2020-03-20

ミジンコゴケ


 上はシフネルゴケに混じって生えていたミジンコゴケ Zoopsis liukiuensis です。 和名の「ミジンコ」は小さいことを意味しているのでしょうが、小さいというよりは、とても細いコケです。 これでムチゴケの仲間というのですから驚きです。
 国内の分布は鹿児島県~琉球列島と小笠原となっています。 平凡社の図鑑では環境省(2007)絶滅危惧Ⅰ類になっていますが、2012年の第4次レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類になっています。 小さすぎて見つけにくいだけかもしれません。


 上はスギの根元近くで半ば腐葉土化した中に混じっていた本種で、十分に光合成できない状態でほとんど透明ですが、それでもみずみずしい元気そうな姿をしています。


 上は大きな群落を作っていた本種を少し剥がして背景を暗くして撮ったものです。 個々の細胞が見分けられます。 所々少し膨らんでいる所が葉ですが、葉を含めた茎の幅は 0.2~0.4mmです。


 上は背側から撮った顕微鏡写真です。 葉は離在して4細胞からなり、そのうちの2つは茎の細胞と似ていますが、残りの2つは小さな細胞です。 小さな2つの細胞は互いに離れていますから、一般的な葉の説明のしかたに従えば、「葉は2裂し葉裂片は1細胞からなる」ということになるのでしょうね。
 細胞の表面に菌糸と思われるものが見られますが、菌類との関係は寄生されているのか共生関係にあるのかは分かりません。


 上は腹面から撮っていて、赤い円で囲った所に腹葉があります。 下はその拡大です。


 腹葉は2裂しています。 腹葉を構成する細胞は小さく、平凡社の図鑑では腹葉は4~5細胞からなるとあります。 どこまでが腹葉なのかよく分かりませんが、上は5細胞からなる腹葉でしょうか。

(2020.3.4. 屋久島)

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