幼虫が地衣類を食べて育つコケガの仲間には、雌雄で模様の異なるものがいます。 アカスジシロコケガも、ヨツボシホソバなどのようには極端ではありませんが、やはり雌雄で模様が異なります。
上はメスです。 雌雄の違いには関係ありませんが、前翅前縁( 翅の名称についてはこちらをご覧ください )の頭部近くに双翅目らしいものがくっついています。 撮っている時にはゴミだとばかり思っていたのですが・・・。
上はその双翅目を拡大したものですが、何をしているのでしょうね。 撮影時に気付けば、もっと倍率を上げて撮影していたのですが・・・。
そして上がオスです。 1枚目のメスは翅の重なりが大きいので、前翅外縁付近の模様が異なるように見えるかもしれませんが、この部分は同じです。
メスとオスを比較してみると、翅の黒斑がメスでは1つですが、オスでは2つあり、オスでは赤い帯も黒斑に近づいています。
もうひとつ、オスの翅の黒斑近くには性標があります。 色はやはり赤と白で見分けがつきにくいのですが、下はその部分を拡大したものです。
性標の部分は、他の部分と異なり、細長い鱗粉が並んでいます。 たぶんこの部分が発香鱗でしょう。
夜行性の蛾の多くは、メスが腹部の先からフェロモンを出してオスを呼ぶことが知られています。 一方、昼間に活動するチョウ目で配偶行動ににおいを利用するものは、アサギマダラやオオゴマダラなど、私の知る限りではオスがにおいを出しているようです。 アカスジシロコケガは夜行性の蛾です。 この発香鱗は配偶行動にどのように関係しているのでしょうね。
ところで、6月19日に、壁にくっついた下のようなものを撮影していました。
このような繭は、幼虫が自らの毛を抜いて作るようで、Cyana属特有のものです。 Cyana属には3種が知られていますが、アカスジシロコケガ以外の2種は西南諸島を中心に分布していて本州での記録はほとんどありませんから、たぶんアカスジシロコケガのものでしょう。
おちゃたてむしさんのところには、繭を作っている幼虫と、その繭が載せられています(こちら)。 撮影は6月4日で、蛹の背面には幼虫と同じ橙色がみられます。 またBABAさんのところにも蛹が載せられています(こちら)が、6月18日の撮影で、蛹の色は、ほぼ真っ黒です。 私の上の写真は6月19日の撮影で、お二人の中間的な色をしています。 たぶん次第に黒くなっていくのでしょうね。
このような隙間だらけの繭が蛹を守ることに役立っているのかと思いますが、上記のBABAさんのブログには、この繭がツヤコバチの侵入を阻んだことが書かれています。
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