いただいたケビラゴケ属の標本の4種目はタカサゴケビラゴケ Radula formosa です。 琉球列島に分布しています。
腹面から見ると、たくさんの尾状枝をつけています。 同じケビラゴケ属でチャケビラゴケも尾状枝をつけますが、本種の腹片は茎や尾状枝の基部を覆っていませんので、印象はかなり異なります。
写真はトゲケビラゴケ Radula anceps、いただいたケビラゴケ属の標本の3種目です。 八重山列島に分布しています。
背片は広卵形で、葉先は内曲している葉が多くて少し分かりにくいのですが鋭尖で、鋸歯があります。 このようなケビラゴケは他にはありません。
上は葉身細胞です。
上はマガリシタバケビラゴケ Radula retroflexa、分けていただいたケビラゴケ属の標本の2種目です。 分布は八重山列島と小笠原です。
本種の背片は接在しています。 分かりにくいので、上はできるだけ背片が離れている所を撮っています。 背片は円頭で全縁、キールは直線状で、背片はキールを過ぎた所で大きく鎌状に曲がっています。 腹片は菱形です。
葉身細胞はトリゴンが無く、細胞壁にくびれがあります(上の写真)。 油体が各細胞に3~5個あるのも特徴ですが、残念ながら油体はほとんど崩れています。 なお、上の写真は色を補正してあります。
上は茎の断面です。
ケビラゴケ属の標本を分けていただく機会があり、しばらく(今の予定では5回)その標本を観察した結果を載せる予定です。 標本ですので、生きた状態の色ではありませんし、油体は消えています。
今回はオビケビラゴケ Radula campanigera ssp. obiensis です。 絶滅危惧Ⅱ類に指定されているコケで、宮崎県と鹿児島県に分布しています。 和名も宮崎県日南市の飫肥(おび)に由来しているのだと思います。
Radula(ケビラゴケ属)としては、やや大形です。 背片は円頭、腹片は丸みを帯びており、茎をほとんど覆いません。
茎の断面で、皮層の細胞は厚壁です(上の写真)。