上は鳥海山山麓の竜ヶ原湿原散策路の展望台(標高 1,180m)で 2022.5.31.に撮った写真で、コンクリート製の構造物の凹みに複数のコケが混じった群落を形成していました。
少し持ち帰って調べたところ、たくさん見えている細長い蒴はネジクチゴケでした。 写真の大きな緑色の蒴ですが、ハリガネゴケ科のもののように見えましたし、ハリガネゴケ科のような葉も写真に写っているのですが、調べてみると下のようなコケで、上の写真の蒴と葉は別物でした。
予想外の細い葉で、思い当たるものが無く、SNSに投稿したところ、ナシゴケではないかと教えていただきました。
ナシゴケ Leptobryum pyriforme はこれまで何度も見ていますが、いずれも鉢植えや温室内など人が関わる所のものばかりで、まさか鳥海山で見るとは思わず、てっきり見たことのないコケだと思い込み、ハリガネゴケ科ではないのではないかと、違う方向に行ってしまいました。
冷静に考えれば、ハリガネゴケ科で線形の葉と言うだけでナシゴケに決まりなのに・・・。
上は葉で、緑色はほとんどなくなっていますが、特徴はきっちり残っています。
上の2枚は葉先と葉の中央付近の様子です。 葉身細胞は線形です。
葉の断面も調べました。 水で十分に戻る前に切片を作成したのでしわくちゃの写真しかなく、載せませんが、こちらの若いナシゴケの葉の断面と同じつくりであることは確認しています。
蒴についても、こちらに載せていますし、今回は未熟な蒴ですので、載せません。
今回の観察で、仮根にたくさんのパピラがあることは、新たな発見でした(下の写真)。
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