2019-09-23

ケナシチョウチンゴケ



 写真はケナシチョウチンゴケ Rhizomnium nudum です。 湿った所に落ちた枯枝の上にびっしりとついていました。
 横から見ると、2枚目の写真のように、茎には毛つまり仮根がびっしりとついています。 にもかかわらず、「毛無し」とは!?
 ウチワチョウチンゴケ属( Rhizomnium )に分類されているコケは、全てたくさんの仮根を持っています。 属名も、rhizoは「仮根」、mniumはチョウチンゴケ属のことですから、「仮根の目立つチョウチンゴケ」といった意味になるでしょう。 「毛無し」の意味は、仲間のケチョウチンゴケなどのように葉の上にまで毛(仮根)がいっぱい見られるものに比較してのことでしょう。


 上は生殖器官をつけていない茎の葉です。 中肋は葉先に届いていません。


 上は葉先付近で、左下に中肋の先が少し写っています。 舷の細胞は、葉先ではほぼ1列になっています。


 上は葉の中央付近で、右下に中肋が走っています。 中肋の伸びている方向を縦とすると、葉身細胞は横に長くなっています。


 上は葉身細胞です。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

2019-09-22

コアミメヒシャクゴケ



 日本産のヒシャクゴケ属( Scapania )は26種、よく似たものも多く、難しいのですが、写真のコケはコアミメヒシャクゴケ Scapania parvitexta だろうと教えていただきました。


 腹片は細長く、長楕円形で円頭、縁全体に歯があります。


 よく分かりませんが、葉のキールに翼は無さそうです。 腹片の腹縁基部はあまり下垂していません。


 葉縁の歯は長披針形、葉身細胞の長さは12.5~15μmです。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

2019-09-21

フォーリーイチョウゴケ


 写真はフォーリーイチョウゴケ Lophozia longiflora だと思います。 ちなみに、フォーリーはフランス人宣教師で、明治期に日本で植物採集を熱心に行っています。


 葉はゆるく重なっています。 上の写真では茎が黒くなってしまい、腹葉の有無が分かりづらくなっていますが、腹葉は確認されませんでした。


 葉は 1/3ほどV字~放物線状に2裂し、裂片は鋭頭、側縁はわずかに円弧状に張り出しています。


 上は葉身細胞です。 油体は微粒の集合です。
 本種とよく似たタカネイチョウゴケは、側縁の張り出しがもう少し強く、油体には眼点があります。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

2019-09-20

岩上のスギゴケ



 岩から垂れ下がるコケ、葉先は短く芒状になっています。 厚くみえる葉の様子からスギゴケ科だろうとは想像できますが、種名が思い浮かびません。 持ち帰って調べてみると、スギゴケ Polytrichum juniperinum のようでした。 スギゴケは土の上に育つコケで、図鑑などに載せられているスギゴケに比較すると、とても小さなサイズになっていました。


 茎の高さは1cmあまり、葉の長さは3mmほどです。 平凡社の図鑑では、茎は高さ3~10cm、葉の長さは芒を除き4~9mmとなっています。 新しい葉は緑色で芒は白色ですが、(昨年の?)古い葉(枯れてはいません)は褐色で芒も褐色です。 そして、その下の茎だけのように見える所も、よく見れば葉の基部が残っていますから、年々新しい葉をつけながら伸びているように思います。 これで4年目かもしれません。


 乾いて茎に接着している褐色の葉を起こしてみました(上の写真)。 鞘部は半透明で、そこから披針形に伸びる部分では、葉の縁が左右から腹面を覆い、その隙間が溝状に見えています(黄色の矢印の部分)。


 上は葉の披針形に伸びる部分の横断面です。 葉の幅も、よく見られるスギゴケよりは狭いようですが・・・。
 このように葉縁が内側に折り畳まれて薄板の上を覆うスギゴケ属には、スギゴケ、ハリスギゴケ、ノルウェースギゴケがあるのですが、ハリスギゴケはその名のとおりもっと芒が発達していて芒は白色ですし(こちら)、ノルウェースギゴケは、よく分からないのですがも葉縁が内側に折り畳まれるのは葉の上部に限られるように思います。
 下は薄板の様子がよく分かるように、上の一部を拡大したものです(少し回転させています。)


 薄板の高さは6~8細胞で、頂端細胞はフラスコ形をしています。


 上は鞘部の細胞です。


 上は、葉(の鞘部)に抱かれた茎の断面です。 茎には中心束が見られます。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

2019-09-19

オオフサゴケ



 写真のコケは、オオフサゴケ Rhytidiadelphus triquetrus です。 土を被った岩上から立ち上がり、茎頂を少しうつむき加減にして育っていました。
 上の写真では実際の大きさが分かりにくいので・・・


 10円硬貨と比較してみました。 かなり大きなコケで、不規則な羽状に分枝しています。 若い茎は赤いのですが、次第に黒ずんでくるようです。


 茎葉の長さは4mm前後あります。 枝葉は茎葉と似た形で、やや小型です。


 葉の基部は茎を両側から抱いていますので、カバーグラスをかけると、どうしても折り畳まれてしまいます。 中肋は細くて肉眼では分かりにくいのですが、2本あり、葉の中部以上に達しています。
 葉が大きいので、上の倍率では細部まで分かりませんが・・・


 上部の葉縁には鋭い歯が並んでいます。


 葉の上部の背面では、多くの細胞の上端が刺状に突出しています(上の写真)。


 葉身細胞は線形です。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)