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2025-05-16

ミヤマハイゴケ

 写真はミヤマハイゴケ Hypnum leptothallum です。 岩上にありました。 乾くと上のように葉が茎に接し、その時の枝は葉を含めて幅 0.5~1㎜です。
 生育している様子や乾湿による変化はこちらにありますので、今回は省きます。

 上は枝葉で、長さ約1㎜、卵形で凹み、先が急に細くなって鋭頭でときに多少曲がります。 葉縁上部には細かい歯があります。 中肋は2本で短く、不明な場合もあります。

 上は翼部です。 小形で方形の細胞が葉縁から中肋方向に8~12列、葉縁で20~30個が並びます。

 上は葉身細胞です。

 上は右が葉先方向です。 倍率を上げ、焦点の合う深度を浅くすると、細胞上端の小さなパピラの存在が確認できました。

 上の写真では少し短いですが、偽毛葉は糸状です。

 上は茎の断面で、表皮細胞は小さく厚壁です。

(2025.5.1. 京都市下京区)

2023-09-27

ハイヒバゴケ


 上は北海道の支笏湖近くの美笛峠で泉田氏が2023.8.29.に撮影されたコケですが、このコケを送っていただき、調べたところ、ハイヒバゴケ Hypnum cupressiforme のようでした。
 平凡社では、本種は岩上や木の根元に生えるとありますが、上の写真では根元ではありません。 しかし Wikipedia によると、本種は世界的な非常に広い分布を持つコケ植物で、生息環境なども多岐に渡るが、通常は木の幹や丸太、壁、岩、その他の表面などで生育するとあります。

 茎は這い、不規則な羽状に分枝しますが、変異が非常に大きい種で、これまでに載せたこちらやこちらなどと比較しても、分枝の様子や葉先の曲がりぐあいなどで、かなり肉眼~ルーペレベルの印象が異なるように思います。

 葉は卵形の葉身部から急にまたは次第に細くなり、葉先は鎌状に曲がるかまっすぐ、翼部は暗緑色~褐色の明瞭な区画をつくっています。 また、上の写真の右側の葉のように、下部でしばしば反曲します。

 翼部には方形の細胞が多数見られ、縁に沿っては6~15個が並びます。

 上は葉先です。 葉先に限らず、葉縁はほぼ全縁か、わずかに目立たない歯があります。

 葉身細胞は線形で、長さ40~60μm、幅3~5μmです(上の写真)。

 偽毛葉は糸状です(上の写真)。

 上は茎の断面です。 茎の表皮細胞は分化していません。

 上は蒴です(泉田氏撮影)。 蒴はやや傾いてつき、円筒形で少し曲がっています。

 上は雌苞葉です。 近縁の何種類かには雌苞葉に縦じわがあるのですが、本種の雌苞葉は披針形でしわはありません。

2019-12-07

ハイヒバゴケ


 滋賀県の川の中流域の花崗岩上を這っていたハイヒバゴケ Hypnum cupressiforme です。 幾重にも重なり、密な群落を作っていました。 世界的に広い分布を持っていますが、変異が大きく、多くの亜種が記録されています。
 平凡社の図鑑によれば、本州では主として日本海側に分布するとのことですが、たしかに滋賀県は日本海要素が入り込んでいる所です。


 不規則に羽状に分枝しています。



 茎葉の葉長は 1.5~2mm、枝葉はそれよりやや小形です。


 上は、ゴミが多いですが、茎葉です。 葉身部はやや急に細くなり、鋭頭です。 中肋は不明瞭、葉縁は下部で反曲し、その部分が色濃く、または二重に見えています。


 上は茎葉の翼部で、濃い緑色の明瞭な区画をつくっています。 方形の細胞が縁に沿って並んでいますが、平凡社の図鑑ではその数は6~15個となっています。 上にも書きましたが、葉縁の反曲しているところは二重に見えています。


 葉身細胞は線形で、長さは 50~70μmです(上の写真)。


 上は枝葉です。 茎葉よりずっと小さく、葉形も茎葉とはずいぶん異なります。

 上は枝葉の葉先付近ですが、葉縁には目立たない歯があります。


 上は枝葉の基部です。 不明瞭な二叉した短い中肋があります。 翼部の様子などは基本的には茎葉と同じです。


 上は茎の横断面です。 平凡社では Hypnum(ハイゴケ属)となっていて、そのハイゴケ属の検索表は、茎の横断面の表皮細胞の様子から始まります。 本種の表皮細胞は分化しておらず、厚い外側の壁を持っています。

(2019.11.21. 滋賀県高島市)

◎ ハイヒバゴケはこちらやこちらにも載せています。

2018-03-07

ハイヒバゴケ

 このページは当初かなり疑問を感じながらも「ミヤマハイゴケ?」としていたのですが、ハイヒバゴケではないかとメールで連絡いただき、再検討の結果、全面的に書き改めています。


 樹幹に細長く垂れ下がる上の写真のコケ、ハイヒバゴケ Hypnum cupressiforme またはその変種のイトハイヒバゴケ H. cupressiforme var. filiforme のようです。 ハイヒバゴケにも部分的にイトハイヒバゴケのような「一部糸状型」という類型が報告されているとのことです。
 平凡社の図鑑にはイトハイヒバゴケの記載は無く、この糸状に垂れ下がる姿が間違いの元でした。


 拡大して見ると葉の上半部が鎌状に曲がっていて、旧ハイゴケ属の特徴が出ています。


 枝になる膨らみの周囲には糸状と披針形が混ざった偽毛葉がありました(上の写真)。


 枝葉は先が急に細くなり、2本の短い中肋があります。 翼部は暗緑色の明瞭な区画を作っています。 なお、この区画は褐色であることもあるようです。


 葉身細胞は線形で、長さは 50~70μmです。


 翼部には厚壁の細胞が集まっています。

(2018.3.4. 河内長野市 岩湧山 標高 500m付近)

2017-03-03

ミヤマハイゴケ


 岩から垂れ下がるコケ、悪い撮影条件下での写真でかなりブレていますが、ミヤマハイゴケ Hypnum leptothallum です。


 茎は不規則に分枝しています。

 もう少し拡大して・・・


 湿ると上のように葉は開いていますが・・・


 乾くと上のように葉は枝に接します。



 葉の長さは 1.3mm前後です。 葉は卵形で凹み、葉先は急に細くなり、鋭頭です。 中肋は短い2本ですが、葉によっては分からないものもありました。


 葉縁上部には明瞭な細かい歯があります。


 翼部は小形で方形の細胞からなっています。


 葉身細胞は線形で、長さは 40~60μmです。 上の写真は右が葉先方向ですが、上端の細胞壁に軽い膨らみが見られます。


 上の写真は、枝の基部付近の葉を取り除いて撮ったものですが、枝の基部を取り囲むように毛葉のようなものがあります。 同様のものは下の写真のように、今後枝になるであろう膨らみの周囲にも見られました。 このような、枝の基部や将来枝になる部分の周囲に限って見られる毛葉に似た構造を「偽毛葉」(pseudoparaphyllia)と呼んでいます。 ミヤマハイゴケの偽毛葉は糸状です。

(顕微鏡写真4枚を深度合成)


(2017.2.8. 西宮市名塩)

◎ ミヤマハイゴケはこちらにも載せています。