農道の傍らで撮った上の写真、いろいろなコケが混じっていますが、橙色の蒴が見え隠れしているのはキシュウツボゴケ Weissia kiiensis でしょう。 蒴は雌苞葉に覆われていますが、よく見ると、若い蒴には僧帽形の小さな帽がついています。
本種の種名は平凡社には載っていませんが、これまでツチノウエノタマゴケとされていたコケです(*1)。
乾いた状態では巻いている葉は、湿らせるとすぐに上のように開きます。
枝分かれする茎もあり、蒴はその茎に頂生します。 雌苞葉は葉よりずっと長くなっています。
雌苞葉や上部の葉を取り去りました(上の写真)。 蒴は球形で、壺と蓋の分化は見られず、径は上の写真で約 0.6㎜、頂には嘴状の突起があります。 蒴柄は短く、約 0.2㎜です。
上は蒴の頂の嘴状の突起です。
上は葉です。 基部は透明な細胞で構成されています。 中肋は葉先から突出しています。 下は上の葉の葉先です。
上部の葉縁は内側に巻いています(上の写真)。
葉身細胞は方形~六角形で、各細胞には数個のパピラがあります。 葉縁の細胞は矩形です(上の写真)。
上は雌苞葉です。 かなりの長さで葉縁が内側に折れています。
胞子の表面は小さなパピラに覆われています(上の写真)。
(2024.12.17. 兵庫県三田市)
*1 井上侑哉,坪田博美:日本産ツチノウエノタマゴケWeissia longifolia Mitt.の実体. 日本植物分類学会大会研究発表要旨集. 2016年03月.
【参考にした文献】
YUYA INOUE & HIROMI TSUBOTA (2017): A taxonomic revision of cleistocarpous species of Weissia (Pottiaceae, Bryophyta)in Japan. Phytotaxa 306 (1)
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