2020.3.2.に屋久島で撮った上の写真、ムクムクゴケの仲間には違いないのですが、枝と枝との間が広く、スマートな印象です。 顕微鏡で観察すると・・・
細胞と細胞の境は竹の節のようになっていて、油体には1~2個の眼点があります。 また、細胞壁の外側には突起が連なり、ボコボコしています。
日本のTrichocolea(ムクムクゴケ属)は、ムクムクゴケ T. tomentella、ハネムクムクゴケ T. pluma、イボムクムクゴケ T. japonica、コムクムクゴケ T. rudimentaris、イリオモテムクムクゴケ T. iriomotensis の5種とされています(片桐知之,2016)。 この記事を書いた当初は、ムクムクゴケ属に関する詳しい資料が手元に無く、イボムクムクゴケとしていました。 しかしその後、イボムクムクゴケの原記載論文(Katagiri etc.,2011)やムクムクゴケ属のモノグラフ(Hattoria 4巻)を送っていただき、見直したところ、イボムクムクゴケではなさそうです。
イボムクムクゴケの油体には眼点は無く、隔壁も節状に肥厚しないようです。 また、細胞壁の突起はいぼ状ですが、ハネムクムクゴケにもベルカがあります。
イリオモテムクムクゴケは油体に複数の眼点を持ちますが、小形で、均質ではなくかなりゴツゴツしているようです。
結論としては、細胞が長く、肉眼レベルの印象もこれまで見たものとは少し異なるのですが、ハネムクムクゴケの可能性が高いように思います。
◎ ハネムクムクゴケについては、こちらにも書いています。
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