写真はヒラウロコゴケ Nardia compressa だと思います。 たくさん絡み合って塊状になっていたのですが、それをほぐして撮影しています。
育っていたのは秋田県の鳥海山の麓にある獅子ヶ鼻湿原で、上の写真のような流れのきつい酸性の水中でした(撮影:2022.5.30.)。 この場所ではたくさん育っているようですが、2010年環境省の改訂レッドリストでは、ここと福島県の吾妻山の2カ所からしか知られていないことから、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。 なお、世界的には北半球の冷温帯に不連続に分布するようです。
平凡社の図鑑(検索表)では、「葉は横につき、左右に圧接する。」とあります。 上の写真のような状態をさしているのでしょうが、このような状態はよく成長している茎の先にみられるだけで、最初の写真のように多くの葉は開いていました。 もう少し流れが緩やかで水面近くの十分な光合成ができる場所では上の写真のような状態が多くみられるのかもしれません。
上は乾いて葉は縮れ、長さもよく分かりませんが、よく生長した葉では幅が2mmほどになり(下の写真)、茎の長さは数cmになります。
上の2枚は葉で、全円です。
上の3枚は葉の細胞で、上から葉縁付近、葉の中央部、葉の基部です。
上は腹葉です。 腹葉は小さく目立ちません。
仮根は茎の腹面に散生します(上の写真)。
同定にあたっては道盛氏より資料をいただきました。 ありがとうございました。
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