2026-09-21

ケチョウチンゴケ

 上は2026年9月12日に京都市右京区京北上弓削町にあったコケで、見慣れた姿とは少し異なるのですが、調べた結果はケチョウチンゴケ Rhizomnium tuomikoskii だろうと思います。 上の撮り方では分かりにくいのですが、まだ細い若い胞子体があちこちについています。

 本種の茎には、ふつう黒褐色の仮根が密生し、よく見られるのは葉の上にまで仮根が広がっている姿ですが(こちらこちら)、上の横から撮った写真で見ても、茎の上部の仮根は多くありません。 胞子体をつけていることが影響しているのかとも思いましたが、最初の写真を見ても、不稔の茎でも葉の上の仮根は確認できません。


 Rhizomnium(ウチワチョウチンゴケ属)では、うちわのような広い葉が茎の上部に集まってつきますが、この葉の様子は最初の写真で分かります。 上の2枚は茎の中央につく葉です。 葉は丸みを帯びた四角形です。
 以下も上のような茎の中央につく葉についての観察結果です。

 葉先は円頭で、中肋は葉先に届いていません。

 葉先には小さな突起があり、舷は葉先にもあります。

 上は葉の中央付近の舷です。 舷は3~4列で、今回は褐色でした。


 葉身細胞は大きく、0.1㎜前後の長さがあります(上の2枚の写真)。

 上は仮根(大仮根)です。

(2026.9.12. 京都市右京区京北上弓削町 標高 500m)

こちらには胞子体をつけた雌株の様子を、こちらには雄花盤をつけた雄株の様子を載せています。

2026-09-19

ナメリチョウチンゴケ

 マツタケジャゴケの隙間から伸び出していた小さなチョウチンゴケ(上の写真)、ホシガタチョウチンゴケかも、と思って調べた結果はナメリチョウチンゴケ Mnium lycopodioides のようです。

 今回は最初の写真のように不稔の茎しか見られませんでしたが、不稔の茎の葉は上の写真のように離れてついていて2列にみえます。 茎の長さは1~3cmです。
 下は上と同じ植物体の乾いた状態です。

 乾くと上の写真のように縮れます。

 葉は鋭頭で、中部(より少し下)で最も幅広くなっています(上の写真)。

 上は葉先近くを背面から撮っています。 中肋はほぼ葉先に達しています。 中肋背面に小歯は見られません。

 葉縁には2~3細胞列の舷があり、歯は双歯です(上の写真)。 平凡社の図鑑には、舷は褐色とあり、たしかにその傾向はあるのですが(こちらこちら)、環境条件によっては褐色でない場合もあるようです。

 葉身細胞は円形~丸みを帯びた方形~六角形です(上の写真)。 細胞はほぼ等径で、上では20~23㎛です。 平凡社では12~18㎛で(不稔の茎の葉の径は)やや大きいことがあるとなっています。

 上は茎の断面で、中心束があるのは Mnium(チョウチンゴケ属)の特徴です。

(2026.9.12. 京都市右京区京北上弓削町 標高 500m)

◎ 本種は雌雄異株です。 雄株の雄花盤の様子などはこちらに、雌株の胞子体の様子などはこちらに載せています。

2026-09-16

ユミゴケ@9月

 ユミゴケ Dicranodontium denudatum の葉は落ちやすく、落ちた葉は無性生殖に使われると思われることはこちらこちらに書いていますが、ほとんど茎だけになったようなユミゴケの群落がありました。 時期や環境によってどのように異なるのか興味あるところですが、とりあえず記録として残しておきます。

(2026.9.12. 京都市右京区京北上弓削町 標高 500m)

2026-09-08

ホソミゾゴケ?

 上は2024.8.26.に北海道の然別湖近くで撮った写真です。 岩上にあったコケ群落で、多くはタカネツボミゴケですが、以下に取り上げるのは緑の矢印のコケです。

 葉は基部から開出しています。 Marsupella(ミゾゴケ属)だろうと思い、平凡社のの検索表をたどりました。

 上は葉です。 キールが無く、裂片は鋭頭です。 平凡社の検索表では葉はほぼ左右対称か左右非対称かの分岐があるのですが、前者を選べばヤクシマミゾゴケに、後者を選べばホソミゾゴケになりそうです。 北川(1963)の図を見ても、このどちらかだと思うのですが、平凡社によると、ヤクシマミゾゴケの分布は本州(近畿地方)~九州ですし、ホソミゾゴケの分布も本州~九州で、どちらも北海道に分布しません。 この記事が今日になった最大の原因はここにあります。


 葉身細胞はトリゴンが小さく、油体は各細胞に6~8個で眼点はありません(上の2枚の写真)。 ちなみに、ヤクシマミゾゴケの油体は2~3個のようです。

 ここではホソミゾゴケ Marsupella pseudofunckii としておき、ご意見をいただきたいと思います。

【参考資料】
北川尚史:日本産 Marsupellaceae の研究.服部植物研究所報告第26号.1963.

◎ ホソミゾゴケと思われるコケはこちらにも載せています。

2026-09-02

サワクサリゴケ

 湿岩上に育つ上の写真のコケ、手前は急に深くなっていて近づけず、接写はできませんでした。 手を思いっきり伸ばして少し採集し、調べることにしました。



 葉は腹片が無く(と思い込み)、腹葉はほぼ円形に近く、1/2ほどがV字形に2裂しています。 きっとツキヌキゴケ科だろうと思い、いろいろ調べたのですが分からず、M氏に援助要請。 結果はサワクサリゴケ Lejeuea aquatica のようです。

 本種の腹片は小さく、しばしば痕跡的になります。 腹片がほとんど目立たないクサリゴケ科があることをすっかり忘れていました。 思えば植物体はとても小さく柔らかく、この時点で本種であることを疑うべきでしたし、小さく分かりにくいとはいえ、瓦状か倒瓦状かもきちんと確認すべきでした。

 上は葉身細胞です。

(2026.7.20. 京都府南丹市美山町 音谷の滝)

◎ サワクサリコケはこちらこちらにも載せています。