2018-12-18

キャラボクゴケ


 胞子体をつけたキャラボクゴケ Fissidens taxifolius の群落です。


 キャラボクゴケとコホウオウゴケはよく似ていて、葉で確実に見分けるには顕微鏡が必要です。 しかし胞子体をつけている時に見分けるのは簡単です。 キャラボクゴケの胞子体は茎の基部から出るのに対し、コホウオウゴケの胞子体は茎に側生します。


 葉と比較して小さく細長い雌苞葉です。


 上は葉の背翼から腹翼にかけての中肋付近の横断面です。 うまく切れていませんが、背翼にも腹翼にもマミラが認められます。 中肋にも表裏の違いは無さそうです。

(2018.12.8. 堺市南区鉢ヶ峯寺)

◎ キャラボクゴケの葉を表面から見た様子は、こちらこちらに載せています。

2018-12-17

スズゴケ



 上はコンクリート壁についているスズゴケ Forsstroemia trichomitria です。 雨で濡れて葉がよく開いています。
 これまで何度か見ていますが、全て樹幹にあったもので、このようにコンクリート壁についていたのは初めてです。


 帽を被った蒴をたくさんつけていました。


 帽を外してみました(上の写真)。 蒴は卵状円筒形で、蓋は細く長く伸びています。 濡れていた時は帽にくっついていて分からなかった上向きの毛が帽から離れて立ち上がってきています。
 乾くにつれて葉は茎に接してきています。


 葉はほぼ全縁で、葉面は凹んで縦じわがあります。 中肋は葉の中央付近で消えます。


 上は翼部です。


 葉身細胞は長楕円形で厚壁です(上の写真)。


 上は胞子です。

(2018.12.12. 西宮市名塩)

こちらには蒴歯の様子などを載せています。


2018-12-16

トサカホウオウゴケの葉縁が明るい帯になっている理由


 上はトサカホウオウゴケ Fissidens dubius です。 濡れているのは未明までの雨の影響もあるでしょう。


 トサカホウオウゴケはこれまでに何度か載せていますが、今回のものは枝分かれが比較的多いようです。 そのことはともかく、本種の特徴はもう少し拡大してみないとはっきりしません。


 上は顕微鏡で撮った葉の先の部分です。 トサカホウオウゴケの顕微鏡レベルの特徴として、葉先近くの葉縁が鶏のとさかのような鋸歯があることや、葉縁が明るい帯になっていることなどが挙げられます。 今回はこの葉縁が明るくなっている理由を調べてみました。


 細胞壁の厚さに注目すると、明るく見えている所の細胞壁が厚くなっていることが分かります。


 上は葉の上部の(=上翼と背翼の)横断面で、右下の太い所は中肋です。 葉縁に近い所は表面が滑らかであるのに対し、暗く見える所は細胞が2層の(=厚い)所が多く、細胞壁が薄く細胞質が多いので葉緑体も多く(=光をよく吸収)、表面がマミラ状で凸凹しています(=乱反射し易い)。
 下は、上記のことを確認するために、もう少し拡大し、偏光で細胞壁を光らせて撮ったものです。


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 上は中肋の断面を偏光で撮ったものですが、髑髏のようにも見えておもしろいので載せておきます。 眼窩(がんか)のように見える所は、水分の通導の役割をすると考えられているガイドセルで、その上下には小型の厚壁の細胞が集まって強度を保つ役割をしていると考えられるステライドが見られます。

(2018.12.12. 西宮市名塩)

◎ トサカホウオウゴケの雌株の蒴の様子はこちらこちらに、雄株の様子などはこちらに、葉の長さなどはこちらに載せています。



2018-12-15

ヒツジゴケ


 岩上に育っていた上の写真のコケ、複数の種の葉が見えますが、蒴をつけ、いちばん葉が多く見えているのは・・・


 ほぐしてみると、上のように茎は這い、短い枝を出しているコケでした。 茎葉と枝葉は形も大きさもそんなに変わらず、葉の長さは長いものでは2mmを少し超えています。
 葉の開き方は湿った状態と乾いた状態でほとんど変わりませんでした。



 葉先は細く長く毛状に伸びています。 葉の縦じわはとても弱いものです。 中肋は葉の中ほどに達しています。


 翼部のほぼ方形の細胞は次第に細い六角形の細胞に移行していきますが、このほぼ方形の細胞は中肋近くまで続いています。


 上は葉身細胞です。

 蒴も調べてはみましたが、古くなっていて、特記すべき特徴は見つけることができませんでした。

 以上の観察結果を基に平凡社の検索表をたどると、葉身細胞の大きさが少し大きいのですが、ヒツジゴケ Brachythecium moriense のようです。

(2018.12.12. 西宮市名塩)

2018-12-14

コガネハイゴケ



 写真はコガネハイゴケ Campyliadelphus chrysophyllus でしょう。 切通しの壁面に作られた、湿ったレンガ壁の、レンガをつなぐセメント部分を中心に広がっていました。 平凡社の図鑑では「湿った土や岩の上、ときに石灰岩上に生える。」とあり、セメントのアルカリ性が関係しているのかもしれません。
 植物体は黄色味を帯びた明るい色をしています。 和名はこの色に由来しているのでしょうか。 なお、種小名の chrysophyllus も chryso-(黄金色の) + phyllum(葉) です。


 上はかなり乾いてきていますが、乾いても葉はほぼ水平に開いています。


 葉の長さは1mm前後です。


 葉は広披針形で長く漸尖し、中肋は葉の中部に達しています。


 上は葉の翼部付近です。 葉身細胞は線形で長さ 35~50μm、翼細胞は方形~矩形で長さ 20μm以下です。


 コガネハイゴケ属の枝の基部にある偽毛葉は小葉状であることが多いようです。 上の写真では中央から右上に伸びるのが枝で、下の写真では左下に伸びているのが枝ですが、どちらにも小葉状のものが認められます。 これが偽毛葉なんでしょうね。



(2018.12.12. 西宮市名塩)