樹幹に着生していた写真のコケ、絹のような光沢のある細い葉と、真っ直ぐに伸びた蒴が印象的です。 蒴柄の長さなどは少し異なるのですが、平凡社の検索表に従うと、マキハキヌゴケ Pylaisiella subcircinata に落ちました。 分布は中部地方以北の本州と北海道です。
蒴は卵形~広卵形で、丸みがあります。 蒴柄の長さは、上の写真では 10mmほどですが、平凡社の図鑑では 15mmとなっています。 葉の長さは1mmほどです。
葉は上方に鎌形に曲がっています。
茎葉は広卵形で幅は基部近くで最も広くなっており、先はやや急に細くなっています。 全縁で、中肋は短く二叉しています。
上は茎葉の葉先で、細く長く尖っています。
翼部の細胞は基部で横に6~8列(平凡社では6~9列)、縁に沿って 10細胞ほど(平凡社では 15細胞以下)が並んでいます。
上は葉身細胞です。
Pylaisiella(キヌゴケ属)は一般に内蒴歯の発達が悪く、歯突起が外蒴歯に付着する種が多いのですが、本種も歯突起の上部が外蒴歯に付着しています(上の写真)。
上は最初の写真や2枚目の写真のような、まだ帽のある蒴から取り出した細胞で、まだ成熟した胞子ではないのではないかと思います。 本種の胞子は径 26~36μmと大きめですが、写真の細胞の径は 20μm前後しかありません(このことについて下に追記しました)。
(2020.9.1. 北海道 苫小牧市)
--- (以下、2022.1.29.追記) ----------------
マキハキヌゴケについて調べたいという人に標本をお分けし、胞子の径を測定していただいたところ、25-30㎛あったということです。 上記の私の測定は、とある事情でアルコールを使っていましたので、その影響があったのか、上記のように未成熟な胞子だったのかもしれません。
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