10月に蓼科の標高1350m付近で撮った上の写真、同定できずに放置していたのですが、調べ直したところ、ヒメハイゴケ Calohypnum oldhamii だと思います(他の種も少し混生しています)。
ヒメハイゴケは主として暖温帯~冷温帯に広く分布していて、ハイゴケの仲間としては、低地ではハイゴケに次いで普通に見られる種ですが、配偶体・胞子体とも、大きさや形態に変異がかなり著しい種のようです。
育っていたのは木の上で、上の写真の中央が本種を中心とする群落です。 本種がよく見られるのは岩上ですが、上のように樹幹や朽木上でも見られ、稀には地上で生育することもあるようです。
規則正しく羽状分枝しています(上の写真)。 写真のものは本種としては小形のようです。
上は茎葉です。 三角状披針形で、中肋は不明瞭、葉先は長く細く伸びています。 葉は強く渦巻状に曲がっているので、カバーグラスで押さえて変な形になってしまいました。
上の2枚の写真は、茎葉計4枚の翼部です。 翼部は明瞭な区画を作り、下部に薄膜透明の大きな長方形の細胞があり、その上に小さな方形の細胞があります。
葉先近くには細鋸歯があります(上の写真)。
葉身細胞は膜が厚く、長さ40~80μmです(上の写真)。
枝葉は長楕円状披針形です(上の写真)。
枝葉では翼細胞はあまり発達しませんが、最下端に長楕円形で薄膜透明の大きな細胞が1(~2)個あります。
上は茎の断面です。 表皮細胞は小さく、中心束があります。 上の写真では中心束の様子がよく分かりませんので、拡大した写真を下に載せておきます。
◎ ヒメハイゴケはこちらにも載せています。
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