2020-05-11

ヒメアカヤスデゴケの栄養生殖


 上はヒメアカヤスデゴケ Frullania parvistipula でしょう。 葉の無い茎が目立ちます。


 育っていたのは上の写真の石垣です。 上の写真には、葉状地衣の他に、2種類の苔類が写っています。 上方の黒みを帯びた緑褐色のものはがカラヤスデゴケで、下方の赤褐色のコケが本種です。
 平凡社の図鑑では本種の着生場所は「低地の樹幹」となっていますが、多くの情報を詰め込まなければならない図鑑の記載では、多くの場合「多くは」が省かれていると見るべきでしょう。


 多くの気泡が入ってしまいましたが、上は顕微鏡で見た本種です。 葉(背片と腹片)にピントを合わせていますので、腹葉はボケてはっきりしません。
 本種は背片も腹片も大きさの変異が比較的大きいのですが、上の写真の場合は、腹片が大きいと言うべきなのか、背片が小さいと言うべきなのか、腹片の幅と背片の長さにはあまり差がありません。


 上は葉(背片と腹片)が無くなって、腹葉だけが残っている茎です。 こちらにも書きましたが、本種の特徴の1つに葉が脱落し易いことが挙げられます。
 この脱落した葉は・・・



 脱落した葉からは新しい植物体が誕生します。 上の2枚の写真では、背片の一部の細胞が細胞分裂を繰り返し、新しい植物体ができつつあります。
 このような、無性芽からではなく、植物体の一部から新しい植物体が生じる無性生殖を「栄養生殖」と呼んでいます。
 本種の背片から新しい植物体が生じることはこちらにも載せていますが・・・



 上の2枚では、腹片から新しい植物体が作られつつあります。

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