ニワツノゴケ Phaeoceros carolinianus がありました(上の写真:2026年2月11日に兵庫県宝塚市平井にて撮影)。 ちょうど胞子体の伸びはじめたところだったので、この状況での細部を観察しました。
ツノゴケ類の造精器・造卵器は葉状体内部で作られます。 本種は雌雄同種で、この時期、胞子の出る孔(この下には造精器が存在)や、まだ胞子体が顔を見せていない包膜が見られました(上の写真)。
上は造精器の所で切った葉状体の断面です。 造精器は造精器腔と呼ばれる腔所にあり、柄があります。 なお、本種の葉状体内部には、ナガサキツノゴケなどのような細胞間隙はありません。 葉状体内部の細胞は薄壁で、各細胞に1つずつ葉緑体があります。
下は別の所の断面で、もう少し拡大しています。
上の写真では精子の出口がよく分かります。 この造精器腔にも2個の造精器が入っていたのですが、1個は断面作成時に失われてしまいました。
上は盛り上がった苞膜の断面です。 中に小さな胞子体がありました。 ツノゴケ類の胞子体には蒴柄がありませんが、上の写真では蒴と足が確認できます。 基部分裂組織で細胞分裂を繰り返し、蒴が次第に伸びていきます。
下は胞子体がもう少し成長し、苞膜の外に少し出てきています。
胎座と思われる部分がはっきりしてきたようです。 胎座で配偶体から胞子体へ栄養が送られます。
下は上の赤い四角で囲った所の拡大です。
切片が厚く、奥の組織まで写っているため、境界がはっきりしませんが(私のハンドセクションではこれが限度です)、胞子体内部に分化が起こり始めています。 胞子は胞原組織の細胞が減数分裂して作られます。 なお、弾糸も胞原組織から作られますが、減数分裂は起こりません。
ツノゴケ類の蒴の表皮には気孔が見られます。 上は 15㎜ほどの長さになった蒴のほぼ中央の気孔です。
ツノゴケ類や蘚類の気孔は、被子植物の気孔のように開閉調節は行いません。 胞子体が若いうちは閉じたままで、胞子が成熟すると開いて蒴の内部の水分を逃がして乾燥させることで、胞子を飛散させるための蒴の開裂に関係すると言われています。
上の写真の気孔は少し開きかけているようです。
以下、葉状体についても少し見ておきます。
ツノゴケ類はシアノバクテリアと共生します。 上の写真の中央と左にある円い塊が共生腔に住むシアノバクテリアの塊です。
上は仮根です。 苔類同様、ツノゴケ類の仮根は1細胞です。
◎ こちらにはニワツノゴケの開裂した蒴や胞子などを載せています。 またこちらにはよく伸びた胞子体をつけた本種や胞子体をつけていない姿などを載せています。





























