2016-05-06

造精器をつけたヒメタチゴケ



 上はヒメタチゴケ Atrichum rhystophyllum の雄株でしょう。 幅の広い苞葉が目立ち、その下に広がる披針形の葉は元気がありません。 下のように葉を失っている株もたくさんありました。


 茎の高さは苞葉を含めて6mmほどでした。


 縦断面を作ると(上の写真)、苞葉の間にたくさんの造精器が見えます。 下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。


 以下は苞葉についてです。 結論から書くと、葉とは幅が異なりますが、葉と共通するいろいろな特徴が苞葉にも見られました。



 苞葉1枚を撮った写真の葉先が欠けていましたので、別の苞葉で葉先を拡大しました。 苞葉の上半部には弱い横皺と歯が見られますが、この歯を拡大すると・・・


 歯は対になっています。


 上は苞葉の下半部の縁の歯の無い部分です。 舷が見られますが、これは、下に書く薄板が葉の腹面の中肋の上に限られることと併せ、スギゴケ科の他の属からタチゴケ属を区別することのできる特徴となります。


 上は苞葉の断面です。 葉と同様、苞葉にも腹面(茎に接する側)の中肋の上に薄板が見られました。

(2016.4.24. 池田市 五月山公園)

◎ 苞葉の目立たない時期のヒメタチゴケの様子はこちらに載せています。 また、蒴をつけたヒメタチゴケをこちらに載せています。