上は7月21日のオカモス関西の顕微鏡観察会にSさんが持参された標本で、検討の結果、タカキクラマゴケモドキ Porella oblongifolia だと思います。 本種の分布は、平凡社では本州(埼玉県以西)、四国の石灰岩地となっていて、上が採集されたのは剣山の石灰岩地です。
平凡社の検索表では腹片の様子が大切になってきますので、腹片から見ていきます。 少し小さいのですが、上の写真では腹片と背片のつながりは弱いようです。
多くの腹片を総合的に見ると、腹片の腹縁基部が幅広くなっているとは言えません(上の写真)。
上は腹片を見やすくするために背片の一部と腹片を取り除いています。 背片と腹片はほぼ1点でしかつながっていないため、背片を取り除いても腹片は茎に残ります。 また、背片基部は長く下延しています。
上は背片です。最初や2枚目の写真は十分に濡らした後で水を拭き取って撮影しているのですが、背片の先は内曲しています。 しかしこれは標本が水を吸って元の姿に戻るのが遅いためだと考えられ、背片を茎から外して水で封じた上の写真では背片の先の内曲は見られません。
背片は細長く、長さは幅の2倍以上あります。 種小名の oblongifolia は oblongi(長楕円形の)+folia(葉)ですから、この背片の様子からでしょう。 円頭の葉先には数個の長い歯があります。
上は腹葉です。 最初や2枚目の写真の腹葉は反り返っているため、茎から外した上の写真とは葉の形は違ってみえます。
上は葉身細胞です。
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