写真はトサノケクサリゴケ Cololejeunea kodamae でしょう。 岩上にありました。 大きさが分かるものを一緒に写し込めば良かったのですが、とにかく小さなコケです。
上の2枚は腹面から撮っています。 葉は重なり、斜めに開出しています。 1枚の葉の長さは 0.2~0.3mmで、背の高いパピラが目立ちます。
背片は卵形で、先端は内曲しています。 腹片は背片の約1/2の長さです。 腹葉はありません。
上は背面から撮っています。 背片の背面にもパピラがあります。 背片に眼点細胞は確認できません。
上の2枚は、どちらも腹片にピントを合わせていますが、下は深度合成しています。 腹片は卵形で膨れ、第1歯は線状で2(~3)細胞からなっています。 第2歯はほとんど分かりません。
腹片の腹面は、基部はほぼ平滑ですが、上部の細胞には大きなパピラがあります。
上は茎頂付近で、若い葉の基部に1細胞からなるスチルスがあります。
下は上とほぼ同じ所をピントをずらして撮っています。
小形の苔類(=光が透過しやすい)を高倍率(=ピントの合う深度が浅い)で観察すると、まるで切片を作ったような写真が撮れます。 背片と腹片の間に位置する柄のついた球形のものは若い造卵器でしょうか。
本種は雌雄異株で、古い花被もついていました(上の写真)。 花被は倒卵形で5稜、密にパピラがあります。
上は無性芽です。 無性芽の作られている所は残念ながら確認できませんでしたが、文献によると背片の腹面にできるようです。 たしかに背片の背面はパピラがあり、無性芽ができそうにありません。
(2025.11.22. 大阪府貝塚市)
◎ 本種はこちらにも載せています。 また本種はナカジマヒメクサリゴケとよく似ていますが、背片の先端が内曲することや腹片の腹面にパピラがあることなどで区別できます。
【参考文献】
MASAMI MIZUTANI:NOTES ON THE LEJEUNEACEAE. 11. COLOLEJEUNEA SPINOSA AND ITS RELATED SPECIES IN JAPAN.Journ. Hattori Bot. Lab. No.60:439-450 (1986)










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