上は自宅前の側溝横でみつけたコケです。 植物体は密に集まって生育しています。 秋にたくさん胞子体をつけていたのに、また今、たくさんの若い胞子体をつけています。
このコケはハリガネゴケ Rosulabryum capillare で、この胞子体は夏に成熟するのでしょう。 なお、ハリガネゴケは世界中で普通に見られるコケで、属名の bryum も、ラテン語で「コケ」の意味です。
湿っている時は、上のように葉は放射状に開いてつきます。 中肋は葉先から長く飛び出ています。 なお、中肋は赤みを帯びることがあります。
乾くと葉はねじれ、上のようにらせん状に巻きます。
葉は倒卵形です。(TG-2で撮影)
上は葉の先端部分を顕微鏡撮影したのです。 葉はほぼ全縁ですが、先端部に小歯があります。 また、葉の縁には1~3列の細胞からなる舷(細長い細胞の列)があります。
このコケ、植物体は背の低い小さなものだと思っていました。 しかしこのコケの生えている土のように見える所を割ってみると、そこにも茶色くなった葉があり、その間を赤褐色の仮根が埋めています(上の写真)。 密に集まった植物体そのものが保水能力を持ち、土壌的な機能を果たしているようです。
次に、胞子体を見ていくことにします。 以下、若い胞子体から胞子を飛ばし終えたものまでを並べてみました。
帽のある蒴 |
帽が取れた蒴 照明を斜め後ろから当ててみました |
胞子を出している蒴 |
蒴歯は2列です |
◎ ハリガネゴケの造精器の様子はこちらに、造精器と蒴との関係をこちらに載せています。