鳥海山5合目鉾立近く(標高約1,200m)の岩上で育っていた写真のコケ(撮影:2022.6.1.)、平凡社の検索表に従えば、チャボミゾゴケ Marsupella aquatica またはタカネミゾゴケ Marsupella emarginata ssp. tubulosa になると思います。 前者は平凡社には検索表にしかありませんが、湯澤陽一「福島県苔類誌」の図を見ても、やはり迷います。 分布は、前者はおもに亜高山帯以上、後者は低地~高山帯ですが、撮影地は上限に近いブナ帯です。
 タカネミゾゴケ(以下「タカネ」とします)は比較的普通に見られる種で、このブログでもこちらやこちらに載せていますが、それより少し違うような気もしますので、とりあえず「?」付きでチャボミゾゴケ(以下「チャボ」とします)としておきます。
 葉はわずかに離在するか重なっています。 茎の幅は葉を含めて約 0.7mmです。
 葉は茎の横につき、基部から開出して樋状に折り畳まれています。 チャボのキールは直線状、タカネのキールは不明瞭で弓形ですが・・・。
 上は折り畳まれていた葉を開いて撮っています。 チャボでは葉の約5/6長のキールがあり、タカネでは1/5~1/3まで2裂します。
 上の写真のように葉縁の一部が外曲している葉があちこちに見られました。
 上は葉身細胞です。 チャボでは細胞壁は全体的に厚くてトリゴンははっきりせず、タカネでは大きなトリゴンがあります。
 胞子を飛ばす時期は既に済んでいるようで、1枚目の写真でも、口が開いたようになっている雌苞葉があちこちに写っていますが・・・
 持ち帰った標本の中に1本だけ胞子体がありました(上の写真)。
 胞子体のついている茎頂を縦断し、上は外側から、下は内側(縦断面)から撮っています。
 ペリギニウムは発達しています。
 ビニール製の採集袋から取り出すと、蒴はまもなく開裂しました。 上が開裂した蒴です。
 
 上は蒴壁です。
 上は胞子と弾糸です。












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