2026-10-05

ハナガガシ

 上は堺植物同好会の観察会で見たハナガガシ Quercus hondae です(2026年9月27日 泉北ニュータウンの栂・美木多地区で撮影)。
 ハナガガシは、四国南西部(高知・愛媛県)と九州中南部(大分・熊本・宮崎・鹿児島県)にのみ分布する、非常に珍しいブナ科の高木です。 分布する県でも絶滅危惧種扱いされており、環境省のレッドリスト(第5次、2025 年)では「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されています。 ネット検索によると、関西地方でも泉北ニュータウン以外では、京都府立植物園と和歌山県植物公園緑花センターに植栽されているものだけのようです。
 撮影場所のハナガガシも、たぶん近くにたくさん植栽されているシラカシに混じって、シラカシの苗木として気づかずに植えられたもののように考えられます。 公園創設時期から考えて、この地のハナガガシは植栽後約40年経っていると思われ、3本のハナガガシは胸高直径が10cmを超えるまでに成長しています。 ハナガガシは周辺に全部で73個体あるのですが、上記の3本以外は、この3本から落ちたどんぐりから成長した個体と考えられます(木村ら 2025)。

 葉はツクバネガシのように枝先に集まってつく傾向にあります(上の写真)。

 上でシラカシの苗木として植えられたのではないかと書きましたが、たしかにシラカシと似ていますので、2種を並べてみました。 上は葉の表から、下は葉の裏から撮った写真で、いずれも左がシラカシで、右がハナガガシです。

 本種の和名を漢字で書くと「葉長樫」となり、いわゆるどんぐりができるブナ科の仲間では最も葉が長くなるのですが、上の写真のシラカシの葉もかなり細長いですね。 平均するとシラカシよりも大きな葉です。 本種の葉表は濃緑色、葉裏は淡緑色ですが、白っぽいシラカシの葉裏と比較すると、それよりは濃い緑です。
 葉の基部は、シラカシよりなめらかに葉柄に繋がっています。 また、主脈が葉の裏表に凸出しています。

 上は本種の冬芽です。 細くとても長い冬芽も本種の特徴の1つで、9月下旬では上の写真のような状態ですが、これからもっと長く大きく成長するはずです。

【参考文献】
木村進・今井周治・出原茂樹・長尾祐司(2025).西原公園(堺市南区)のハナガガシ―毎木調査報告-.堺植物同好会会報「堺植物」第65号,pp.12-15.