2023-11-02

シクンシ

 

 写真はシクンシ Combretum indicum です。 京都府立植物園の温室で撮影しました。 熱帯アジアに広く分布していますが、薬用や観賞用に栽培されているためで、厳密な意味での原産地はよく分からないそうです。 日本でも、石垣島や西表島などでは野生化していますが、元は観賞用に栽培されていたものでしょう。
 「シクンシ」は日本語では無さそうな名前ですが、じつは「使君子」で、「神に授かった妙薬」の意味だそうです。 各部をさまざまな薬として利用されますが、特に果実から作られる生薬は回虫や蟯虫などの駆虫薬,整腸薬,健胃薬として利用されます。

 葉は対生で、幼植物は低木状ですが、次第につる性となります。 花は子房下位で、長いガク筒があります。 花弁は5枚で、初めは白色ですが、すぐにピンクになり、最後は赤色になります。

 オシベは10本、桃のような芳香があります。

2023-11-01

スジシノブゴケ


  写真はスジシノブゴケ Haplocladium strictulum でしょう。 礫の隙間をコンクリートで埋めて作った壁の凹みについていました。 全体が茶色なのは、2月に撮った写真で、寒さの影響でしょう。

 茎は這い、やや羽状に枝を出しています。 茎葉の長さは1mm前後です(上の写真)。

 茎には毛葉がありました(上の写真)。 毛葉の有無は同定に大切ですが、多い/少ないは、環境などで変化しやすいようで、多少を同定に使うのは慎重さが必要なようです。

 上は枝葉です。 同じ属のコメバキヌゴケやノミハニワゴケなどに比較すると、葉の上部があまり長く伸びていません。

 細胞の上部または中部にパピラがあります。

2023-10-31

シワタケ

 写真はシワタケ Phlebia tremellosa だと思います。 大阪府民の森くろんど園地の遊歩道の階段に埋め込まれていた材に発生していました(10月29日撮影)。 半背着生の白色腐朽菌で、傘の表面は白色の軟毛を密生しています。

 上は傘の内側です。 管孔部は縦横の皺により、角ばった浅いシワ穴状になっています。 和名もこの皺に由来するのでしょう。

2023-10-28

11月19日のコケ観察会

11月19日(日)に、コケ観察会を実施します。
 この観察会は、10月からNHK文化センター京都教室で行っている講座「身近なコケの不思議な世界」(全6回)の2回目になりますが、教室を離れての現地での観察会のみの参加も受け付けることにしました。 実施場所は京都府立植物園です。 9月に実施した体験講座と同じ所ですが、広い植物園ですので、違う所で違うコケを観察します。
 コケは図鑑で名前を調べようとしても、なかなか分かりにくいもので、やはり実際のコケを見るのがコケを知る近道だと思います。
 参加申し込みや問い合わせは、NHK文化センター京都教室(Tel. 075-254-8701)へお願いします。 参加費は 3,300円です。

2023-10-27

サルビア レウカンサ(花粉媒介のしくみと茎のつくり)

 タイトルは学名(Salvia leucantha)をカタカナにしたもの。 アメジストセージなど、いろいろな名前も持っています。 中央アメリカ原産で、大阪付近では屋外で冬越しできます。 秋から晩秋にかけて咲く花は、花穂は長くみごとなのですが・・・

 上の写真は咲いている花の多い所を狙って撮ったのですが、ひとつひとつの花は小さく、目立っている多くの部分は、花冠のなくなったガクや、ガクに覆われたツボミです。 花は短命で左下には枯れかけた花が写っています。 写真の品種は花冠もガクに似た紫ですが、種小名を見ると、野生種の花冠は白色だと思います。
 花冠の先は他のシソ科同様上唇と下唇に分かれていますが、花冠の下(腹側?)が段になっています。 気になったので断面を作ってみたのが下です。

 上の写真の上は花の外観、下が花の断面です。 メシベは1本で柱頭は2裂しています。 オシベは2本あるのですが、手前のオシベは断面作成時に無くなっています。
 オシベは丁字形をしていて、花冠の腹側の段になっている所でくっついています。 このつくりの意味を考えてみました。

 上は分かりやすいようにメシベも取り去り、(片側の)オシベだけにしています。 虫(またはハチドリの長い舌?)が花の奥の蜜を求めて花の中に入ってきます。 それを水色の矢印で表現しました。 花の形から、奥へ進もうとするとオシベのaの所にぶち当たり、aの所を上に持ち上げることになります(黄色の矢印)。 結果として、やじろべえのようなつくりになっているオシベのbの所(葯)を押し下げ、花粉を水色で表した虫の背中またはハチドリの舌にくっつけることになります。

 茎の断面も観察してみました。

 上が茎の断面です。 気泡が抜けるのを待ちきれず撮ったので、グレースケールに変換しました。 茎の中央部が濃くなっていますが、気泡のせいで、実際は薄膜の大きな細胞からなる均一な柔組織です。
 シソ科の茎は断面で四角形のことが多く、それぞれの角にいろいろな組織が集中しています。 下は上の赤い四角で囲った所の拡大です。