2022-06-02

ヤセウツボ

 下は 2014.5.13.に木津川堤で撮影し、Part1の 2014.5.22.に載せていたものを、少し加筆し、こちらに引っ越しさせた記事です。

 ヤセウツボ Orobanche minor はハマウツボ科に分類されている南ヨーロッパ原産の外来種で、日本で初めて確認されたのは1937年に千葉県においてですが、現在は本州と四国の全域に分布しています。

 自らは葉緑素をもたない1年生の寄生植物で、マメ科、キク科やセリ科などの植物、特にシロツメクサなどに寄生するとのことですが、写真の場所ではアカツメクサに寄生していました。
 牧草や農作物に寄生した場合は、それらの生長を阻害させてしまうとして、外来生物法により、要注意外来生物に指定されています。

 拡大して見ると、全体に短い腺毛で覆われています。

 花は無柄で苞葉の腋につきます。 ガクは左右に2裂し、左右の裂片はさらに深く2裂しています。 花冠は上唇と下唇に分かれ、下唇は3裂しています。
 メシベの柱頭は大きく、オシベ4本はその奥にあり、外からは見えません。 このあたりは同じハマウツボ科のナンバンギセルなどとよく似ています。
 なお、花の色の濃淡には個体差があるようです。

 ヤセウツボの名前は、日本在来で砂浜などに見られるハマウツボの仲間で、それより細いからでしょう。 なお、名前の「ウツボ」とは矢を入れる筒状の容器の靭のことで、柄の無い筒状の花の形からでしょう。 海に棲む魚のウツボとは何の関係もありません。 ちなみに、魚のウツボは穴に棲むところから「空洞(うつぼら)」が訛ったものとされています。

(上とはほとんど関係の無い「靭」の話)
 大阪市西区に「靭(うつぼ)公園」という細長~い都市公園があります。 太平洋戦争後の進駐軍の飛行場跡を公園にしたものですが、この場所の地名は靭本町となります。 この地名の由来は以下のように言われています。
 その昔太閤さん(豊臣秀吉)の時代、このあたりは魚市で賑わっていました。 魚市のあちこちから「安(い)で~ 買(こ)うてや~」(大阪弁です)の声。 検分に来ていた太閤さん、活気あふれる様子に満足し、調子に乗って洒落を一発、「やす(い)とは靭(うつぼ)のことか。」
 矢を入れておく靭は「矢巣(やす)」とも言っていましたので、「安い」と「矢巣」=「靭」との掛詞でした。
 町民はそれを知り、太閤さんからいただくのは何でも名誉なことと、太閤さんより「靭(ウツボ)」の地名をいただいたとのことです。
 繁栄をもたらせてくれたと大阪の町民には慕われていた太閤さんの話( 脚色:そよかぜ )でした。

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