2016-05-27

タチヒダゴケ(蒴の観察など)


 住宅地のすぐ傍にもタチヒダゴケ Orthotrichum consobrinum はありました。(撮影:2016.5.20.堺市南区茶山台)


 近寄ってみると、胞子を出し終えた蒴や、いままさに胞子を出している蒴もありました(上の写真)。


 上は東近江市の猪子山公園で昨年の5月20日に撮ったもので、とてもよく似た状態です。 前に12月上旬~1月下旬のタチヒダゴケの蒴の変化を載せましたが(こちら)、これらを総合すると、1月頃から胞子を出しはじめたタチヒダゴケは、そろそろ胞子を出し終わる時期に来ているようです。


 上は胞子をほぼ出し終えた蒴を、ほぼ真上から見たものです。 8本の細い糸状のものが見えます。 平凡社の図鑑の解説によると、「内蒴歯は基礎膜がなく、歯突起は細くて外蒴歯と同長」とありますが、この細い糸状のものが内蒴歯の歯突起なのでしょう。 外蒴歯は反り返っています。 この外蒴歯は8枚のようにしか見えませんが・・・。


 上は8枚に見える外蒴歯のうちの1枚をみたものですが、こうして見ると、ほぼ中央にまで切れ込みのある隣り合った2枚の外蒴歯がぴったりくっついて、1枚のように見えているようです。 図鑑では「対になっている」と表現されています。
 外蒴歯の横にある細長いものは内蒴歯の歯突起で、色の濃い丸いものは胞子です。


 蒴の中央部には沈生気孔が見られました。 少しゴミが多くなってしまいましたが、上は沈生の様子が分かるように斜め上から気孔を撮ったものです。
こちらではタチヒダゴケの蒴の横断面を作り、気孔を断面で観察したり、蒴の内部を見ています。


 上は胞子です。 胞子の表面は細かい突起に覆われているようです。