2020-01-25

コバノヒダゴケ(帽や雄花序を中心に)



 写真はコバノヒダゴケ Ptychomitrium wilsonii でしょう。 胞子の飛散が始まった時期のようで、外れかけの帽のついた蒴や、蒴歯が見えている蒴もあります。 ところが、蓋の見えている蒴がありません。
 2枚目の写真の中央右の蒴は、帽が外れかけていて、帽の切れ目からは蒴歯が見えています。 蓋はどこに?


 じつは蓋は帽の内側にくっついていて、ほとんどの場合、帽と一緒に外れてしまうようです。 上の写真は、左は帽の中から取り出した蓋で、右は蓋をくっつけたままの帽です(帽の裂け目から蓋が少し見えています)。 左端の小粒は花粉です。
 蓋にこんなに長い嘴があるのも、本種の特徴の1つです。


 上は濡らして葉を開かせ、手前の葉を取り除いて撮った写真です。 蒴柄の基部近くに赤褐色のものがたくさん見られます。 下はこの部分を拡大したものです。


 Ptychomitrium(チヂレゴケ属)は雌雄同株(異苞)で、雄花序は胞子体の基部近くから生じた小さな枝の先につきます。 赤褐色のものは雄花序だろうと見当をつけ、確認のためにその一つを取って、顕微鏡で観察したのが下の写真です。


 たくさんの葉に囲まれて、その中に何かありそうなのですが、よく分かりません。 そこで、手前の葉を何枚か取り除いて撮ったのが下の写真です。


 上の写真では、精子を出し終えて枯れたようになっている造精器がたくさん見えています。

 コバノヒダゴケは前にこちらに載せましたので、葉の様子などは省いたのですが、確認のため、再度蒴歯のようすを下に載せておきます。


 蒴歯は3~4裂していて、表面は細かいパピラに覆われています。 あちこちにある球形のものは胞子です。

上は胞子です。

(2019.12.28. 岡山県井原市)

◎ コバノヒダゴケの葉や蒴歯の様子などはこちらに載せています。

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