写真はウサミヤスデゴケ Frullania usamiensis だと思います。 SJさんが2023年の8月2日に剣山の標高1750m付近の樹幹で採集された標本を、11月26日のオカモスの顕微鏡観察会で分けていただきました。 採集から2年以上経っていますが、生育時の色も黄褐色~赤褐色です。
本州~九州の、山地帯高地から亜高山帯のおもに樹幹上に着生する大形のヤスデゴケです。
上は腹面から深度合成しています。 腹葉は長さより幅広く、茎の6~7倍幅で、先端は円頭~凹形ですが、右下の枝の腹葉のように、時には2裂します。
上の写真でも腹片は少し見えていますが、腹片の様子を確認するため、上の腹葉を数枚取り去って撮ったのが下の写真です(倍率は少し変えています)。 上下の写真を比較すると、上では腹片のほぼ半分が見えています。 腹葉が2裂しないものはアカヤスデゴケに似ていますが、アカヤスデゴケの腹片がこんなに見えることはありません。
腹片は幅広い帽状で、幅が長さの2倍以上あり、嘴が発達しています(上の写真)。
上は背片です。 背片は広楕円形、背縁基部の膨らみは小さく、全縁、円頭です。
上は腹葉です。 腹葉は広腎臓形で、基部は膨らんでいません。
上は背片の葉身細胞です。
本種は雌雄異株ですが、写真の株は雌株だったようで、花被がついていました。 上は腹面から撮っていますが、背面は最初の写真に写っています。
花被は西洋梨形で3褶、平滑です。 雌苞葉や腹苞葉は反り返って、上の写真では分かりにくいのですが、雌苞葉は背片も腹片も鋭頭、腹苞葉も深く2裂して裂片は狭三角形です。








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