2019-02-13

キマユホオジロ

アオジと

後姿

眉斑は黄色

オスの白い頭央線は明瞭です

 連日あちこちのブログに取り上げられている堺市のキマユホオジロのオス、私も見に行ってきました。 久しぶりの鳥撮りです。
 キマユホオジロ Emberiza chrysophrys は、シベリア中部で繁殖し、冬季は中国中部および南東部に渡り越冬します。 日本では、特に春の対馬など西日本の島嶼部を中心に観察される数少ない旅鳥です。 ところが今回は、1月19日に最初に発見されて以来、ずっと同じ場所に居続けていますから、この場所で越冬していると思われます。 これが日本で最初の越冬記録になるかもしれませんから、注目されているのも尤もです。


 ミヤマホオジロ Emberiza elegans もいました(上の写真)。

(2019.2.12. 大阪府堺市)


2019-02-12

トジクチゴケ


 写真はトジクチゴケ Weissia exerta でしょう。 ジンガサゴケに囲まれ、小さな群落が育っていました。


 上の写真の葉の長さは1~2mmあります。 群落から1本抜き取る時に古い茎が2mmほど千切れてしいまいました。


 上は手前の葉を取り除いて蒴を撮っています。 蒴柄は短く、帽には長い嘴があります。 また、上の写真をいくらよく見ても、蒴の壺と蓋の境目が分かりません。 このような蒴は閉鎖果と呼ばれていて、蓋は分化しておらず、成熟すると蒴が崩れて胞子がばらまかれます。
 上の写真はかなり乾いてきている状態で、葉は強く捲縮しています。


 葉は狭披針形で、中肋は短く突出し、上部3/4ほどの葉縁は狭く反曲しています。 葉の下部では細胞は大きくなり、矩形で透明です。


 葉の上部の細胞は丸みを帯びた方形で、パピラがあります。


 上は胞子です。

 トジクチゴケは平凡社の図鑑でも検索表にしか記載されていません。 このコケを見つけた時には、よく知られているツチノウエノタマゴケ Weissia crispa と思い込み、当初はこの記事のタイトルもそのようにしていましたが、野口図鑑などで再検討した結果、変更します。
 両者の違いは次のようになります。
  ツチノウエノタマゴケ   トジクチゴケ  
蒴柄の長さ  0.1mm以下 0.5~1.2mm
蒴の形 球形 卵形~楕円形
蒴の位置 雌苞葉に深く沈生 雌苞葉から出る
中肋の突出部 葉縁から滑らかに続く 葉縁との境に小さな段

(2019.2.11. 堺自然ふれあいの森)

2019-02-07

チヂレゴケ ②雄小枝


 昨日載せたチヂレゴケを観察中に、上の写真のようなものをみつけました。 上の赤い楕円で囲んだ所に、小さな葉をつけた枝のようなものが見えます。
 昨日も書きましたが、チヂレゴケ属は雌雄同株(異苞)で、胞子体の基部の鞘に雄小枝をつけ、その枝の先に雄花序をつけることが知られています。 上の赤い楕円で囲んだものが雄小枝だろうと思いました。


 雄小枝らしきものは、探すと多くの株で見つかりました。 上の赤い楕円で囲んだものもそのうちの1つで、1枚目のものよりずっと短く、まだ小さな葉も左右に広げていません。
 1枚目のものは既に精子を放出してしまっている可能性もあるかと思い、造精器の確認は上のもので行うことにしました。
 下は上の写真の赤い楕円部分を残し、その周囲の葉を取り除いたところです。


 雄小枝らしきものは、胞子体の基部の鞘から出ているようです。 そして青い楕円で囲んだ所は、葉が何枚も重なっていて、内部を保護しているようです。 この葉も取り除いていくと・・・


 葉に保護されて楕円体のものがたくさん見えます。 この楕円体のもの1つずつが造精器でしょう。 下はこの造精器にピントを合わせて高倍率で撮ったものです。


(観察材料 : 2019.2.2.に奈良市春日野町で採集)

