2023-02-05

ハリヒノキゴケ

 

 写真はハリヒノキゴケ Pyrrhobryum spiniforme でしょう。 樹幹で育っていました。 上の写真からは、葉の細いヒノキゴケのような印象も受けますが、背景の葉からも分かるように・・・

 大きさはヒノキゴケなどと異なり、茎の長さは5cmに達しません。 胞子体は茎の基部についています。

 葉は線状披針形~線形です。 上の写真の葉は長さ 3.4mm、平凡社では3~6mmとなっています。

 葉の上部の中肋背面には歯があります(上の写真の赤い円)。

 葉縁には対になった鋭歯が並んでいます(上の写真)。

 上は葉身細胞です。

 雌苞葉はこの仲間を見分けるのに便利です。 本種の雌苞葉は小形ですが、どれくらい小さいのか、葉と並べてみたのが上の写真です。

 上が雌苞葉です。 いちばん内側の雌苞葉ではありませんので少し大きいのですが、それでも 1.5~2mmです。
 本種の雌苞葉は卵形の基部から急に細く尖っています。 なお、本種の変種とされているリュウキュウハリヒノキゴケの雌苞葉は全体が披針形で、大部分は鞘部からなっています。

 上は蒴です。 帽は僧帽形で蓋には長い嘴があり、蒴糸は2列です。

(2023.1.16.)

2023-02-04

マキハハリゴケ

 写真はマキハハリゴケ Claopodium assurgens でしょう。 樹幹を覆っていました。

 茎は這い、多くの枝が斜上し、密に葉をつけます。 上は乾いた状態で、葉は捲縮しています。

 茎葉と枝葉とは形が違っています。 茎葉は葉先が細く伸び、枝葉は広披針形です。 写真は載せていませんが、葉を取り去った後を観察しても、茎にも枝にも毛葉は確認できませんでした。

 上は茎葉で、三角形の下部から急に細く伸びて針状に尖っています。 長さは 1.2~1.5mmです。

 上は茎葉の葉先です。 中肋が長く突出しています。

 葉身細胞は長さ 8~15μmと小さく、厚壁で、中央に1個のパピラがあります(上の写真)。

 上は枝葉です(拡大率は茎葉と異なっています)。 葉縁は反曲しています。

 少し離れた斜めになった樹幹にもマキハハリゴケがあり、蒴をつけていました(上の写真)。

 蒴柄には多くのパピラがあります(上の写真)。

(2023.1.16.)

◎ マキハハリゴケの分布は本州~琉球とされています。 こちらには岡山県で見た本種を載せています。

2023-02-03

ジャバシラガゴケ


 写真はジャバシラガゴケ Leucobryum javense でしょう。 腐葉土の上や樹幹の下部にも広がっていました。
 本種は日本産のシラガゴケ属の中で最大の種で、葉の長さはオオシラガゴケよりずっと長いのですが、オオシラガゴケのように這うことは少なく、植物体の長さはオオシラガゴケより短い印象を受けました。

 上の葉の長さは14mmほどですが、18mmに達するようです。 オオシラガゴケの葉の長さは10mm以下です。

 葉先は急に尖っています。 また、葉先の背面の細胞上端がパピラ状に突出しています。(上の写真)

 上は葉の基部の横断面です。 中央に1層の葉緑細胞があり、その背面側と腹面側に透明細胞があります。 この透明細胞は中央部では背面と腹面に各1層、計2層ですが、最も断面の厚い部分では、背面と腹面に各3層、計6層になっています。
 下は上の一部の拡大で、赤い楕円で囲った所の透明細胞は6層になっています。

(2023.1.17.)


2023-02-02

オビナシヨウジョウゴケ?

 枯れたキジノオゴケの上で育っていた上の写真の2種類の苔類、大きい葉の方は調べていませんが(カマハコミミゴケ?)、小さな葉の方は、平凡社の検索表をたどると、ぴったりとあてはまる種は無いのですが、十分生長していない株のオビナシヨウジョウゴケ Cololejeunea pseudofloccosa ではないかと思います。 平凡社に図は載せられていませんが、水谷(1961)の図とも大きな違いは無いように思います。

 背片は卵形です。 上の写真の植物体の幅は 0.3mmほどで、平凡社の本種の幅は 0.4mm以上となっています。
 腹片も上の写真では背片の約1/2の長さですが、平凡社の本種の腹片は背片の約1/3長となっています。

 上は腹面から茎の表面にピントを合わせています。 仮根が出ていますが腹葉は無く、ヒメクサリゴケ属( Cololejeunea )であることには間違いないでしょう。


 腹片の第1歯は2細胞長で、先端の細胞は尖っています(金槌形ではありません)。 第2歯は1細胞で、上の2枚の写真では第2歯に寄り添っているように見えますが・・・

 上の写真では第1歯と第2歯は交差しています。 このような場合、片方の歯にピントを合わせると、他方の歯はほとんど見えなくなるほどボケますので、上の写真は深度合成しています。

 上は背片の背面を撮っています。 背片の背縁は規則的な弱い鋸歯状です。 眼点細胞は無く、1細胞のビッタがあります。 各細胞には1個のパピラがありますが・・・

 横から見ると、短い円柱形で、先が丸いパピラです(上の写真)。

 腹片の腹面にはパピラはありません(上の写真)。

(2023.1.16.)

【参考文献】
水谷正美:日本産クサリゴケ科の再検討.服部植物研究所報告第24号,1961.

2023-02-01

雄花序をつけたキジノオゴケ

 昨日キジノオゴケを載せましたが、そこから少し離れた所にも上のようなキジノオゴケがありました。 雨でぬれて分かりにくいのですが、周囲はホゴケで、岩から垂れ下がっていました。

 二次茎の長さは約5cmで、平凡社の記載に近く、茎の先まで緑色を保っています。 昨日載せたもの(こちら)との違いは、育ち方なのでしょうね。
 上の写真で、二次茎の中央部に丸いものがついています。 下はその部分の拡大です。


 本種の二次茎はほとんど枝分かれしませんから、芽とは考えられず、花序でしょう。 鱗片状の葉を取り除いて中を見ることにしました。

 鱗片状の葉に守られた中にあったのは造精器でした。 生物顕微鏡で観察するには厚すぎるので、半分以上の造精器を取り外して観察したのが下の写真です。

 本種は雌雄異株ですから、写真のものは雄株だったことになります。 いずれにしても茎の中部に花序が集中してつくのは興味ある形態だと思いました。
 なお、雌株の蒴は稀とされていますが、平凡社の図鑑のカラー図版には、蒴をつけた本種の写真が載せられています。 この蒴も、やはり茎の中部に集中してついています。

(2023.1.16.)