2023-06-18

キノウエノケゴケ

  今年は春からなにかと忙しく、ブログの更新も飛び飛びになっています。 コケについても、どうしても大阪を離れて採集したコケを優先的に調べたくなり、近くで採集したコケを調べるのは後回しになってしまいます。

 上は3月15日に高槻市の原地区で撮った、ガードレールにくっついていたコケ群落です。 ノミハニワゴケ、タチヒダゴケの仲間(この時期は同定が難しい)、カラヤスデゴケなどが混生していましたが、その中にキノウエノケゴケ Schwetschkea matsumurae も混じっていました。 上の写真の左上に写っている、嘴のある蓋をつけた蒴が、本種の蒴だろうと思います。 多くの場合、樹幹についているコケです。

 上は湿った状態です。 茎は這い、不規則に分枝しています。 枝葉と茎葉はほぼ同じ長さで、0.7~1.5mmです。
 下は上と同じ枝で、乾いた状態です。

 葉は乾くと細く巻き、枝に接することはありません(上の写真)。

 枝葉は披針形で、基部はやや狭くなっており、葉先は細く伸びています(上の写真)。 中肋は葉の中部で終っています。

 翼部の細胞は方形です(上の写真)。

 葉身細胞は狭六角形~菱形で、中肋に近づくほど細長くなっています(上の写真)。

 上は葉先です。

 最初の写真から3カも月放置していた間に、蒴の蓋は取れてしまっていました。

 上は蓋の取れた蒴を真上から見ています。 乾いた状態ですが、Anacamptodon(ソリハゴケ属)とは異なり、外蒴歯は内側に曲がっています。
 内蒴歯は基底膜が低く、外蒴歯とほぼ同じ長さの細い歯突起があるのですが、細いためか、多くの歯突起が失われています。 間毛はありません。

 上は光学顕微鏡で見た蒴歯です。 外蒴歯は全面に細かいパピラがあります。 内蒴歯の歯突起は基部しか残っていません。

こちらには10月下旬に撮ったキノウエノケゴケを載せています。

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