2019-02-06

チヂレゴケ ①

 平凡社の図鑑のギボウシゴケ科チヂレゴケ属の種への検索表は、次の分岐から始まります。
  ① 葉はふつう全縁。帽は深く蒴を覆い、蒴の基部に達する。
  ② 葉の上部の葉縁に鋸歯がある。帽は蒴の中ほどまで覆う。
 (①②は私がつけました。)





 石の上で育っていた上のコケは、葉は全縁ですが、帽は蒴の基部まで達しているようには見えません。 葉の特徴を重視するか、帽の特徴を重視するかですが、蒴は成熟して最大に近い大きさになり、帽は外れる寸前だと判断し、①を選択しました。
 ①に含まれる種はヒダゴケとチヂレゴケしかありません。 検索表にはそれぞれの特徴がいろいろ書かれていますが、いちばん明瞭なのは胞子の径のようで、前者の径が約 10μmであるのに対し、後者の径は約 20μmです。


 上の写真の2つ上下に並んでいる蒴は、下は蓋がついていますが、上は蓋も取れて蒴歯が見えています。 後者の蒴で蒴歯と胞子を観察したのが下の写真です。


 胞子の径は、上の写真にはスケールをつけていませんが、測定したところ、18~21μmでした。 以上の結果から、写真のコケはチヂレゴケ Ptychomitrium sinense と同定しました。
 ちなみに、蒴歯は単列で、表面は微小なパピラで覆われていますが、これらはギボウシゴケ科全体に共通な特徴です。 蒴歯は所々隣と融合したり小さな枝分かれも見られたりしますが、大きく見れば線形で、基部付近まで2裂しています。

 平凡社の図鑑にはチヂレゴケの種別の解説は記載されていないのですが、検索表には葉身細胞の長さが約 10μmと書かれてあるので、これも確認しておきます。


 葉身細胞は丸みのある方形で、長辺の長さは約 10μmです(上の写真)。 ちなみに、検索表に書かれてあるヒダゴケの葉身細胞の長さは、約7μmです。

 上の写真は高倍率で撮影していますので、被写界深度も浅くて分かりませんが、葉身細胞を観察している時に、細胞が二重に見える所があることに気付き、葉の断面を作成してみました。


 上が葉の断面で、中肋を除いて細胞は2層になっています。 野口図鑑で確認したところ、所々二層になっている図が載せられていました。 上はかなり葉の上部での断面ですので、葉の中部になると細胞が1層の所と2層の所が混じり、下部になると1層の大きな細胞になるようです。

 チヂレゴケ属は雌雄同株(異苞)で、雄花序は胞子体の基部の鞘から生じた小さな枝の先端につきます。 上記の観察中にこの雄小枝も確認できましたので、こちらに載せておきます。

(2019.2.2. 奈良市春日野町)

◎ チヂレゴケはこちらにも載せています。 また、蒴のもう少し若い状態のものはこちらに載せています。

2019-02-05

エゾヒラゴケ


 写真はエゾヒラゴケ Neckera yezoana です。 樹幹についていました。 背景が白っぽいのは樹幹を覆っている地衣類の色です。
 和名に「エゾ」とついていますが、北海道から琉球列島まで分布しています。


 上は帽をつけた蒴、下は帽が取れて蓋が見えている蒴です。


 蒴は、枝葉を含めて外見がよく似ているチャボヒラゴケより深く、雌苞葉に沈生しているようです。 雌苞葉は線状披針形で漸尖しています。


 上は葉ですが、葉面が凹んでいるため、深度合成しています。


 葉身細胞は、チャボヒラゴケよりもかなり長く、30~70μmほどの長さがあります。 上の写真で左辺中央から上辺中央に斜めに伸びているのは中肋です。

(2019.2.2. 奈良市春日野町)