この記事は当初マルバコオイゴケとして載せていましたが、[こちら]に載せたイボヒシャクゴケ Scapania verrucosa の可能性のあるコケと同じ所で採集したものなので、再度観察したところ、やはり上と同種のようです。 後ろに写真を3枚追加し、記事も書き改めました。
写真は岩上の斜面に育っていたコケで、古い茎は斜面に沿い、新しい茎は立ち上がっているので、背面も腹面も写っています。
ヒシャクゴケ科は腹片が背片より大きいのが特徴です。 葉を含めた茎の幅は1~1.5㎜でした。
上は腹面から撮っていますので、背片はほとんど見えていません。 分枝している所を見ると、側面から分枝しています。
葉は基部が茎を抱くように圧接し、中部で鎌状に曲がっていますが、茎と圧接している所は透過光では暗くなり、観察が難しくなります。
背片も腹片(上の写真ではボケています)も葉縁は鋸歯状で、葉先は円頭です。
上は葉です。 背片の長さは腹片の1/2~2/3です。 ビッタ(注1)はありません(ビッタがあれば、この倍率で分かります)。
上は背片の基部近くで、写真上方がキールの方向です。 葉先近くの細胞は整然と並んでいますが、基部近くでは細胞の配置が乱れています。
上は腹片の基部近くで、やはり写真上方がキールの方向です。 背片以上にキール近くの細胞は細長くなっていますがこれはビッタではありません。 ビッタが明瞭なシロコオイゴケを見ると、ビッタは背片腹片それぞれの中央にあり、周囲の細胞と明確に異なります。
(注1) ビッタ:苔類の葉基部中央部にある長軸方向に伸長した細胞
------(以下、5月31日追記)-----------------------------------
4月30日に上の記事を書いた時には気づかなかったのですが、 倍率を上げて焦点の合う深さを浅くすると、細胞表面にいぼ状のパピラのあることが確認できました(上の写真)。 下は同じ場所で焦点を少しずらし、細胞に焦点を合わせた写真です。
パピラのある無性芽も確認できました(上の写真)。
(2025.4.19. 京都市右京区京北上弓削町)
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