2019-09-20

タカネスギゴケ



 岩から垂れ下がるコケ、葉先は短く芒状になっています。 厚くみえる葉の様子からスギゴケ科だろうとは想像できます。 当初は葉縁が内曲して薄板を覆っていることから、スギゴケと思い込んでいましたが、調べ直してみると、タカネスギゴケ Pogonatum sphaerothecium でした。 蒴があれば、すぐに分かったのでしょうが・・・


 茎の高さは1cmあまり、葉の長さは3mmほどです。 新しい葉は緑色で芒は白色ですが、(昨年の?)古い葉(枯れてはいません)は褐色で芒も褐色です。 そして、その下の茎だけのように見える所も、よく見れば葉の基部が残っていますから、年々新しい葉をつけながら伸びているように思います。 これで4年目かもしれません。


 乾いて茎に接着している褐色の葉を起こしてみました(上の写真)。 鞘部は半透明で、そこから披針形に伸びる部分では、葉の縁が左右から腹面を覆い、その隙間が溝状に見えています(黄色の矢印の部分)。


 上は葉の披針形に伸びる部分の横断面です。 このように葉縁が内側に折り畳まれて薄板の上を覆うスギゴケの仲間には、本種の他にスギゴケ属のスギゴケ、ハリスギゴケ、ノルウェースギゴケがあります。
 下は薄板の様子がよく分かるように、上の一部を拡大したものです(少し回転させています。)

 薄板は6細胞以上の高さがあり、頂端細胞は卵形で上縁の細胞壁はとても厚くなっています。


 上は鞘部の細胞です。


 上は、葉(の鞘部)に抱かれた茎の断面です。 茎には中心束が見られます。 中心束の右下にある色の濃い細胞の集団はレプトーム(leptome)と呼ばれる部分でしょう。 レプトームはスギゴケの仲間に見られる組織で、有機物の通導が行われているとされています。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

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