こちらに載せていた屋久島産の Bazzania vietnamica について、「ベトナムムチゴケ(仮称)」としていたタイトルを「カギヅメムチゴケ」に変更し、内容も大幅に書き換えました。
2025-12-27
記事内容の改訂について
2025-12-25
ヤクシマミゾゴケ
写真はヤクシマミゾゴケ Marsupella yakushimensis だと思います。 12月20日に京都府の美山町で採集されたものを、12月23日の顕微鏡観察会で分けていただきました。 分布は平凡社では本州(近畿地方)~九州となっています。
葉は基部から広く開出し、接在~重なっています。 葉の大きさは、場所により、かなり異なります。 腹面から鞭状の枝を出しています。
上はカラカラに乾いた状態ですが、湿った状態とあまり変わりません。 赤い矢印の所が分かりやすいのですが、葉は溝状に曲がっていて、キールはありません。
葉は全縁で、1/2付近までV字形に2裂し、裂片は三角形で鋭頭です(上の写真)。 腹側の裂片の方が少し大きいのですが、ほぼ左右対称です。 写真右上の葉縁などを見ると、葉がやや波打っているのが分かります。
葉身細胞は厚壁で、トリゴンはありません(上の写真)。 油体は楕円体で、多くの細胞で2~3個、微粒の集合です。
2025-12-24
屋久島のムチゴケ属の1種について
屋久島では多くのムチゴケの仲間が見られますが、そのうちの1種である Bazzania siamensis について、これまでの記事を書き改め、こちらで紹介しています。
2025-12-22
チヂレタチゴケ
チヂレタチゴケ Atrichum crispulum が蒴をつけていました(2025.9.30. 福岡県・古処山)。
上の背景は1㎜方眼です。 本種は雌雄異株で、写真のものは雌株です。 胞子体をつけていない雌株の配偶体の茎は、上の写真では約5㎝ですが、8㎝に達するようです。 なお、雄株の茎は長くても4cmほどです。
胞子体の成長のために栄養分を提供するためだと思うのですが、胞子体をつけている配偶体は成長が悪いようです。
乾くと葉は強く縮れます(上の写真)。 これが和名の由来でしょう。
葉は舌状で、最も幅広いのは中央部です(上の2枚の写真)。 葉の長さは、上の2枚目の写真では約7.5㎜ですが、鞘状となっている基部が少し失われており、長い葉は1㎝ほどになります。 中上部の葉縁には歯があります。
背面の中肋上部には歯があります(上の写真)。
葉縁には1~2列の舷があり、大きな棘状の双歯が並んでいます(上の写真)。
葉の上半部は不規則に波状となっていて、背面の波状部には上の写真のように歯がありますが、ナミガタタチゴケやヒメタチゴケのような強い波状ではなく、歯も多くありません。
上は腹面から中肋を撮っています。 中肋上には4~6列のラメラ(薄板)があります。 ラメラは葉身細胞より小さい細胞で構成されています。
上は葉の断面です。
上は葉の中肋付近の断面です。 ラメラは2~3細胞の高さしかなく、中肋脇の葉身細胞より明らかに小さい細胞で構成されています。
上は歯のある葉縁の断面です。
上は葉身細胞で、右下に少し中肋が写っています。 葉身細胞は横に長く、長さ 15~30μmでした。
上は蒴です。 蓋には長さ2㎜ほどの長い角があり、帽は5~6㎜の長さがあります。
◎ チヂレタチゴケはこちらにも載せています。
2025-12-19
タカオジャゴケ
写真はタカオジャゴケ Conocephalum salebrosum でしょう。 福岡県の古処山で、2025.9.30.に撮影しました。
古処山の標高700m付近から870mの山頂にかけては石灰岩の露頭が多く見られますが、その地帯の斜面には、本種の大きな群落があちこちに見られました。
気室間の溝が浅く、葉状体の表面がのっぺりした印象を受けました。 気室孔はオオジャゴケなどに比較すると、とても小さく感じます。
上は腹面から撮っています。 中肋上に腹鱗片の付属物が並んでいるように見えます。 この部分を拡大すると・・・
円形の付属物のある腹鱗片が2列についています(上の写真)。
上は腹鱗片の付属物です。
上は中肋付近の断面です。 葉緑体を多く持つ細胞は、表皮組織のすぐ下に集中しています。
上は気室孔です。
◎ こちらには本種とオオジャゴケを比較できる写真を載せています。


























