2026-01-19

サビイロハタケゴケ

 写真はサビイロハタケゴケ Riccia nigrella でしょう。 本種は外来種と考えられます。 国内では1997年に皇居内で初めて採集され(河濟・古木2005)、関東地方では、近年になって爆発的に増えており(古木2020)、環境省の「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」に載せられています。 上も2026年1月に東京都文京区本郷で撮った写真です。
 色は季節によって変わるようですが、観察した時点では、若い部分は光沢のある鮮緑色で、古くなると和名のように鉄さび色に変色していました。 溝は線状で、胞子体のある所の表面が白っぽい褐色に変色して円形の銭斑になっています。 また、あちこちに見られる赤紫色の点は、造精器から精子が出て来る所でしょう。

 上は腹面から撮っています。 最小目盛は 0.1㎜です。
 腹鱗片は縁からはみ出さず、瓦状に重なっています。 腹鱗片は縁が淡い色で、中央部は黒紫色をしています。 学名の種小名 nigrella(黒色) は、この腹鱗片の色に由来しているようです。
 下は上と同じものの乾いた状態を背面から撮っています。

 乾燥すると、葉状体の縁が背面側に捲れて上のような姿になります。

 上は葉状体の断面です。 葉状体内部に気室は無く、上半部は櫛の歯状に細胞が並んでいます。 葉状体表層の1層は矩形の透明な細胞からなっています。
 上の写真では葉状体内部に造精器が写っています。

 上は葉状体断面の上部です。 本種と同様に葉状体中央に線状の溝があるミドリハタケゴケやウロコハタケゴケは、表皮細胞の上部が消失し杯状になるという特徴がありますが、本種の表皮細胞はきれいに宿存しています。

 造精器の場所を狙って葉状体の断面を作成してみました(上の写真)。 造精器は仕切られた部屋の中にあり、精子の出る通路周辺は赤紫色に色付いています。

 上は胞子です。 遠心面はほぼ均一の大きさの(8~)10~12(~14)個の網目があります。

2026-01-16

シロクサリゴケ

 写真はシロクサリゴケ Cheilolejeunea xanthocarpa でしょう。 樹幹についていました。 分布は平凡社では愛知県以西となっています。

 背片は長さ約1㎜、卵形で円頭、腹縁~葉先が著しく内曲しています(上の写真)。

 腹葉は茎径の3~4倍幅、広卵形で全縁です(上の写真)。


 腹片は矩形で背片の約1/2の長さがあるのですが、内曲した背片復縁の裏側に隠れてしまっており、ぼんやりとしか見えません。 上の2枚の写真では、赤い直線で背片の先端の位置を、矢印で背片の存在する範囲を示しました。

 上は葉身細胞です。 各細胞にはブドウ房状の油体が1個あります。

(2025.11.15. 大阪府貝塚市 秋山川遊歩道)

◎ シロクサリゴケはこちらにも載せています。

2025-12-27

記事内容の改訂について

 こちらに載せていた屋久島産の Bazzania vietnamica について、「ベトナムムチゴケ(仮称)」としていたタイトルを「カギヅメムチゴケ」に変更し、内容も大幅に書き換えました。


2025-12-25

ヤクシマミゾゴケ

 写真はヤクシマミゾゴケ Marsupella yakushimensis だと思います。 12月20日に京都府の美山町で採集されたものを、12月23日の顕微鏡観察会で分けていただきました。 分布は平凡社では本州(近畿地方)~九州となっています。

 葉は基部から広く開出し、接在~重なっています。 葉の大きさは、場所により、かなり異なります。 腹面から鞭状の枝を出しています。

 上はカラカラに乾いた状態ですが、湿った状態とあまり変わりません。 赤い矢印の所が分かりやすいのですが、葉は溝状に曲がっていて、キールはありません。

 葉は全縁で、1/2付近までV字形に2裂し、裂片は三角形で鋭頭です(上の写真)。 腹側の裂片の方が少し大きいのですが、ほぼ左右対称です。 写真右上の葉縁などを見ると、葉がやや波打っているのが分かります。

 葉身細胞は厚壁で、トリゴンはありません(上の写真)。 油体は楕円体で、多くの細胞で2~3個、微粒の集合です。

2025-12-24

屋久島のムチゴケ属の1種について

 屋久島では多くのムチゴケの仲間が見られますが、そのうちの1種である Bazzania siamensis について、これまでの記事を書き改め、こちらで紹介しています。