下は Part1の2012.11.9.を少し修正した引っ越し記事で、写真は2枚目が海南市で11月中旬に、他は全て槇尾山で11月上旬に撮影したものです。
ツメレンゲは、ベンケイソウ科イワレンゲ属に分類される多年生の多肉植物で、関東以西の本州、四国、九州に分布します。
多肉植物は多くの水分を組織内に貯えていて、乾燥に耐えることができます。 雨の多い日本でも、雨がしみ込まない岩上など、乾燥し易い所には、そのような多肉植物が見られます。 ツメレンゲも、他の植物がなかなか生きられない乾燥した岩場が本来の自生地です。
上の写真のように年代を経た瓦屋根に生えているのも見かけることがありますが、このなかには、水分を多く含んだツメレンゲにより火災の延焼を防ごうと、意図的に移植されたものもあるようです。
ツメレンゲは、他の植物がなかなか生きられない厳しい環境に生きている植物ですから、その成長はゆっくりです。 風に乗って運ばれてきた種子が発芽しても、開花までは3年ほどかかります。 この間は下のようなロゼットで過ごし、周囲に子株を形成していきます(上の写真)。
ツメレンゲの名前は、このロゼットの様子を蓮華(れんげ)座(=仏様の台座)に見立て、また、葉の先端が尖っているのを獣の爪に見立てたものと思われます。
花が咲くのは10月~11月です。 それまでロゼットで生活していたものの中央が伸び上がり、最初の写真のような塔状の花穂を形成します。 花は花穂の下から上へ順に咲いていきますが、花を咲かせることとその後の種子形成に貯えていた栄養分を使い果たし、開花した株は枯れてしまいます。
1つの花は、花弁は5枚で白色、オシベは10本、メシベは5心皮からなります(上の写真)。
ツメレンゲは、上に書いたように、乾燥という厳しい条件下でも生きられる逞しい植物ですが、ロゼットの時期に上を他の植物に覆われてしまうと光合成できなくなり、植物間の生存競争には弱い植物です。 限られた環境でしか生存できず、生長には時間がかかり、そこに人の営みによる悪影響が加わり、個体数は減少してきています。
ツメレンゲはクロツバメシジミの主要な食草でもあります。 ツメレンゲの減少と共に、クロツバメシジミの絶滅も危惧されています。
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