2024-10-09

ホソムジナゴケ


 一見スナゴケやシモフリゴケなどの仲間にもみえる岩上にあった写真のコケ、どうしても名前が分からず、A先生に見てもらったところ、ホソムジナゴケ Trachypus humilis のようです。 ただし、特に葉の細胞の様子などは、図鑑に記載されているものとはかなり異なります。 この仲間は非常に形態的変異に富むようです。

 這う一次茎から二次茎が立ち上がります。二次茎はやや密に羽状に分枝し、葉を密につけています。

 上は茎葉です。 葉はねじれて壊れやすく、光沢が無く、長さは約1.5㎜でした。

 上は葉先です。 葉の鋭尖部はしばしば透明になっていました。 葉の上部の細胞は楕円形で、多くのパピラが細胞腔上にあります。

 上は茎葉のほぼ中央部の葉身細胞です。 細長い細胞の腔上に先端が星状に分かれたパピラが1列に並んでいます。 多くのホソムジナゴケでは、たくさんの先の分かれないパピラが細胞壁沿いに並びますので、ずいぶんと様子が違います。

 上は葉の横断面(一部)です。 あまり良い切片とは言えませんが、1層の細胞の背面にも腹面にも先の割れたパピラがあることが分かります。

 上は葉の基部です。 多く見られるホソムジナゴケでは葉の基部の細胞は透明になる傾向があるのですが、上の写真では先の分かれないパピラが細胞壁上についています。

(滋賀県大津市)

◎ ホソムジナゴケと思われるコケは、こちらこちらにも載せています。

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