2019-09-24

アリノオヤリ


 上はアリノオヤリ Tetraphis geniculata です。 2本の胞子体が重なってしまいましたが、若い胞子体の蒴柄は真っ直ぐで、胞子体がある程度伸びると、蒴柄は「く」の字に曲がります。


 蒴をつけている株の茎はあまり伸びないようです。 上の写真では、乾燥で葉が少し縮れかけています。


 上は蒴で、蒴歯の見えている状態(左)と帽を被っている状態(右)です。 本種はヨツバゴケ科に分類されていて、蒴歯は4本ですが、上の写真では1本の蒴歯の先端の一部が欠けているため、5本のようにも見えています。


 上の写真は、濡れたまま撮ったので葉が光ってしまいましたが、茎の先端の葉が他の葉より細く、苞葉となっていて、黄色のものを包み込んでいるように見えます。 この部分の手前の葉を取り除いて顕微鏡で観察すると・・・


 苞葉が包んでいたのは造精器でした。 細長い糸状のものは側糸と呼ばれていて、造精器や造卵器の周囲に見られるものです。


 上が包まれていた造精器の1つです。


 無性芽をつける茎の葉は、蒴をつける茎の葉に比べて幅広くなっています(こちら)。 無性芽は茎の先に幅の広い葉がカップ状に集まった所に作られます(上の写真)。


 葉は卵状披針形で、中肋は葉先に届いていません。


 上は葉身細胞です。

(2019.9.14. 北八ヶ岳)

こちらでは、アリノオヤリの蒴柄がなぜ曲がっているのか、考察しています。

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