooth!

 せっかくここまで調べたのでこのまま載せておき、識者のコメントを待ちたいと思います。 また、前にケアオギヌゴケとして載せているもの(こちら)との関係も分かりません。

 アオギヌゴケの仲間は難しい・・・

(2021.1.15. 箕面公園)







2021-01-19

ヒメクラマゴケモドキ

 

 岩上に広がっていたヒメクラマゴケモドキ Porella caespitans var. cordifolia、マメヅタの葉も写っているので、全体のおおよその大きさも分かるでしょう。

 上は腹面から撮っています。 背片基部が反対側に大きく張り出しているため、上の写真では背片の長さが分かりにくくなっていますが、大きな背片の長さは2mmほどあります。

 背片の先は長く漸尖し、腹片は長舌形で、全縁、鈍頭です。 腹葉は茎に張り付いたようになっていて、少し分かりにくくなっています。

 上は腹葉にピントを合わせて撮ったのですが、はっきりしませんので、線を書き加えたのが下です。

 腹葉の幅は茎葉よりわずかに広く、葉先は全体的に見れば切頭ですが、肩に歯があるものや、上の写真より深く2山を形成しているものなど、同じ茎についている腹葉にも変異が見られました。
 茎についたままの腹葉は分かりにくく、背片と腹片の関係も明瞭に写そうと、これらを茎から剥がそうと試みましたが、葉は柔らかく破れやすく、うまくいきませんでした。

 上は葉身細胞です。 油体は小さい楕円体で均質です。

(2021.1.15. 箕面公園)

◎ ヒメクラマゴケモドキはこちらにも載せています。






2021-01-18

鳥媒花・コウモリ媒花 -カエンボクを中心に-

 昨日(17日)、コケ展の撤去作業に「咲くやこの花館」に行ったついでに温室内をひとまわり。カエンボクがみごとに咲いていました。

 カエンボク Spathodea campanulata は西アフリカ原産の常緑高木で、ジャカランダ、ホウオウボクとあわせ世界三大花木と称され、世界中の熱帯域に街路樹や庭園木などとして、よく植栽もされています。 咲くやこの花館のカエンボクは若木で、まだ 1.5mほどの高さですが、上向きに咲く花を見るのには適した高さでした。

 このような大きな赤い花は、よく見る花としてはハイビスカスがありますが、日本に自生している植物には見当たりません。 このことについて、すこし整理してみました。
 人の目にも目立つ花は、本来は花粉媒介者を呼ぶために咲きます。 日本における代表的な花粉媒介者は昆虫ですが、昆虫の眼は赤い色が見えません。 そのような理由で、日本の自生植物の多くは昆虫に適したサイズの赤色以外の色の花を咲かせます。
 日本自生の赤い花で思い浮かぶのはヤブツバキですが、この花は鳥媒花です。 鳥の硬い嘴が当たっても大丈夫なようにガクはたいへん丈夫にできています。

 上に書いた赤い大きな花を咲かせるハイビスカスはどうでしょうか。
 ハイビスカス(Hibiscus)というのは属名で、多くの種があります。 園芸店などでもよく販売されているハイビスカスはブッソウゲ Hibiscus rosa-sinensis を品種改良したものが多いようで、原種の原産地は不明のようです。

 上は咲くやこの花館で撮った Hibiscus clay (ハイビスカス・クレイ)です。 ハワイのカウアイ島に自生しているハイビスカスですが、絶滅危惧種になっています。
 注目したいのは花の基部で、大きなガク筒ですっぽり保護されています。 やはり鳥媒花なのでしょう。 なお、その下に少し見えているちいさなガク片のようなものは苞です。

 上は Hibiscus insularis(ヒビスクス・インスラリス)です。 やはり咲くやこの花館での撮影です。 オーストラリアの原産地であったノーフォーク島では持ち込まれた家畜によって絶滅し、フィリップ島にわずかに残るだけで、世界で最も貴重な植物のひとつとされています。
 花の基部は、やはり頑丈そうなガク筒によって保護されています。 このようにしてみると、ハイビスカス属の多くも鳥媒花のようです。

 話をカエンボクに戻します。

 上はカエンボクの1つの花に注目し、斜め前から撮った写真です。 花の基部に見える褐色で上向きに反り返った細長いものがガクで、花時にはガクの背面が基部まで割れ、そこから“垂れ下がった腹”を持ったような花が出ています。 この“垂れ下がった腹”には、雨や露に由来する水が溜まることが予想様ます。 ガクに注目すると、ツボミの時はがっちり内部を保護しているでしょうが、花時には鳥の硬い嘴に耐えるつくりになっているとは思えません。 解説板には「コウモリによる送粉に適しています。」と書かれていました(下の写真)。

 コウモリは暗い所を飛び回り虫を捕らえる種ばかりではありません。 暖かい所には昼行性のコウモリもたくさんいます。(こちらには西表島で撮ったヤエヤマオオコウモリの写真を載せています。) 昼行性のコウモリは果実食のものが多いのですが、花の蜜も求めるでしょうし、カエンボクの花に溜まった水はいい吸水源になるでしょう。 昼行性のコウモリは、赤い色も識別できるでしょうし、舌で舐めるコウモリに対しては堅いガクで花の基部を保護する必要は無いのでしょう。