ラベル 1035 クサリゴケ科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2026-06-23

花被のあるイボヒメクサリゴケ

 岩上のイボヒメクサリゴケ Cololejeunea macounii が、たくさんの花被をつけていました(2026.6.17. 貝塚市 秋山川遊歩道)。 上の写真で、いくつかの花被を赤い円で囲みましたが、円で囲っていない花被もたくさんあります。


 花被は倒卵形で、葉と同様に密に先の丸いパピラに覆われています。 写真では横からしか撮れず、うまく表現できていませんが、花被は5稜であることを確認しています。

 上は花被をつけていない枝先です。 背片は重なり、卵形で円頭です。 腹片の基部は凸面状です。

 上は葉です。 腹片は卵形で、背片の約1/2長です。

 腹片の歯は、第1歯は2細胞で金槌形、第2歯は数細胞からなる狭三角形で、先は尖っています(上の写真)。

 背片の各細胞には先の丸い大きなパピラが1つあります(上の写真)。

 上は葉身細胞で、細胞壁にピントを合わせるとパピラは分からなくなります。

◎ イボヒメクサリゴケはこちらこちらにも載せています。

 

2026-06-22

胞子体のあるシロクサリゴケ

 シロクサリゴケ Cheilolejeunea xanthocarpa の胞子体を確認できました(上の写真:2026.6.17. 貝塚市 秋山川遊歩道の樹幹)。

 花被は5稜です。 なお、写真下のスケールの最小目盛は 0.1mmです。

 上は胞子体です。 古くなっているので、大きさが分かるだけですが・・・。

 上は葉(側葉)です。 腹面から撮った全体の様子はこちらに載せていますので、今回は省きます。

 上は腹葉です。

 上は背片の葉身細胞です。 油体は大きく、ブドウ房状です。

2026-01-16

シロクサリゴケ

 写真はシロクサリゴケ Cheilolejeunea xanthocarpa でしょう。 樹幹についていました。 分布は平凡社では愛知県以西となっています。

 背片は長さ約1㎜、卵形で円頭、腹縁~葉先が著しく内曲しています(上の写真)。

 腹葉は茎径の3~4倍幅、広卵形で全縁です(上の写真)。


 腹片は矩形で背片の約1/2の長さがあるのですが、内曲した背片復縁の裏側に隠れてしまっており、ぼんやりとしか見えません。 上の2枚の写真では、赤い直線で背片の先端の位置を、矢印で背片の存在する範囲を示しました。

 上は葉身細胞です。 各細胞にはブドウ房状の油体が1個あります。

(2025.11.15. 大阪府貝塚市 秋山川遊歩道)

こちらには本種の胞子体などを載せています。 また本種はこちらにも載せています。

2025-11-24

トサノケクサリゴケ

 写真はトサノケクサリゴケ Cololejeunea kodamae でしょう。 岩上にありました。 大きさが分かるものを一緒に写し込めば良かったのですが、とにかく小さなコケです。


 上の2枚は腹面から撮っています。 葉は重なり、斜めに開出しています。 1枚の葉の長さは 0.2~0.3mmで、背の高いパピラが目立ちます。
 背片は卵形で、先端は内曲しています。 腹片は背片の約1/2の長さです。 腹葉はありません。

 上は背面から撮っています。 背片の背面にもパピラがあります。 背片に眼点細胞は確認できません。


 上の2枚は、どちらも腹片にピントを合わせていますが、下は深度合成しています。 腹片は卵形で膨れ、第1歯は線状で2(~3)細胞からなっています。 第2歯はほとんど分かりません。
 腹片の腹面は、基部はほぼ平滑ですが、上部の細胞には大きなパピラがあります。

 上は茎頂付近で、若い葉の基部に1細胞からなるスチルスがあります。
 下は上とほぼ同じ所をピントをずらして撮っています。

 小形の苔類(=光が透過しやすい)を高倍率(=ピントの合う深度が浅い)で観察すると、まるで切片を作ったような写真が撮れます。 背片と腹片の間に位置する柄のついた球形のものは若い造卵器でしょうか。

 本種は雌雄異株で、古い花被もついていました(上の写真)。 花被は倒卵形で5稜、密にパピラがあります。

 上は無性芽です。 無性芽の作られている所は残念ながら確認できませんでしたが、文献によると背片の腹面にできるようです。 たしかに背片の背面はパピラがあり、無性芽ができそうにありません。

(2025.11.22. 大阪府貝塚市)

◎ 本種はこちらにも載せています。 また本種はナカジマヒメクサリゴケとよく似ていますが、背片の先端が内曲することや腹片の腹面にパピラがあることなどで区別できます。

【参考文献】
MASAMI MIZUTANI:NOTES ON THE LEJEUNEACEAE. 11. COLOLEJEUNEA SPINOSA AND ITS RELATED SPECIES IN JAPAN.Journ. Hattori Bot. Lab. No.60:439-450 (1986)


