写真はイトラッキョウゴケ Anoectangium thomsonii だろうと思います。 (コケ観察会ではなく)植物観察会の担当者としての活動中に少しつまんで持ち帰ったもので、生育状況を示す写真はありませんが、明るい緑の密な饅頭型の群落でした。
これまでに観察したことのあるコケ(こちらやこちら)でしたので同定できましたが、センボンゴケ科は微妙で、検索表にまとめるのが難しく、平凡社のセンボンゴケ科の検索表から同定するのは難しい(具体的には下に書きます)と改めて思いました。
乾くと葉は上の写真のように茎に密着します。 この時、上の写真では少し分かりにくいのですが、葉はキールしています。
葉は狭楕円形~狭披針形で全縁、葉先は鋭尖です(上の写真)。 平凡社の検索表では「ふつう基部付近でもっとも幅広い」を選ばなくてはなりませんが、基部は広くなっていません。 「ふつう」とは“そうでないこともある”と理解しなければなりません。
センボンゴケ科の多くの種では、葉の基部には透明細胞群があるのですが、本種では透明な細胞はほとんどありません。
葉身細胞は方形で厚壁、多数のパピラが密生しているため、細胞の輪郭は不明瞭です(上の写真)。
上は葉先です。 中肋背面には低いパピラがあります。
上は葉の基部です。 基部の細胞は中上部の細胞に比較してやや大きくなり、葉縁部に向かって狭く、短くなっています。
上は葉のほぼ中央の横断面です。 平凡社の検索表の「中肋のステライドは 背面側だけにある/ふつう背腹両面にある」では後者を選ばなくてはなりませんが、ステライドはガイドセルの背面側にあります。 ここでも「ふつう」とは“そうでないこともある”ことを意味します。
上は茎の横断面で、中心束があります。
(2026.4.26. 兵庫県西宮市 武田尾)




























