上の写真は農道脇のコケ群落で、細長い若い胞子体をつけているのはツチノウエノコゴケ、写真右下の赤っぽい蒴が見え隠れしているのはトジクチゴケだと思いますが、それらより小形で緑が濃いコケはミヤコノツチゴケ Archidium ohioense だと思います。 以下はこのミヤコノツチゴケについての観察記録です。
1枚目の写真では一見蒴をつけていないようにみえますが、たくさん蒴をつけていました。 ただし胞子体は群落の表面には出てこず、群落の中ほどに位置する短枝の先で苞葉の中にうずもれています。 上の写真の場合は黄色の矢印の膨らみの中に胞子体がありました。
上は胞子体のある所を取り出したもので、茎の長さは3㎜ほどしかありませんが、多くは茎の長さが6~7㎜で、分枝していることも多くありました。
上は苞葉を取り除いた蒴です。 蒴柄はほとんどありません。 蒴は球状で径 0.3~0.5㎜、蓋も蒴歯も分化せず、蒴壁は1層の細胞からなり薄く、中の胞子が透けて見えます。 胞子は大形で、径は130~170μmもあります。 ちなみに、この胞子の大きさは、蘚類の中で最も大きいようです。
葉は長さ 0.5~0.9㎜、中肋は葉先に達し、ほぼ全縁です(上の写真)。
上は葉身細胞です。 左中央から右上に走っているのは中肋です。
(2024.12.17. 兵庫県三田市)
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