2026-03-25

ホクセツイボナシミノゴケ

 写真はホクセツイボナシミノゴケ Macromitrium ousiense です。
 本種は中国福建省の標本に基づき記載されました(Paris,1910)。 日本では Yu et al.(2013)の記録があるのですが、論文中での標本の引用が不正確ですし、その後の報告は無く、忘れ去られた存在になっていました。 平凡社の図鑑でも、Macromitrium(ミノゴケ属)は、9種が載せられていますが、本種はこの9種には含まれていません。 ところが最近になって、秋山先生の調査により、本種が北摂地方を中心に分布していることが分かり、その特徴は蘚苔類研究13(6)にまとめられています。
 2026.3.21.に、その秋山先生に本種の生育場所に案内していただき、観察することができました。 上の写真も、その時に撮った写真です。 上は乾いた状態で、葉は強く卷宿しています。

 上は湿らせた状態です。 葉は狭い二等辺三角形で、鋭頭です。 ルーペレベルではリュウキュウミノゴケに似ていますが、葉先はリュウキュウミノゴケの方が尖っています。
 スケールの最小目盛は1㎜です。

 上は枝葉です。


 上の2枚は葉先付近です。 中肋は葉頂近くに達しています。 葉の上部~中部の細胞は均等にやや厚壁で方形~矩形、下部の細胞は方形~長矩形~線形になりますが、いずれにしても、パピラもマミラも見られません。

 本種の特徴を整理しておきます。 上記のように細胞が平坦であることは本種の大きな特徴で、和名の「イボナシ」もこのことに由来します。 今回は蒴が少し若く、観察できませんでしたが、蒴歯は短く不完全な板状で、全面が細かいパピラで覆われます。 胞子は大きさの違う二型があり、この形状から、矮雄を生じる雌雄異株と考えられます(秋山,2025)。

【文献】
秋山弘之:アジア産蘚苔類の分類・生態ノート40.平滑な葉細胞と発達の悪い蒴歯を持つミノゴケ属植物,ホクセツイボナシミノゴケ Macromitrium ousiense Broth. & Paris(蘚類,タチヒダゴケ科)について.蘚苔類研究 13(6).2025.

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