写真はジングウホウオウゴケ Fissidens obscurirete でしょう。 葉は茎の基部まで密についています。 公開されている廃坑内で、ライトに照らされて育っていました(2024.11.16.撮影)。 照度は測定していませんが、かなり暗い環境でした。 本種はうす暗い環境を好むホウオウゴケとされていますが・・・。
(“通常”の)野外で見られた本種は、こちら(蒴あり)やこちら(蒴なし)に載せていますが、以下の観察結果とほとんど変わらず、特殊な環境であるにも関わらず、正常に育っていることが分かります。
上の写真ではよく分かりませんが、蒴は茎に頂生しています。
上は乾いた状態です。 蒴は蓋が取れています。
茎の長さは葉を含めて 1.4~4.0㎜、葉の長さは、最下部の葉とまだ伸びきっていない若い葉を除くと、0.9~1.4㎜です。
上は茎の中央付近についていた葉です。 葉は披針形~線状披針形で、細く、鋭頭です。
中肋は明るく、葉先から短く突出しています。 葉身細胞には多くのパピラがあります。
上は背翼の葉身細胞です。(写真右下に少し中肋が写っています。) 細胞は方形~六角形で、長さは5~8μmです。 なお、腹翼の細胞も上翼の細胞も、形も大きさもほとんど同じでした。
上は葉の基部で写真上方が背翼、下方が腹翼です。 腹翼の片方が破れて無くなっていますので、腹翼の基部付近が分かりやすくなっています。
腹翼基部の葉縁には、舷と言えないまでも、他の葉身細胞より細長く、パピラの無い2~3の細胞がありました。 この様子は以下に書く苞葉とは、かなり異なっています。
上は苞葉です。 葉より細く長く、中央が凹んでいます。
上の2枚は苞葉の基部です。 苞葉の腹翼には2~3列の細胞からなる舷があります。 なお、この舷は最上部の1(~2)対の葉でも見られました。
蒴柄にパピラはありません(上の写真)。
胞子体の基部には造卵器がたくさん残っていました(上の写真)。