2020-01-06

キブリハネゴケ


 石灰岩の岸壁に育つキブリハネゴケ Pinnatella makinoi、環境省絶滅危惧Ⅰ類に指定されていて、蒴は未だ知られていません。
 なお、ハネゴケ科は苔類ですが、本種はヒラゴケ科に分類されている蘚類です。


 二次茎は石灰岩上を這う一次茎から立ち上がり、中部以上で1~2回やや羽状に密に分枝します。


 上は乾いた状態ですが、葉は展開したままです。 枝は横に出ますが、葉は丸くついています。 葉は光沢が無く、かたい感じがして、長さは二次茎の中部の葉で2mmほどです。


 上は二次茎の葉で、卵形の下部から披針形に漸尖しています。


 葉先付近の縁には小さな歯があります。 葉先は鋭頭で、中肋は葉先近くに達しています。


 葉身細胞は不規則な六角形~卵形です(上の写真)。


 翼部には方形~矩形の小さな細胞があります。

(2019.12.27. 岡山県西部の石灰岩地帯)

2020-01-05

チヂミクチヒゲゴケ


 石灰岩の岸壁に生えていたクチヒゲ属のチヂミクチヒゲゴケ Trichostomum crispulum です。 上の写真は乾いた状態で、葉は巻縮し、茎にゆるく圧着しています。
 ちなみに、学名の属名は Tricho(髪の毛)+stomum(stoma:口)ですから、やはり「口髭(くちひげ)」です。 この口髭の口は蒴口を、髭は蒴歯を意味しているのだと思っているのですが、残念ながら蒴はついておらず、確かめることはできませんでした。


 上は湿った状態です。 茎は分枝が少なく黒色、葉の長さは2~3mmです。


 上は葉とその先端付近の拡大です。 葉は披針形で鋭頭、縁は全縁、中肋は短く突出しています。


 上は葉先から1/3ほどの所を背面から撮っています。 葉縁は狭く内曲していて、その部分が色濃く見えています。 じつは、外曲ではなく内曲であることや、中肋内部のつくりを見るため、葉の横断面をつくろうとしたのですが、横方向の細胞間の接続が弱いのか、中肋の所で切断されてしまい、葉の横断面をつくることはできませんでした。


 パピラが発達していて各細胞を見分けるのも難しいのですが、上中部の葉身細胞は方形で、幅は5μmほどのようです(上の写真)。 なお、基部の葉身細胞は矩形で、パピラは無く透明です。

(2019.12.27. 岡山県西部の石灰岩地帯)

2020-01-04

ヒダゴケ


 上の写真中央はヒダゴケ Ptychomitrium fauriei で、岩にくっついています。 配偶体は暗緑色で、傍にあるシノブゴケの一種(ヒメシノブゴケ?)と比較しても、かなり暗い色をしています。


 帽は蒴の基部まで覆っています。 蒴柄は帯赤色です。


 葉の長さは3mmほど、蒴柄は1cm以上あります。


 葉は線状披針形で、上部は強く折れ畳まれています。


 上は葉先で、中肋は葉頂近くに達しています。 葉縁は基本的には全縁ですが・・・


 茎の上部の葉では、ときに上の写真のような鈍い微鋸歯が見られることもあります。


 葉の中央部の葉身細胞は丸みのある方形で、径は約7μmです。

(2019.12.28. 岡山県井原市美星町)

◎ ヒダゴケと思われるコケをこちらにも載せています。

2020-01-03

ランヨウハリガネゴケ



 渓流の水面近くの岸壁に育っていたランヨウハリガネゴケ Bryum cyclophyllum です。 和名を漢字で表すと「卵葉針金蘚」でしょう。 また学名も、属名はラテン語の「コケ」ですし、種小名は「円い葉」ですから、「円い葉のコケ」ということになります。


 葉は卵形~卵円形で中央が凹み、長さは 1.5~2cm。 仮根は茎の下部にのみ見られます。



 中肋は葉先のやや下で終わっています。 葉縁には線形の細胞でできた不明瞭な舷があります。


 上は葉先付近です。


 上は葉身細胞で、細胞の長さは 45~60μmほどです。

(2019.12.28. 岡山県井原市)

2020-01-02

シバゴケ(ホゴケ)



 写真はシバゴケ(別名ホゴケ) Racopilum aristatum です。 渓流の岩上にあったのですが、特徴のよく分かる写真がうまく撮れなかったので、生育状況を示す写真はありません。 暖かい所のコケで、日本での分布は中部地方以西となっています。
 上の写真は背面を、つまり這っているコケを上から撮っています。 葉のつき方に特徴があり、茎の左右に側葉をつけ、背面(腹面ではありません)に背葉をつけています。 背葉は側葉よりはるかに小形です。


 側葉は乾くと著しく上方に巻きます(上の写真)。


 上は側葉です。 本種の茎の下面は先端近くまで仮根で覆われていて、側葉を茎から分離する時も、たくさんの仮根がくっついてきてしまいました。
 側葉は楕円形または卵形で、中肋は葉先から葉身の1/5ほどの長さに芒状に伸び出しています。


 葉身細胞は丸みのある六角形で、長さは 12~15μmです。


 上は背葉です。 側葉と比較できるように倍率を揃えてあります。 背葉は狭三角形で、中肋は長く突出しています。

(2019.12.28. 岡山県井原市)

◎ シバゴケ(ホゴケ)の蒴の様子をこちらに載せています。