ラベル 1157 サナダゴケ科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2023-11-20

イトヤナギゴケモドキ

 青森県産のイトヤナギゴケモドキ Platydictya subtilis をいただきました。 Kさんが採集されたもので、作沢川の蛇籠についていたそうです。 

 上は乾いた状態、下は湿った状態です。(倍率は同じです。)

 茎は糸状で、不規則に分枝しています。 葉はあまり横に広がらず、茎葉の長さは 0.3~0.4mmです。

 上は茎葉です。 卵形の下部からやや急に長く尖り、ほぼ全縁または目立たない細鈍鋸歯があります。 中肋は、平凡社などでは、短く不明瞭となっていますが、上の場合は不明瞭さはあるものの、中部にまで達しています。

 葉身細胞は長さ 15~20μmでした。

 仮根は平滑です(上の写真)。

 上は茎の横断面です。 中心束はありません。

2023-08-09

オオサナダゴケモドキ

 

 上はコムチゴケと混生しているオオサナダゴケモドキ Plagiothecium euryphyllum です。


 茎は這い、不規則に分枝しています。 葉は弱く扁平についています。

 平凡社の図鑑では、葉を含めた枝の幅は 2.5~4mm、葉の長さは 1.3~2.4mmとなっていて、上の写真ともよく一致します。

 葉は多少非相称で、葉先は広く尖っています。 中肋は二叉し、葉の中部以下で終っています。
 葉の基部は狭く茎に下延しています。 上の写真の赤い矢印がその部分で、下はその拡大です。

 平凡社には、「下延部の細胞は矩形,透明,薄壁で,基部の他の細胞から明瞭に区別される。下端の細胞は三角形。」と書かれています。 しかしこの下延部をうまく取り出せるかが関門で、多くの場合、途中で切れてしまいます。 上は取り出せたものの、柔らかい部分が重なってしまい、三角形の細胞もとても分かりにくくなっています。
 ②は薄壁でもなく、下延部ではありません。 茎と葉の境には、細胞の角度が異なるためでしょうか、①のような色の濃い帯状の部分が生じます。 下延部は葉の細胞が続いているため、そのような色の濃い部分が生じません。 ②の基部には色の濃い部分が見られます。 つまり②は茎の細胞がくっついてきているのでしょう。

 上は下延部の細胞が矩形,透明,薄壁であることはよく分かるのですが、途中で切れてしまっていて、下端の三角形の細胞がありません。

 上は葉の中央の葉身細胞で、長さ80~140μm、幅5~7μmです。

(2023.7.16. 京都市北区雲ケ畑)

こちらには本種の茎の断面や蒴の様子などを載せています。 またこちらには本種のみの群落の写真などを載せています。

2023-04-26

ヒダハイチイゴケ?

 樹液が保水能力を高めているのか、単に水が溜まりやすい場所なのか、樹幹に小さな葉の密なコケ群落がありました。

 葉は卵形で非対称、やや扁平につき、長さは1mm未満です。

 葉の上部には細かい歯があります。 中肋は短く2叉している葉もありましたが、多くは不明でした。

 上は葉身細胞で、長さは 90~110μmです。

 上の写真の中央には、たくさんの棒状の無性芽が写っています。

 上は無性芽をつけた枝ですが、これを見ると無性芽は枝由来のように思えます。

 上は無性芽で、長さは約 350μmでした。

 以上が観察結果ですが、葉の大きさや形から、ヒダハイチイゴケだと思っていたのですが、葉身細胞の長さからはアカイチイゴケのように思えます。 また無性芽は両種の中間的な形をしています。 どちらか迷ったのですが、線形の細胞の長さは変化しやすいように思いますので、ヒダハイチイゴケ Pseudotaxiphyllum densum としておきたいと思います。

(2023.3.11. 屋久島)

◎ ヒダハイチイゴケはこちらにも載せています。

2023-03-01

ヒダハイチイゴケ

 写真はヒダハイチイゴケ Pseudotaxiphyllum densum だと思います。 土の斜面にありました。

 同じ属のよく見るアカイチイゴケより小形で、葉の長さは1mmありません。

 葉腋に棒状の無性芽をつけていました(上の写真)。

 葉は卵形で非相称、中肋は短くて2叉するか不明です(上の写真)。

 上は葉身細胞です。

 上は無性芽です。 アカイチイゴケの無性芽と比較すると、短くて太く、よじれも少ないようです。

◎ ヒダハイチイゴケはこちらにも載せています。


2022-09-18

オオサナダゴケ

 上の写真、いろんなコケが写っていますが、写真の左下から右上にかけてがオオサナダゴケ Plagiothecium neckeroideum の群落です。

 葉は著しく扁平につき、葉の上半部は乾いた状態でも上の写真のような湿った状態でも強く波打っています。

 上のスケールの数字の単位はcmです。 和名に「オオ」とつくだけあって、サナダゴケ科の他の種よりかなり長く伸びています。

 あちこちの葉先に仮根や無性芽がついていました。 上の写真では仮根は茎や葉の付け根などからも出ていますが、葉先からも長い仮根が出ています。

 上の写真では葉先に無性芽をつけています。

 葉は卵状披針形で非相称、中肋は2叉しています。 翼細胞には徐々に移行して明瞭な境はありません。 葉の上半部の波打っている状態は、カバーグラスで抑えるためだと思いますが、顕微鏡写真では分かりにくくなっています。 上の葉は無性芽をつけていたためでしょうか、葉先がなくなっています。

