上の写真で、上に伸びているのがコジイの雌花序、そして下がコジイの雄花序です。
ところで、植物は光合成によって有機物を作り、その有機物をエネルギー源としてさまざまな生活活動を行いながら生きています。 どんどん有機物を生産すればどんどん生長し子孫も増やす事ができるのですが、生産を増やすには“設備投資”が必要です。 光合成を行う“工場”は細胞ですが、細胞は呼吸します。 つまり細胞はエネルギーを消費します。 もし消費が生産を上回れば生きていけません。
光が十分にあり、光合成という生産活動を盛んに行うことのできる条件でどんどん生長できる木が林を作っても、その林の林床は薄暗く、それらの木の幼木は生活できません。 林床では大きな生産は望まず消費を抑えることのできる植物が、じっくりと生長し、いずれはそのような植物の林になっていきます。
コジイもそのような、生長は遅いが薄暗い所でも生きていくことのできる木です。 堺市の南部丘陵地は長期間人の手が加わらないとコジイの林になるはずの場所です。 そんな場所は、神聖な所としてあまり人手が入らなかった寺や神社の林に小規模に残されています。
コジイの葉は薄暗い所でも光合成で“儲ける”ことができるのですから、コジイの林では葉が幾重にも重なり、林の中はかなり薄暗くなります。
コジイは虫媒花です。 つまり虫に花粉を運んでもらわなければ、子孫は増やせません。 しかし1日中薄暗い林の中で花を咲かせても、虫たちに花をみつけてもらう効率は悪くなるでしょう。 ですからコジイは林のいちばん上( 林冠といいます )に花を咲かせます。
堺市南区鉢ヶ峯寺にある法道寺のコジイ |
コジイはブナ科です。 ブナ科は小さな花を穂状にたくさんつけます。 花の時期のコジイの林を外から見ると、1つひとつの花は目立たなくても、たくさんの花で林全体が白っぽくなり、遠くからでもよく目立ちます。 そして近づくと、甘い強い香りがします。 この色とにおいで、たくさんの虫を引き付けます。
上の写真で、コジイの花の近くを飛び回っているのはベニカミキリでしょうし、赤い丸印の所にもいろんな甲虫がいます。 しかしそれらの虫たちを観察しようとしても、林の高い所です。
林冠には林の中からは伺い知れないすばらしい世界が広がっています。
※ 上は Part1の 2014.5.8.の記事を、一部書き換えたうえで、こちらに引っ越しさせたものです。
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