2019-06-16
オニヒツジゴケ?
土の斜面に、上の写真のような光沢のある大型のコケがありました。 ちなみに、上の写真の下方に写っているのはマルバハネゴケです。
茎は長く這っています。
上は枝葉で、先が長く尖り、中肋は1本で、葉の中部以上に達しています。 上の写真では葉の基部と葉先が褐色がかっていますが、これは葉が大きいために顕微鏡の中心部と周辺部で光源の色が違っているためで、ほんとうは葉の中央部と同じ色です。
翼細胞はあまり分化していません。 以上のことから、アオギヌゴケ科のコケのようです。
上は葉の背面から見た中肋の先端部で、先端は1個の歯で終わっています。
上は茎の断面です。 下は同じ場所を、細胞壁を明瞭にするために偏光で撮ったものです。
茎には中心束があります。 また、3枚目の写真には、葉縁の細かい歯が写っており、4枚目の写真からは、葉基部はほとんど下延していないことが分かります。 以上の観察から、このコケはツルハシゴケ属( Eurhynchium )のように思います。
以下、平凡社の図鑑のこの属の検索表で種の同定にチャレンジですが、平凡社の図鑑のツルハシゴケ属の解説には、「変異が大きく同定はむずかしい。」と書かれています。
枝葉は丸くついて扁平にはなっていません。
植物体は大きく、茎葉は2mm前後の長さです。 また、3枚目の写真のように、枝葉は披針形~卵状披針形で、先は鋭頭~細く長く尖っています。
以上の特徴から、このコケは、オニヒツジゴケ E. eustegium または キノクニツルハシゴケ E. squarrifolium のようです。 平凡社の検索表によれば、前者は枝葉が茎葉より大きく、後者は枝葉が茎葉より小さいとなっています。
枝葉の大きさはいろいろですが、茎葉より大きな枝葉があります。
上は葉の中央付近の葉身細胞です。 長さはキノクニツルハシゴケに近いのですが、幅からするとオニヒツジゴケのようです。
以上の観察結果からはどちらか迷うところですが、キノクニツルハシゴケの可能性の高いコケをこちらに載せていて、それとは形態的にいろいろ異なる点がありますので、オニヒツジゴケではないかと思いますが、ツルハシゴケ属である確信も無いので、とりあえず「?」付きのタイトルにしておきます。
(2019.6.12. 神戸市北区 道場)
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