岩上に育っていた写真のコケ、以下の観察結果から、シナクジャクゴケ Hypopterygium tenellum のようです。 分布は平凡社の図鑑では近畿以西となっています。
上は背面から撮っています。 クジャクゴケ属は、基物上を這う一次茎から二次茎が立ち上がり、上部で多くの枝を同一平面上に出し、全体としてクジャクの尾が広がったような姿になるのですが、クジャクゴケやヒメクジャクゴケと比較すると、枝は比較的下部からも出ていて、全体としては小型です。
上は腹面から撮っています。 この仲間の枝につく葉は、左右につく側葉と腹面につく腹葉とがあります。
上は側葉です。 中肋は葉長の1/2~2/3ほどの所で終わっています。 緑色が少し淡くなっている所は葉が重なっていた所です。
上は側葉中部の葉身細胞で、左下に中肋が写っています。 細胞の長さは 20~40μmです。
上の2枚は腹葉です。 クジャクゴケやヒメクジャクゴケの腹葉の中肋が葉先に達するのに対し、本種の腹葉の中肋は中央以下で終わっています。
◎ 胞子体の様子もクジャクゴケやヒメクジャクゴケとは異なります。 こちらには蒴をつけたシナクジャクゴケを載せています。
(2021.3.2. 宮崎県日南市)
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