林の木陰に、タニギキョウ Peracarpa carnosa var. circaeoides がコケに混じるようにしてひっそりと咲いていました( 2023.5.3. 奈良県宇陀市にて撮影)。 木陰に生えているくせに(?)、一定以上の明るさが一定時間以上維持できないと花が開かない不思議な植物です。
互生する円い葉には鋸歯があり、花は長く伸びた花茎の先に1つ咲きます。 大きさや色からハコベの仲間のようにも見えますが、切り口から白い乳液を出すことを確認すれば、間違うことはありません。
上の写真では柱頭は既に開いていますが、この状態に至る過程を観察すると、キキョウ科らしい特徴がよく分かります。
オシベ5本は、合着はしないものの、互いに接して花柱を取り囲んでいます。 葯は内向きに2裂して花粉を出します。 若い頃の柱頭は内向きに閉じていて、そのすぐ下は少し膨れ、毛が密生しています。 このメシベが花粉を押し上げるように伸びてきて、柱頭下の毛の生えた膨らみは花粉だらけになり(雄性期)、訪花昆虫に花粉を渡します。 その後、柱頭が開いて上の写真のような状態になり、受粉できるようになります(雌性期)。
花弁5枚は基部でくっついていますが、上の写真は手前の2枚の花弁を取り去り、オシベの基部が見えるようにしています。 オシベの基部は子房の上部を保護するように少し広くなって取り囲み、たくさんの毛が生えています。 訪花昆虫はこの毛の隙間から口吻を差し込み、吸蜜することになります。
0 件のコメント:
コメントを投稿