 上の写真の葉は葉先に何かをつけています。 これを拡大すると・・・

 葉先には無性芽と仮根が混じってついているようです。

 上は葉身細胞です。

(2022.9.5. 北八ヶ岳)

2021-11-09

ナンブサナダゴケ


  樹皮の割れ目に育っていた写真のコケ、以下の観察結果から、少し疑問が残る所もあるのですが、ナンブサナダゴケ Plagiothecium laetum だろうと思います。

 上は乾いた状態ですが、葉はそんなに縮んでいません。 上の写真の蒴柄の長さは約9mm、平凡社では8~15mmとなっています。

 上は湿った状態です。 葉は茎に扁平についています。

 葉は卵状披針形で鋭頭、基部から1/3ほどの所が最も幅広く、葉の中央はほとんど凹んでいません。 他の葉を見てもほとんどこのような葉形でしたが、野口の図などと比較すると、葉先が尖りすぎているように思います。

 上は葉の基部す。 翼部は長く下延し、その部分の細胞は狭い矩形です。

 上は葉身細胞です。 細胞の幅は6~9μmです。

 上は蒴です。 蓋は短く尖り、先端は色が濃くなっています。


 時期的なこともあるでしょうが、上部の葉腋にはたくさんの無性芽がついていました。 が、プレパラートを作る段階で、殆どの無性芽は散らばってしまいました。 上の2枚は、どうにか残った無性芽です。

 無性芽は数細胞が1列につながっていました(上の写真)。

 平凡社の図鑑の検索表では、サナダゴケ科2属は、葉の基部の下延の有無以外に、仮根が葉の付け根の下について平滑であればサナダゴケ属、仮根が葉腋についてパピラがあればエゾノヒラツボゴケ属となっています。 今回仮根を調べたところ、上の写真のように葉の背面下部からも仮根が出ていました。 またパピラの有無も、パビラなのかゴミがくっついているのか、少し悩みました。

(2021.10.7. 北八ヶ岳)

2020-10-20

マルフサゴケ

 

 朽木に育っていた写真のコケ、マルフサゴケ Plagiothecium cavifolium のようです。


 葉は丸くつき、長さは2mmほどです。 上は乾いた状態ですが、葉はほとんど縮れていません。 葉先が反り返っている葉があちこちに見られます。
 蒴柄の長さは25mmほどあります。 平凡社の図鑑では 10~15mmとなっているのですが、前に別の場所で見たものも 30mmほどありますし(こちら)、「こけ雑記」さんのところにも蒴柄の長さが2.5~3.5cmの本種が載せられています(こちら:西宮市のSさんから情報をいただきました)。


 葉は深く凹んでいますので、葉縁から中央部まで全体にピントを合わせることはできません。 ちなみに、学名の種小名は「凹んだ葉」という意味です。
 葉先は、上や下の写真のように、多くの葉で急に尖っています。 中肋は上のようにはっきり2叉しているものもありますが・・・

 上のように一見1本の中肋のように見える葉も、かなりの割合で混じっていました。 これについても上記Sさんの意見をうかがったところ、下の方で分岐が見られるので、二叉していると見ていいのではないかということでした。 Noguchi(1994)を見ても、二叉しているが長短の差が大きく、基部がくっついている中肋の図が載せられています。

 上は葉身細胞です。 Plagiothecium(サナダゴケ属)では葉身細胞の幅は重要な分類形質で、平凡社の図鑑では本種の葉身細胞の幅は8-12(-15)μmとなっています。 上の写真では、ほとんどの細胞の幅は 10~12μmで、よく一致しています。

 上は茎の横断面です。 平凡社の図鑑では、「(サナダゴケ科では)茎の横断面で表皮細胞はふつう大きくて透明」となっています。 上の写真を見ると、表皮細胞は中央部の細胞より小さいのですが、たしかに表皮のすぐ内側の細胞と比較すると大きな細胞です。

 上は蒴で、蒴歯は2列で完全です。 この蒴歯を顕微鏡で観察すると・・・

 2列で完全な蒴歯を持っている蒴では、薄い内蒴歯は丈夫な外蒴歯に邪魔され、よく観察できない場合が多いのですが、上の写真ではたまたま外蒴歯の一本が基部近くから折れて無くなっていて、内蒴歯の様子が分かり易くなっていたので、名称をつけておきました。

(2020.8.31. 北海道 苫小牧市)