2026-07-25

ハラツボミゴケ

 上は 2026.7.11.に京都府の美山町佐々里で撮った苔類です。 この仲間(ソロイゴケ属やツボミゴケ属)は、平凡社ではツボミゴケ属として37種が載せられていますが、検索表は花被が無いと使い物になりません。 ということで、今回もM氏の助けを借りることで、ハラツボミゴケ Solenostoma rotundatum だろうということになりました。
 上の写真の赤い矢印で示した所などに見られる粒状のものは造精器です。


 茎は匍匐~斜上し、直立していません。 葉を含めた茎の幅は 2.5mmほどあります。 赤褐色の仮根がありすが、束になって茎に沿って流下することはありません。


 葉は円頭でほぼ円形ですが、幅が長さより少し長くなっています。

 葉身細胞は薄壁で、トリゴンは発達しておらず、油体は各細胞に2個で微粒の集合です。

 葉縁の細胞は他の細胞とほぼ同じ~少し小形です。

 上は最初の写真の赤い矢印で示した造精器です。 短い柄がついています。

◎ ハラツボミゴケはこちらにも載せています。

2026-07-24

ミジンコヤバネゴケ



 写真はとても小さな細いコケの群落ですが、これほどの大きさのある群落で、茎の太さがほぼそろっていることから、幼体ばかりの群落とは考えにくく、生殖器官は見当たらなかったのですが、成体だろうと思います。 そのことを前提に調べると、写真のコケはミジンコヤバネゴケ Fuscocephaloziopsis zoopsioides だろうと思います(2026.7.20.撮影)。 岩上で育っていました。
 平凡社では分布は関東以南の太平洋側となっていますが、写真の場所は京都府南丹市美山町で、どちらかと言えば日本海側になります。
 なお、平凡社や尼川(1952)などでは、本種の学名は Cephalozia zoopsioides となっていますが、従来 Cephalozia(ヤバネゴケ属)とされていたものの多くは Fuscocephaloziopsis(マルバヤバネゴケ属)に移され、日本で確認されているヤバネゴケ属は、オタルヤバネゴケヤバネゴケシマヤバネゴケの3種のみになっています(古木・内田,2025)。

 茎の幅は約 0.12mm、葉は離在~接しています(上の写真)。



 葉は斜めについています。 腹葉はありません。 葉身細胞はトリゴンが無く、油体は目立ちません。


 上の2枚は茎の横断面です。 1枚目の写真では左側に、2枚目の写真では右側に葉の組織の一部がついています。 左右の葉の背縁基部の間に2つの表皮細胞があります。 これがマルバヤバネゴケ属の特徴の1つです。
 茎の表皮細胞には葉緑体はほとんどありません。

【参考資料】
古木達郎,内田暁友:日本新産のタイ類ヤバネゴケ科ヤチヤバネゴケ.J.Jap.Bot.100(4).2025
尼川大録:日本産ヤバネゴケ研究(2).J.Hattori Bot.Lab.8.1952.

2026-07-23

コナシガタソロイゴケ

 写真はコナシガタソロイゴケ Solenostoma minutissimum だと思います。 土の斜面にありました。

 葉は卵状舌形です(上の写真)。

 上は葉縁近くの、下は葉の基部近くの葉身細胞です。 大きなトリゴンがあります。

 油体は葉の下部に局在していました。 油体は球形~楕円体で、微粒の集合です。

 上の写真の中央の葉緑体の抜けた細胞を見ると、ベルカがあるようにみえます。

(2026.3.28. 六甲山・再度谷)

◎ コナシガタソロイゴケはこちらにも載せています。

2026-07-09

クモノスホコリ


 写真はアミホコリ科のクモノスホコリ Cribraria cancellata でしょう。 たくさんの子実体が朽木上に見られました。
 上の写真では、まだたくさんの胞子が残っていて少し分かりにくいのですが、胞子嚢(子嚢)の表面にはスポーク状の肋があり、胞子が抜け落ちると、この肋がよく目立ちます。 種小名の cancelatus はラテン語で「格子状の」を意味し、この子嚢の形態に由来します。

(2026.6.30. 京都御苑)

 

2026-07-08

カラフトヒシャクゴケ?


 写真は、7月3日~5日に京都の梅小路公園で開催された「苔類だけのコケ展」で、会場の顕微鏡を使って撮影したコケですが、下の葉の写真などを見ると、カラフトヒシャクゴケ Scapania irrigua のようにもみえます。

 葉の縁は鋸歯状です。 腹片は卵形で、幅は長さの3/4以上あります。 腹片の腹縁基部は、ほとんど下延していません。 キールは明瞭で、やや弓形に凹んでいます。

 上は腹片の細胞です。 尼川・服部(1953)の記載と比較すると、カラフトヒシャクゴケにしては厚壁で、細胞の大きさは測定できていないのですが、少し小さいのかもしれません。