写真はナシゴケ Leptobryum pyriforme です。 分布は全国、というより世界中に広く分布しています。南極の昭和基地周辺の湖沼の中に、微生物集合体のコケボウズがあるのですが、そのコケボウズを作っている主なコケもナシゴケの仲間ということです。 ところが少なくとも大阪近辺で本種の生育を見聞きするのは、植木鉢の中や植物園の温室など、人の手の入った所ばかりです。 自然界での生育があまりにも少ないので、外来種ではないかと考える人もいます。 上の写真も京都府立植物園の温室内で許可をもらって調べさせていただいた時の写真です(撮影:2020.9.29.)。
茎の長さに比べて蒴柄は長く、上の写真では 21mm、平凡社の図鑑では 15~35mmとなっています。
葉は線形で、長さ 3~5mm、茎の上方ほど長くなります。
上の3枚は、上から葉の先端、中ほど、基部です(倍率は同じではありません)。 中肋は太く、葉の基部で幅の1/2ほどを占め、中ほどから先端にかけては大部分が中肋です。 また、中肋と葉身細胞との境もはっきりしません。
上は葉身細胞(と中肋)です。
上は蒴です。 蒴は成熟するにつれてやや下を向くようになり、洋梨形で(和名はこの蒴の形に由来するのだと思います)、頸部がよく発達しています。 帽は僧帽形で長い嘴があり、蓋は円錐形です。
上は蒴歯で、内蒴歯、外蒴歯とも、よく発達しています。
上は外蒴歯(左)と内蒴歯(右)の先端部分で、どちらも細かいパピラで覆われています。
◎ こちらでは若い株で葉を中心にもう少し詳しく観察しています。 また、植木鉢などでよく見る本種ですが、こちらでは自然の中での姿を載せています。