2022-12-16

オオシタバケビラゴケ

 上はナンヨウサンカクゴケの時に載せた写真の再掲です。 いろいろなコケが写っていますが、その大部分はオオシタバケビラゴケ Radula cavifolia です。
 茎の左右に円い葉が並ぶ苔類はとても多く、背面から(=上から)見て色や大きさなどから同定するのはとても難しいことです。 苔類の同定は腹面からの観察が原則です。

 上は腹面から撮った写真です。 腹片は長さが背片の長さとほとんど変わらず、縁が内曲しています。 腹葉はありません。

 上は葉身細胞です。 大きな油体がふつう各細胞に1つあるのはけびらゴケ族の特徴です。

(2022.12.9. 滋賀県 金勝寺)

◎ オオシタバケビラゴケはこちらにも載せています。


2022-12-14

オンタケクサリゴケ

 写真はオンタケクサリゴケ Cheilolejeunea khasiana でしょう。 わずかな量がナメリチョウチンゴケにくっついていました。 本来の大きさより、かなり小さいようです。
 上の写真は腹面を撮っています。 腹片の下から仮根が束になって出ています。

 上は腹片にピントを合わせています。 背片は卵形、腹片は先端が切頭で、歯牙は不明瞭です。
 下は同じ所を撮っていますが、ピントの合う位置を変えています。

 腹葉は円形に近く、2/5まで2裂しています(上の写真)。


 上の2枚は葉身細胞です。 葉身細胞は薄壁で、トリゴンは小さく、ブドウ房状の大きな油体が少数あります。

 (2022.12.9. 滋賀県 金勝寺)

◎ オンタケクサリゴケはこちらにも載せています。

2022-12-12

ベニカヤラン

 写真はベニカヤラン(別名 マツラン) Gastrochilus matsuran です。 茎は下へ、根は枝に沿って上へ伸び、ぶら下がるような姿になります。
 上の写真には2株が写っていますが、左の株の細長いものは果実です。

 上はつぼみです。 果実も花柄も、下に伸びた茎の下に垂れるように付きますから、果実やつぼみを撮ろうとすると、どうしても葉の裏が写ることになってしまいます。 わずかに見えている葉の表には赤紫色の斑点があり、葉の裏にも小さな斑点が少しあります。 和名の「ベニ」はこの斑点の色からでしょう。 なお、この斑点は花にも見られる場合が多いようですが、花の色は黄色系です。

(2022.12.9. 滋賀県 金勝寺

2022-12-10

ナンヨウサンカクゴケ


 滋賀県栗東市にある金勝寺(こんしょうじ)、その境内の樹幹で多くの地衣類に混じって育っていた写真のコケ(2022.12.9.撮影)は・・・

 上の写真の多くは丸い葉のオオシタバケビラゴケでしたが、少しずついろいろなコケが混生しています。 そのうちの一種に、細い小さなコケが写っています。 上の黄色い四角はこのコケが比較的多い所で、下はその枠内の拡大です。

 細長く鎌状に曲がった葉のコケが見えます。 以下の観察結果から、このコケはナンヨウサンカクゴケ Drepanolejeunea ternatensis だと思います。 和名に「ナンヨウ」とありますが、平凡社によると分布は宮城県以南となっています。 なお、以下の太字の部分は、よく似たヒメサンカクゴケとの違いを示しています。

 上は背面から撮っています。 上の写真の場合は、撮る角度の関係で、葉の鎌状の曲がりは、ほとんど分からなくなっています。 背片は披針形で、写真のような大きな鋸歯のある背片も多く見られました。 腹片は背片の約1/2の長さで、卵形です。

 上は腹面から腹葉にピントを合わせています。 腹葉は1/2まで広U字形に2裂し、裂片は1細胞幅です。

 上も腹面から撮っていますが、腹葉は、ピントが合っていないため、ほとんど分かりません。 上の写真では背片が著しく鎌状に曲がっているのがよく分かります。 葉のキールの背面表面はパピラ状になっています。

 上は葉身細胞です。 油体はほとんどありません

 葉の基部には1~2個の眼点細胞があります。

2022-12-09

クヌギとアベマキ

 大阪付近の里山では落ち葉を踏み分けて歩く季節となりました。

 上の写真(2012.12.16.枚岡公園にて撮影)では、クヌギ、アベマキ、ナラガシワなどの落ち葉が写っています。 これらはみんなブナ科の同じ属( Quercus )ですが、特にクヌギとアベマキの葉の形態は、とてもよく似ています。 しかし、両者の葉の裏の色は、かなり違います。
 上の写真で、右下の葉の裏が茶色のものはクヌギの葉で、左上の白っぽい葉の裏はアベマキのものです。 この違いは、生葉よりも落ち葉の方が、よく分かります。

 上はクヌギ(左)とアベマキ(右)の葉を並べて撮ったものです。 どちらも葉の裏です。 側脈がほぼ一直線に鋸歯の先端に達しているのはブナ科の特徴で、鋸歯の形なども両者はよく似ていますが、色の違いは、はっきりしています。
 アベマキの葉の裏が白っぽいのは、じつはアベマキの葉の裏には星状毛がびっしりと生えているからです。 この星状毛は、細く短い毛がびっしりと重なり合って生えていて、いくら目を凝らしても見えないほどの毛ですが、人の指先の感覚は鋭いもので、両方の葉を指で触って比較すると、はっきりと違いが分かります。

 上はアベマキの葉をちぎって、その断面を撮ったもので、上側が葉の裏です。 これくらい(葉の厚さで想像してください)に拡大すると、やっと毛の存在が分かります。

 クヌギとアベマキの幹も比べておきます。 上の写真で、右がアベマキ、左がクヌギです(2012.12.12. 枚岡公園にて撮影)。 アベマキの幹の方が荒々しい印象を受けます。 アベマキではコルク層がよく発達し、樹皮が厚くなるため、樹皮の裂け目が強調されています。

★ 上は Part1の 2012.12.16.からの引っ越し記事です。