上は道盛氏がニュージーランドで観察されたコケで、毎月第4火曜日にZoomを使って行われている岡山コケの会関西支部の「コケサロン」で紹介されました。 腹片が袋状になった腹片に刺状のものがあるなど、これまで見たことが無いコケだったので、AIに質問するなど、いろいろ調べてみました。
Gemini(Google の AI)と何度もやりとりをした結果、最終的には「LEPIDOLAENACEAE(フクロクラマゴケモドキ科)の Gackstroemia weindorferi などの Gackstroemia属の植物である可能性が極めて高い」ということになりました。
Copilot(Microsoft の AI) に写真を見せると、「 苔類(コケ植物)ではなく、蘚類でもなく、「苔ではない」可能性が非常に高いです。」と答えてくれました。 しかし、ニュージーランド産の LEPIDOLAENACEAE と思われることを伝えると、Lepidolaena menziesii の可能性が高いとのことでした。 ただし LEPIDOLAENACEAE(科名)と Lepidolaena(属名)を正しく区別できているのかは疑問です。
Gemini も Copilot も、文字の記載を間違った解釈で写真の特徴と結びつけている可能性が高いように思います。
AI が出す回答は、そのまま信じられません。 AIは学習した結果から推論することは得意ですが、学習の元になるデータが少ない場合は、うまく推論できません。 また、今回のやりとりでは、古い論文と新しい論文を軽重をつけず同列にみているように思いました。 学術用語を日本語に訳す時にも、訳の根拠になるデータをどうしているのかも問題です。
AI との会話?の後もいろいろ調べた結果、私は写真のコケはLEPIDOLAENACEAE(フクロクラマゴケモドキ科)の Lepidolaena(フクロクラマゴケモドキ属)の1種だと思います。 ニュージーランドのコケ図鑑があれば、種名まで分かるのでしょうが・・・。 以下、このことに関して、もう少し調べたことなどを書いておきます。
最初写真を見た時、私はヤスデゴケ科かヒメウルシゴケ科だろうと思いました。 しかしクラマゴケモドキ科も、腹葉も腹片も発達しています。 LEPIDOLAENACEAE(フクロクラマゴケモドキ科 )は、主に南半球の温帯地域(ニュージーランド、オーストラリア、南米南部など)を中心に多様化しているグループで、日本語の科名は、クラマゴケモドキ科に似て腹片(や腹葉)が袋状になっていることに由来するようです。 ちなみに lepid- はギリシャ語の「鱗」で、-laena/-laenus は形態的特徴を示す名詞語尾として使われますので、Lepidolaena は「鱗片状の構造をもつもの」という意味になります。
平凡社の図鑑では LEPIDOLAENACEAE は「サワラゴケ科」となっていて、この科にはサワラゴケ Neotrichocolea bissetii や イヌムクムクゴケ Trichocoleopsis sacculata が分類されています。 サワラゴケは4~5回羽状に分枝しますが、第3、4番目の枝の葉の最腹側の裂片が袋状になっています。 イヌムクムクゴケは葉の最腹側の裂片が内曲して袋状になっています。 たしかにサワラゴケもイヌムクムクゴケも葉の一部が袋状になっているのですが、背片と腹片に分かれていません。
そしてその後の分子系統解析の結果、サワラゴケ属(Neotrichocolea)やイヌムクムクゴケ属(Trichocoleopsis)はテガタゴケ目(PTILIDIALES)のサワラゴケ科(NEOTRICHOCOLEACEAE)(片桐・古木、2018)として LEPIDOLAENACEAE から分離され、残った LEPIDOLAENACEAE (日本に分布する種は無い)に新しく「フクロクラマゴケモドキ科」の名称が充てられたたようです。
2026-07-07
フクロクラマゴケモドキ属の1種
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