2022-12-09

クヌギとアベマキ

 大阪付近の里山では落ち葉を踏み分けて歩く季節となりました。

 上の写真(2012.12.16.枚岡公園にて撮影)では、クヌギ、アベマキ、ナラガシワなどの落ち葉が写っています。 これらはみんなブナ科の同じ属( Quercus )ですが、特にクヌギとアベマキの葉の形態は、とてもよく似ています。 しかし、両者の葉の裏の色は、かなり違います。
 上の写真で、右下の葉の裏が茶色のものはクヌギの葉で、左上の白っぽい葉の裏はアベマキのものです。 この違いは、生葉よりも落ち葉の方が、よく分かります。

 上はクヌギ(左)とアベマキ(右)の葉を並べて撮ったものです。 どちらも葉の裏です。 側脈がほぼ一直線に鋸歯の先端に達しているのはブナ科の特徴で、鋸歯の形なども両者はよく似ていますが、色の違いは、はっきりしています。
 アベマキの葉の裏が白っぽいのは、じつはアベマキの葉の裏には星状毛がびっしりと生えているからです。 この星状毛は、細く短い毛がびっしりと重なり合って生えていて、いくら目を凝らしても見えないほどの毛ですが、人の指先の感覚は鋭いもので、両方の葉を指で触って比較すると、はっきりと違いが分かります。

 上はアベマキの葉をちぎって、その断面を撮ったもので、上側が葉の裏です。 これくらい(葉の厚さで想像してください)に拡大すると、やっと毛の存在が分かります。

 クヌギとアベマキの幹も比べておきます。 上の写真で、右がアベマキ、左がクヌギです(2012.12.12. 枚岡公園にて撮影)。 アベマキの幹の方が荒々しい印象を受けます。 アベマキではコルク層がよく発達し、樹皮が厚くなるため、樹皮の裂け目が強調されています。

★ 上は Part1の 2012.12.16.からの引っ越し記事です。





2022-12-07

シワバネキノコバエ


 写真はシワバネキノコバエ Allocotocera sp. だと思います。 腹部は白黒の縞状で、前脚と中脚の腿節中央部が白っぽくなっています。
 このシワバネキノコバエ、11月上旬にはよく見たのですが、それ以後は見かけなくなってしまいました。 BBS「一寸のハエにも五分の大和魂・改」でアノニモミイア氏は、シワバネキノコバエはもともと熱帯系のキノコバエで、冬は越せずに毎年温暖地から渡って来る可能性もある旨のことを書いておられます。

 キノコバエの仲間(キノコバエ科)は、「ハエ」とついていますが、分類学的にはハエやアブの仲間(短角亜目)ではなく、カの仲間(糸角亜目または長角亜目)で、たくさんの種類がいて、属だけでも約 330属とされていて、シワバネキノコ属もそのうちの1属です。
 キノコバエの名前は、仲間の多くの幼虫がキノコを食べて育つからですが、キノコバエの仲間のうちには、幼虫がキノコ以外のものを食べて育つ種も多く、肉食性のものもいます。 私が以前行ったボルネオのグルンムル国立公園にある鍾乳洞で見た「土ボタル」も、キノコバエの仲間の幼虫が光で餌を呼び寄せていたようです。
 シワバネキノコバエの幼虫の餌も、キノコではなく、腐敗した植物質だということです。

★ 上は 2012.11.8.に撮影し、Part1の 2012.12.19.に載せていた記事を、少し変更してこちらに引っ越しさせています。


2022-12-05

キダチヒラゴケ

 写真は岩上に育つキダチヒラゴケ Homaliodendron flabellatum です。

 二次茎は上部で平らに2~3回羽状に分枝し、全体がうちわ状になっています。
 上の写真で、左が古い葉、右が新しい葉です。 今回は、このつながり方に注目してみました。

 上は茎の分枝している所を拡大したもので、下はそれに色分けした線を書き加えています。

 上を見ると、這う一次茎から分枝して立ち上がった二次茎の基部から新しい一次茎が伸び出すことを繰り返しているように見えます。

 二次茎と枝は葉を扁平につけ、葉は重なり合って全体がシート状になっています。 この様子は乾いても変わりません。
 上の写真で、二次茎は左下から右上へと伸びています。 茎葉と枝葉の大きさには、かなりの差があります。

 葉が重なって分かりにくくなっていますが、茎葉の長さは3~3.5mmです。

 葉1枚の写真や葉身細胞の様子などはこちらに載せていますので、今回は省きます。

(2022.11.6. 大阪府泉佐野市 犬鳴山)

2022-12-03

オオフサゴケ

 写真はオオフサゴケ Rhytidiadelphus triquetrus でしょう。 札幌市の定山渓で、木陰になった大きな岩についていました(2022.8.25.撮影)。
 大形の存在感のあるコケですが、これまでに載せたもの(こちらこちら)はいずれも茎が赤褐色で、印象が異なります。 なお、この茎の色の違いは、新しく伸びた部分は最初緑色で、まもなく赤褐色に変わるのだと思います。


 立ち上がった茎は不規則な羽状に分枝します。


 茎葉の長さは4mmほどです。 枝葉は茎葉とほぼ同形で小形です。 中肋は2本で、葉の中部以上に達しています。

 上は茎葉を背面から、下は斜め横から撮っています。

 基部は茎を抱き、葉先は漸尖して鋭頭です。 乾いてきていて、葉先が少し曲がっています。 背面がざらついているように見えますが・・・

 上は葉の背面です。 葉身細胞も中肋の細胞も、その多くは背面上端が刺状に突出しています。

2022-12-01

イセノテングゴケ

 写真は、蒴が残念な状態ですが、イセノテングゴケ Rhynchostegium ovalifolium でしょう。 樹幹の下部についていました。


 茎は這い、茎葉は多少扁平についています。 枝葉は茎葉を小さくしたような形です。

 葉は広卵形で葉先は長く尖り、全周に小さな歯があります。 中肋は細く、葉の中部以上に達しています。

 翼部は不明瞭です(上の写真)。

 葉身中央部の細胞の長さは 90~120μmで、ほとんどの細胞は 100μmを超えています。