2020-10-22

ナガバヒョウタンゴケ

 

 2020.9.29.の京都府立植物園でのコケ調べ、ホソウリゴケの群落の中に別のコケが混じっていました(上の赤い円内)。 顕微鏡で観察しても分からず、同じ調査に参加された西宮市のSさんにお聞きしたところ、ナガバヒョウタンゴケのようでした。
 ナガバヒョウタンゴケ Chenia rhizophylla は比較的大きなコケでありながら、1900年代になって初めて見つかったこと、生育しているのは市街地など人との関りが深い場所であることなどから、外来種の可能性の高いとされているコケです。 国内での分布は本州~九州、小笠原とされています。
 胞子体は日本では知られておらず、和名は最初ヒョウタンゴケ科と思われたところからですが、現在はセンボンゴケ科に分類されています。

 上の写真で茎の高さは4mmほどです。 葉は特に葉先近くで反り返っています。 ほとんどの葉先が赤褐色に着色しています。
 本種の仮根の先端には無性芽ができるようですので、きれいに洗って仮根までよく分かるようにしました(上の写真)。 この後、顕微鏡の倍率を上げて仮根を観察しましたが、残念ながら無性芽は観察できませんでした。

 葉先が反り返っていますので、プレパラートにすると、上の写真でも葉先近くが折れ曲がってしまっています。 葉身細胞は上部で丸みを帯びた六角形~短矩形、下部では矩形です。 葉縁の細胞は内側の細胞より小さく、葉の上部にはまばらに微鋸歯が見られます。 葉先の細胞は赤褐色です。

 上は明度を上げすぎて先端の細胞の赤褐色がほとんど消えてしまいましたが、先端に少しだけ色が残っています。 先端の細胞の細胞壁の先端部が厚くなり、色はこの細胞壁についているようです。
 本種はしばしば葉先に仮根をつけます。 たぶんこの色のついた細胞が仮根になるのだと思います。

 上は葉の中肋付近の横断面です。 中肋にはステライドなどの特徴のある細胞は見られません。

 茎頂に造卵器らしいものが見えたので、周辺の葉などを取り除いて撮ったのが上の写真で、下はさらに葉や苞を取り除いて高倍率で撮った写真です。

 本種は雌雄異株で、上に書いたように胞子体は日本では観察されていません。 上の観察結果からは、日本には雌株だけが入ってきていて雄株は入ってきていないと考えられます。


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