2021-03-23

サメジマタスキ

 

 枝にくっつき垂れ下がっている上の写真のコケ、少し疑問が残りますが、サメジマタスキ Pseudobarbella attenuata だと思います。 二次茎は不規則に分枝し、葉は扁平についています。

 枝葉の長さは 2.5mm前後です。

 葉は茎や枝の先まで扁平についています。

 枝葉は長卵形で細く糸状に漸尖し、葉縁上部は明瞭に波打っています(上の写真)。 中肋は細く、葉の中部を少し超えたあたりで終わっています。

 上は翼部です。

 上は葉身細胞と葉縁の様子を撮った写真です。 葉身細胞には1~2個のパビラが、多くは細胞の中央ですが、一部は細胞壁上に見られます。 平凡社の検索表ではパピラが1個か2~6個かに分かれるのですが、上の写真では2個の場合もパピラが近接していますので、1個と見ました。 細胞壁にくびれは無さそうです。 葉縁はパピラと見誤るほどの小さな歯があります。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)

2021-03-22

シゲリケビラゴケ(雌株)

 

 上は樹幹のコケ群落を撮った写真で、いろんなコケが混生していますが、一番多く写っているのはシゲリケビラゴケ Radula javanica の雌株でしょう。

 本種は背片が落ちて腹片だけが残り易いのも特徴の1つですが、上の写真の中央下もそのような状態です。 写真右上には花被が写っています。

 背片は鎌状に曲がっています。 花被は雌包葉を伴って茎に頂生し、雌包葉の付け根から新枝を出しています。

 上は葉身細胞です。 小さなトリゴンがあります。

 上は茎の断面です。 平凡社の図鑑の背片が円頭のケビラゴケ属の検索は茎の断面から始まります。 本種の皮層細胞の細胞壁は髄層の細胞の細胞壁と違いがありません(=薄壁です)。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)

◎ 本種の雄株はこちらに載せています。

2021-03-21

ハシボソゴケ

 

 写真はハシボソゴケ Papillidiopsis macrosticta だと思います。 樹幹についていました。 分布は平凡社では和歌山県以南になっています。

 上は乾いた状態です。 上の写真の左端に少し茎が写っていますが、基物上を這う茎から枝を密に出します。 葉は枝に丸くついています。 枝は葉を含めて幅 1.5~2mm、枝葉の長さは 1.5mm前後です。 若い胞子体が枝の途中から出ています。

 上は枝葉です。 特に上半は深く凹んでいます。

 上は枝葉の上部で、内曲し、僧帽状になっています。 葉の腹面にも背面にもパピラがあります。

 上は葉の基部です。 中肋は短く、翼部の細胞は大きく細長く、厚壁です。

 上は葉身細胞です。 細胞の長さは 40~50μmで、中央に1個のパピラがあります。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)

2021-03-20

アオシマヤスデゴケ

 

 写真はアオシマヤスデゴケ Frullania aoshimensis でしょう。 眼点細胞がつながって見えています。 いろんなコケガ絡み合っている中にありました。
 上は新しく伸びた部分で緑色が出ていますが、赤褐色で、肉眼ではサイズ的にもよく見るカラヤスデゴケとほとんど変わりません。 分布は平凡社では千葉県以南となっています。

 上は腹面から腹片にピントを合わせて撮っています。 腹片は長さが幅の2倍ほどの円筒形で、茎とほぼ平行についています。

 腹葉は細長く、茎径の 1.5~2倍幅で、1/3~1/2まで2裂しています(上の写真)。


 上の2枚は背面から撮っています(2枚目は緑藻が混じっています)。 背片にある眼点細胞は、多くの場合、8個以上が1~2列に並んでいます。

 腹片が円筒形で眼点細胞が1列に並ぶヤスデゴケの仲間は数種ありますが、よく見られるシダレヤスデゴケは背片の先が尖っていますし、ホソヤスデゴケは列に並ぶ眼点細胞の数が6個以下で、腹片が茎の方向に傾きます。

 上は背片の葉身細胞です。 細胞壁はあまり波打っていません。

 上は腹片で、左にはスチルスが写っています。 腹片の細胞は細長く、細胞壁は波打っています。

(2021.3.3. 宮崎県日南市)

2021-03-18

シナクジャクゴケ

 

 岩上に育っていた写真のコケ、以下の観察結果から、シナクジャクゴケ Hypopterygium tenellum のようです。 分布は平凡社の図鑑では近畿以西となっています。

 上は背面から撮っています。 クジャクゴケ属は、基物上を這う一次茎から二次茎が立ち上がり、上部で多くの枝を同一平面上に出し、全体としてクジャクの尾が広がったような姿になるのですが、クジャクゴケヒメクジャクゴケと比較すると、枝は比較的下部からも出ていて、全体としては小型です。

 上は腹面から撮っています。 この仲間の枝につく葉は、左右につく側葉と腹面につく腹葉とがあります。

 上は側葉です。 中肋は葉長の1/2~2/3ほどの所で終わっています。 緑色が少し淡くなっている所は葉が重なっていた所です。

 上は側葉中部の葉身細胞で、左下に中肋が写っています。 細胞の長さは 20~40μmです。



 上の2枚は腹葉です。 クジャクゴケやヒメクジャクゴケの腹葉の中肋が葉先に達するのに対し、本種の腹葉の中肋は中央以下で終わっています。

◎ 胞子体の様子もクジャクゴケやヒメクジャクゴケとは異なります。 こちらには蒴をつけたシナクジャクゴケを載せています。

(2021.3.2. 宮崎県日南市)