2025-11-17

イボヒメクサリゴケ

 写真はイボヒメクサリゴケ Cololejeunea macounii でしょう。 11月15日に貝塚市で行われたオカモス関西の観察会でみつけました。 平凡社には樹幹に着生とありますが、岩上に点々と小さな群落を作っていました。

 背片は重なり、円頭です。 植物体の多くの部分の細胞には大きなパピラがあり、上の写真では、それが小さな円に見えています。 腹葉はありません。

 背片は卵形です。 腹片は背片の約1/2長で基部は凸面状、第1歯は金槌形で2細胞長、第2歯は狭三角形で尖っています(上の写真)。

 上は背片の葉先で、左下に腹片の第1歯が写っています。 各葉身細胞の中央には、先の丸い大きなパピラがあります。

 上は背片背面の葉身細胞です。パピラの基部と上部が重なり、二重円のように写っています。

 腹片基部の細胞にはパピラはありません(上の写真)。 細胞壁に中間肥厚が見られます。

◎ 本種はこちらにも載せています。 また、こちらには本種の花被の様子などを載せています。

2025-10-15

無性芽をつけたヒメクサリゴケ

 写真はヒメクサリゴケ Cololejeunea longifolia でしょう。 10月8日のオカモス関西の観察会で、千苅浄水場の岩上に育っていました。
 ルーペで上のようなコケを見た場合、Drepanolejeunea(サンカクゴケ属)の可能性もあるのですが、顕微鏡で観察したところ腹葉は無く、Cololejeunea(ヒメクサリゴケ属)であることが分かりました。

 顕微鏡で観察すると(上の写真)、ゴミも多いのですが、円い無性芽がたくさんついています。

 上は葉についている無性芽です。 無性芽は1細胞層の円盤状で、3カ所から上下に角のような突起があるのですが、無性芽はいろんな方向を向いているので、分かりにくいですね。

 上の写真、右上の無性芽はほぼ真横から見ていますので、“角”の様子がよく分かります。

 上は葉から離れて散らばっていた無性芽です。 無性芽の直径は、上の写真では 65~95μm、平凡社では 80~150μmとなっています。


 上の2枚は葉です。 背片は長楕円形で、腹片の第1歯は2細胞からなり、第2歯も明瞭です。

 葉身細胞は薄壁で、トリゴンは小さく、中間肥厚しています(上の写真)。

◎ ヒメクサリゴケはこちらこちらにも載せています。 また、上のような無性芽は本種の仲間数種に見られるようで、こちらに載せています。

2025-10-10

イトコミミゴケ

 岩上にある写真の細長いコケは、イトコミミゴケ Lejeunea parva でしょう。 10月8日に神戸市の道場町にある千苅浄水場で実施されたオカモス関西のコケ観察会で見られました。

 本種の分類されているクサリゴケ科は、腹片がポケット状になっていて、多くは小形のコケです。 クサリゴケ科は、系統的にはかなり進化したグループで、多くの種に分化し、現在の地球環境下で栄えています。 具体的に数値で示すと、片桐・古木(2018)の日本産タイ類・ツノゴケ類チェックリストではクサリゴケ科は 23属133種となっていて、種数の多さでは苔類の中でクサリゴケ科が突出しています。 これらのことからも、コケ植物は下等な植物で大きくなれないのではなく、少なくともあるグループでは小さくなるように進化してきていると言えるのではないでしょうか。

 小さなコケなので、以下は顕微鏡での観察です。

 枝分かれは少なく、葉を含めた茎の幅は 0.3~0.4㎜です。 上は腹面から撮っています。腹葉はピントがずれていて、ぼんやりとしか写っていません。 背片は丸みを帯びた三角形、腹片は背片の1/2ほどの長さです。

 上は腹面を斜め上から見下ろす角度で撮っています。 本種の背片は湿ると背方に偏向します。 腹葉の基部から仮根が出ています。
 下は上の緑色の線の部分で切った断面です。

 茎の髄細胞の数は、切り方がまずくはっきりしませんが、9~11個でしょう。 Lejeunea(クサリゴケ属)の茎の髄細胞の数は植物体の大きさを示す指標となり、平凡社の検索表では、3~5個、約7個、10~12個の3段階に分かれています。  Lejeuneaの多くの種は約7個のグループに入り、本種も約7個なのですが・・・。 採集したうちのいちばん大きくみえる茎を切ったからでしょうか。

 上は腹葉です。 腹葉は茎径の約2倍長で、長さと幅がほぼ同じ、2/5までV字形に2裂し、裂片は狭三角形です。

 腹片を拡大しました(上の写真)。 歯牙細胞は長楕円形です。

 上は表皮細胞で、ベルカ(verruca:細胞の表面にある微小突起)があります。

◎ イトコミミゴケはこちらこちらにも載せています。